元裁判官が主役の推理小説モノ |『象と耳鳴り』恩田陸 (original) (raw)

皆さんこんにちは。

最近日々自己分析を進める中で、如何に自分の性格が悪かったかということをつくづく思い知らされる日々であります(おっさんのくせに今更か、ですよね)。

こと両親との関係については顕著です。

これまではいつまで反抗期かというくらい反発し(30代末までは相当な反抗期だった!?)、彼らが80を超えて、やっとこ私も50代を目前にして少し自分が分かってきました。

父親の認知症が始まり、母親も大変だろうと、こっちが心配する・面倒を見たい気になっても、母は「そんなに長くいるときはウイクリーマンションでも借りてください」と来た。ということで押しかけるわけにもいかず困っています。

これまで散々勝手だった息子が急に改心?してもまあ信じられませんわな。

でも過去は消せません。

今に集中して、より良い未来を築くしかありません。そう思い、親の依怙地なLINEにも反応せず、受け止めるよう努める次第です。

で、それとは関係なく、なんだか最近忙しい。本がなかなか読めていません。

この前読了したのが私の中の定番、恩田氏の作品です。

はじめに

恩田氏デビューから数えて6作目、1999年の作品。これまた結構古めの作品。

でもケータイ(ガラケーと思われますが)も出てくるし、不思議と古く感じさせません。

相変わらず、えも言われぬスリラー的な作品でありました。

概要

本作、推理小説ということですが、モダンホラー的な恩田テイストが色濃く出ているのが特徴かと思います。

主人公は引退した著名な裁判官の関根多佳雄。彼が遭遇するちょっとした事件と、その謎を解く様子がなかなかスリリングでした。

なお本作、12作の短編からなる短編集となっており、途中から息子の春(検事)、娘の夏(弁護士)も登場し、何だか学歴ドリームチームみたいな華やかな(一種嘘くさい!?)感じもまた、小説(ドラマ的)らしくて良いかもなあと思いました。

モダンホラー風味の推理小説

なかでも私のお気に入りは以下の二作品。

旅のさなか、電車の事故により待合室で後続列車を待たざるを得なくなった多佳雄と春が麻薬取引の現場を押さえることになった「待合室の冒険」。

そして、親戚の娘さんと多佳雄との手紙のやり取りから放火事件の犯人がうかびあがる「往復書簡」。

こちらがお気に入り。

それ以外にもちょっとゾっとするテイストの話も多く、普通の推理小説とは一味ちがうのが良かったと思います。

おわりに

ということで恩田氏の初期作品でした。

推理モノが好きな方にはまあまあ読めるのではないかと思います。

短編集なので肩の凝らないエンタメに仕上がっていると思います。

評価 ☆☆☆

2024/08/09