Marshall Haze15 回路解説 -Part2- (original) (raw)

どうも、lenheyvanです。

Marshall Haze15の回路解説のPart2です。

Part1はコチラ
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回路解説

V1Bで増幅された後の信号の流れをみていきます。

V1B~V2A

下図はV1B以降の回路図です。

V1Bで増幅された信号は例によってプレート側から出力され、C31を通ってR19/R60のほうへ流れていきます。
C31(Point9)のカップリングコンデンサは4.7nFになっていますので割と小さ目の定数ですね。Part1で書きましたが、V1A出力後のカップリングコンデンサ(C34)を小さ目の定数にしているなら、ここはもう少し上げて22uFくらいでも良いと思います。
やってみて、もっとタイトなサウンドにしたいなと思ったら2.2uF~4.7uFでも良いです。

次にPoint10、11はパっと見何をしているのか少し分かりづらいかもですが、ここはブライトスイッチでのサウンド変化をつけている箇所です。

下図の状態はブライトスイッチがOFFの状態です。

まず、C31から赤線を通って信号が上から流れてきて、R59とR60の分岐に入ります。
R59のほうはスイッチ端子の6が行き止まりなのでR58のほうに流れようとしますが、2.2MΩというかなり大きい定数の抵抗が入っているのでここで信号(緑線の部分)がほぼ堰き止められます。(ちょっとは右に流れますが)

そのためほとんどの信号はR60を通って下へ流れることになります。

次に、C49とR61の分岐に入りますが、ここで重要なポイントとして、スイッチ端子の4-5番が短絡しているので、並行に接続されているR5は無いに等しいという点です(という意味で×と書きました)

左側(C49側)はブライトキャップのように高音域を迂回させますが、行き着く先はグラウンドなので、高音域がバッサリと捨てられます。

これによって、丸くモコモコしたサウンドを作っています。
C49を大きくすればするほどモコモコ感は強くなります。

次に下図はブライトスイッチがONの状態です。

OFFの場合と同じように、C31から赤線を通って信号が上から流れてきて、R59とR60の分岐に入ります。
今度はスイッチ端子5-6が短絡しているので左側(R59側)、右側(R60側)ともに信号は流れます。ただし、先程と同じ原理で、今度はR58が無いものと考えられます。(×と書きました)

スイッチ端子5の部分では、R60の信号とブライトキャップC51を通過した高音域が辿り着くことになります。ここで高音域が追加されるわけです。
R59があるのでブライトキャップ側へ流れ込む信号量が制限されていますが、これは広域量の調整の役割を果たしています。

R59を小さくすればするほど、C51を大きくすればするほど、ハイが強調されたサウンドになります。ハイが足りないのであればR59は除去&JUMPしてしまっても良いです。

次に下部分ですが、スイッチ端子4-5は接続されていないので、4には流れ込まずにR61側へ信号は流れます。
途中R5がありますが、OFFの場合と同じように、2.2MΩというかなり大きい定数の抵抗が入っているのでここで信号(緑線)がほぼ堰き止められます。

そのためほとんどの信号はR61側へ流れることになります。
R61は470kとそこそこ大きい定数値なので、グラウンドにガッツリ落ちるということはありません。C71が少し高音域を迂回させてグラウンドに落としているので、あまり丸くしたくない場合はこれを除去してしまっても良いと思います。

これがOVERDRIVEチャネルのブライトスイッチの仕組みです。

OFF/ONどちらの場合も、R60(470k)とR61(470k)で分圧されているので、スイッチ端子5から右の次段へ流れていく信号は半分くらいに落とされています。
(可変ではなく固定のボリューム回路のような感じです)

ゲインが足りない場合はR60とR61の比率を変えることで信号量をコントロールできます。大きくしたいならR60<R61に、小さくしたいならR60>R61に、です。

V2A~V2B

OVERDRIVEチャンネルのブライトスイッチ回路を通ったら、前回のPart1で解説しましたが、下図左のRL1Bのチャンネルスイッチを通ってV2Aへ入力されます。

Point12にR31(グリッド抵抗)を通ってV2Aのグリッドへ入力されます。
オリジナルでは先程のブライトスイッチ回路でゲインは落としてあるので470Ωでも良いかも知れませんが、ブライトスイッチ回路でゲインUpする場合は470k程度に上げておくのが良いかと思います。
その際、トーンが暗いようでしたら、R31と並列に470pF程度のコンデンサを追加すると良いと思います。

V2Aのカソード部はR17のみ(Point13)のみなので、全体的のゲインを持ち上げるような形になっていますが、多分これだとMarshallっぽさは出ないので、1uF以下のコンデンサを追加したほうが良いです。

そして、プレート側からV2Bへいくのですが、ここは今までと様子がちょっと違っていてV2Bのグリッドへ直結されています。
この回路は伝統的なもので、V2Bでは増幅はせずに、バッファ(増幅度1)のみ行ってトーン回路へ繋ぐという部分になっています。

V2B~トーン回路

バッファになっているのはPoint14の部分です。

この回路、プレート側に抵抗が入ってませんよね。そして、出力はカソード側から取っています。
これはカソードフォロワーと言って、バッファリングが目的なので増幅度1です。
カソードフォロワー回路の組み方はいくつかパータンがあるのですが、これは前段からの直結パターンで、Marshallは(ギターアンプは?)このパターンがよく採用されます。

R32の100kという定数は伝統的な定数で1959SLPの時代からこの定数です。

Point14はギターアンプでは必ずと言ってよいほど出てくる回路で、この構成を見たら、「あーEQ部分ね」と思ってもらえれば良いです。
ちなみに、コンデンサや抵抗値を変更するとEQカーブを変更することができます。

以下のサイトで、定数を変えたり、ノブ(可変抵抗値)をいじるとカーブが変わるので視覚的に理解することができるので便利です。
EVHこと、エディはMiddleノブのポット(可変抵抗)の値をデフォルトの25k→50kにすることで中音域をブーストしていたとか(Joseが勝手にやっていた説もあり)

TSC in the web

最後にPoint15ですが、これもCHスイッチになっていて、上図の状態は右側に接続されているのでNORMALチャンネルです。OVERDRIVEチャンネルは左側に接続され、OVERDRIVE MASTER VOLUMEと書いている部分でボリューム調整するようになっています。

NORMALチャンネルのボリューム調整は?と言うと、下図の左側にあるNORMAL VOLUMEという部分です。
NORMALチャンネルとOVERDRIVEチャンネルでボリュームの箇所が、回路上離れていて分かりづらいですが、信号の経路を見ると理解できると思います。

最後に

Marshall Haze15の回路解説でした。

マニアックな内容なのでどこまで有益な内容かは微妙なところですが、どなたかのお役に立てれば。

最後に、モディファイの際にせっかく確認したので、スイッチ仕様だけ共有して終わりにしたいと思います。

左のスイッチは押しボタン式のスイッチの仕様で、ブライト切り替えとチャンネル切り替えができるようになっています。
右のスイッチはリレースイッチと言って、フットスイッチで切り替え信号を送ったときに切り替わるものです。

下の画像のとおり、フロントパネルの右側に上下に2つボタンが並んでいますが、上がチャンネル切り替え、下がブライト切り替えです。

チャンネル切り替えは押しボタン式スイッチとフットスイッチの両方で切り替えができます(逆にブライトON/OFFは押しボタンでの切り替えのみです)

ではまた!