英語でエンタメ小説を!格式のある美しい英語 |『THE BODY IN THE LIBRARY』AGATHA CHRISTY (original) (raw)
皆さん、こんにちは。
アガサ・クリスティの本を見るといつも冒頭につらつら書かれているのですが、何でも彼女の著作は世界で(累計で)三番目に多く売れたそうです。
一位は聖書、二位はシェークスピア、そして三番目はアガサです。
・・・なんてことを聞くとアガサ・クリスティもコンプリートしたくなります。
ただ、英語版でぶっ通しですべて読むとなると時間もお金もかかるのが悩みです。
電子版は500円くらいで全集みたいのが買えたりしますが、やはり味気ないんですよねえ。
やはり本の物理的な存在感ってのはインパクトがあります。そして所有するだけで味わえる満足感(読んでも居ないのに!)。
そうした本と静謐に囲まれる愉悦、それが図書館や書斎の醍醐味なのでしょう。
で、本日はそのような書斎にまつわるお話です。いつもの近所の新古品の店で500円程で購入したもの。
ひとこと
アガサ・クリスティの作品はもう数回読んでいますが、ミスマープルシリーズは初めて。
本シリーズも安定感抜群のエンタメ推理小説でありました。
英国の格式漂う舞台設定
一番印象にあるのは、英国の格式や気品やその雰囲気。
ミスマープルですが、所謂ハイミスのおばあちゃんです。今でなら敢えて『普通』に取り扱われるのでしょうが、作中では何というか『未婚貴婦人枠』とでもいったひとつの枠・階層としてミスマープルが扱われている気がします。
服装とか礼節とか。そういう古き良きルールを守り維持する階級の薫り、のようなものが漂ってきます。
殺人現場もそう。
題名の通り、死体が発見された某退役軍人の書斎ですが、暖炉のある部屋で暖炉の前に敷くラグに包まれて死体がおかれる。つまり現場はお屋敷ということになります。しかも発見したのは家政婦とくるのですから、まあ豪邸です。
こうした英国上流階級の雰囲気は、読み物として一気に読者を異世界へ誘います。
謎解きインフレのポアロと、ギャップ萌えのミスマープル
さて、私、ポアロ・シリーズは5冊程度、ミスマープル・シリーズに至っては初めてですが、ミスマープル・シリーズの方が万人向け、エンタメ色が強いように感じました。
ミスマープルは、一言でいえばギャップ萌え。
まさかこのおばあちゃんが名探偵?みたいな油断があり、彼女の洞察でするすると事件が解き明かされる、いわばギャップ萌え的な印象を得ました。おばあちゃんが見ていた(見逃さななかった)真実、ここにあるフックが最後の最後でばぁーんと出てくる。いちアマチュアがまさかの推理力、というギャップが素敵した。
一方、ポアロも驚異の推理力で超絶トリックを見破るのですが、もう慣れちゃったんですよね。天才探偵だし絶対解けるでしょ、みたいな。キャラへの期待のハードルは既に高いので、トリックがより複雑にならないと物語が展開しない・期待度が上がらないのかもしれません。
そういう意味ではミスマープルシリーズの方がほんわかと安心して読めた気がします。
英語もまた格式高く
そして、上でも書きましたが英語も格式が高いように感じられました。
米国英語ですと句動詞(基礎的な動詞+前置詞)が多く、読めているんだけど結局良く分からないということがしばしばありました。対して英国英語(アガサの英語?)は、動詞一語で意味を伝えたり、慣用句も多く、何というか『説明的』な英語だなあと感じました。
さらっと使えたらいいなあというワードとして、not know people from Adam (その人を)全く知らない、out of one’s depth in (~については)素人だ、That will do いい加減にしなさい・それくらいにしなさい、ferret out 探し出す、peter out次第に衰える、gold-digger 金目当ての人、等がありました。
実際の英語では古い表現やもしれませんが、そこを敢えて使えるようになりたいなあ、とひねくれものの私は感じた次第です。
おわりに
ということで初ミスマープルでした。
これで英語力が上がっているかは分かりませんが、内容も面白く、英語の単語にも注意が行きますので、何だかとてもお得な感じがする読書体験でした。
英検二級程度の方でしたら読める気がします。是非お試しあれ。
評価 ☆☆☆
2024/01/13
ポアロシリーズ。読んだ数冊の中では以下が一番面白かったです。