スペイン語は基本的にアルファベット通りに発音すれば通じる点で,発音の習得は比較的容易な言語と言えます. その中でも一部学習者を悩ませるアルファベットとして"G"音があります. 日本語の教科書では以下のような説明がなされることが多いと思います. 語頭で後ろにo, a, u, 子音が来ると「ガ行」,語中では「あいまいなガ行」,後ろにi, eが来ると「ハ行」になる 学習し始めたときは3つの違う音が出てきて私の頭は大混乱でした. しかし実はこの3つの音には一つ共通点があります.それは,調音部位いずれも軟口蓋ということです. 軟口蓋と言われてもピンと…">

スペイン語の"G"音について (original) (raw)

スペイン語は基本的にアルファベット通りに発音すれば通じる点で,発音の習得は比較的容易な言語と言えます.

その中でも一部学習者を悩ませるアルファベットとして**"G"**音があります.

日本語の教科書では以下のような説明がなされることが多いと思います.

語頭で後ろにo, a, u, 子音が来ると「ガ行」,語中では「あいまいなガ行」,後ろにi, eが来ると「ハ行」になる

学習し始めたときは3つの違う音が出てきて私の頭は大混乱でした.

しかし実はこの3つの音には一つ共通点があります.それは,調音部位いずれも軟口蓋ということです.

軟口蓋と言われてもピンとこない方もいるかもしれません.舌を使って上の歯から口の奥の方へなぞっていくと,まず硬い板のような部分があるかと思います.ここを「硬口蓋」と呼びます.一番奥には「口蓋垂」,俗に言う「のどちんこ」があります.その間の柔らかい部分が「軟口蓋」です.

日本語で「カ行」や「ガ行」の音を発音するときに使う部分です.

同じ軟口蓋音の中でも,位置によってどのように発音が変わるか示したのが以下の表です.

語頭で後ろにo, a, u, 子音が来る /g/ 有声軟口蓋破裂音
語中で後ろにo, a, u, 子音が来る /ɣ/ 有声軟口蓋摩擦音
後ろにi, eが来る /x/ 無声軟口蓋摩擦音

もともとは/g/の音が歴史の中で,語中では摩擦音に変化し,後ろにi, eが来ると無声摩擦音に変化したと整理することですっきり説明できます.

この3つの音はカタカナで表記するとばらばらのように見えますが,いずれも軟口蓋で調音されるという共通点があったのです.