最近聴いた邦楽 / 24-09-11 (original) (raw)

最近新しく聴いた音楽をまとめている定期ブログ。今回は折坂悠太、MON/KU、ベルセデスの過去作を色々と聴いてそれぞれ満足したけれど、ハイライトはSouth Penguin。岡田拓郎が耳になじむ。尚、今回から感想に数字をつけているがそこまで深い意味はない。

サザンオールスターズ「ジャンヌ・ダルクによろしく」

サザンらしいかという意味では非常にサザンらしくて、桑田佳祐の歌詞に桑田佳祐のメロディーだなぁという感じだったが、それ以上の感想が特に出てこなかった。④

ジャンヌ・ダルクによろしく


algrah & MON/KU「HERBALISM (algrah Remix)」

これを聴くために今週は『MOMOKO blooms in 1.26D』を聴いたまである。同じ曲なのか、まぁ同じ曲なんだけど、いやでも全然違うなというのが一番の感想。どういう言葉で感想を書くべきかが難しいのだが、心なしか「耳に優しく」なったような気はした。⑥

HERBALISM (algrah Remix)

South Penguin『South Penguin』

優河『Love Deluxe』と柴田聡子『Your Favorite Thing』と並び、本作も岡田拓郎ワークス。さらに言えば、最近ちょこちょこ名前を見かけていたGuibaのアカツカが先に組んでいたのがこちらのバンド。点と点がつながって、これは多分ハマるだろうなと予感しながら聴くと案の定ハマる。ちょっと素晴らしすぎるな。それにしても今年の岡田拓郎ワークスの仕上がりの良さはなんなんだ。優河、柴田聡子、South Penguin それぞれの実力が大きく関わっていることは言うまでもないが、岡田拓郎が今年の最重要人物なんじゃないか。

上質なトラックに乗って、ヴォーカルの脱力感のある優しいヴォイスが魅力的に響き、届いてくるリリックも韻や言葉のセレクトなど十分に洗練されている。楽曲のバリエーションも豊かな上、複雑ながらもキャッチーでまったく飽きさせない。優河や柴田聡子を比較対象に置いてしまえばケチをつけることもできるだろうが、そういう気持ちにさせない魅力が溢れている。心地の良いビートに乗っていくダンサブルなナンバーは優河や柴田聡子にもみられたな。10曲どれもそれぞれに素晴らしかったんだけど、特に突き抜けてきたのは「business」かな。次に聴いていくバンドが決まった。⑨

クロス・レヴュー 2024年4月号|ミュージック・マガジン

South Penguin


折坂悠太『ざわめき』

折坂悠太の作品を遡って聴き進めているのだがかなり最近の作品とは雰囲気が変わってきたことを感じる。最近のアルバムの方が好きだと思っていたが、だんだん古いアルバムへの愛着が湧いてきた。端的に言えば「牧歌的」。トラディショナルな空気感があるのだが、和風というのとも少し違う。激しい歌い上げが特徴的なアップチューン「芍薬」にはいきなり目を(耳を?)奪われる。メロウなバラード「茜」は夏の終わりである今聴くと沁みる。「口無し」はまさに風が吹いて目の前の風景が「揺らいでいく」ような感覚を覚える。スローで静謐な「呼び名」はクラリネットとヴォーカルのジャズ・コンポのような味わいがある。折坂らしい歌唱に温かいバンドサウンドがよく溶け合ったミディアム・バラード「ざわめき」は歌詞に登場する「きびの葉」が気になったのだが、調べてもなぜきびなのかよく分からず。インタビューとかも踏まえると、「機微」の掛け言葉なのではないかとも考えているのだが、確証が持てずにいる。⑨

折坂悠太『ざわめき』インタビュー いつか教科書に載るポップ・ミュージックを歌う | Mikiki by TOWER RECORDS

ざわめき - EP

折坂悠太『たむけ』

バンド編成ではなくソロとしてのアルバムのため、かなり質素なトラックだが、その分、朗々とした歌唱が非常に響く。「鳥」がものすごく耳に残る。「皆様」「道」「よるべ」あたりが特に感動的だった。『ざわめき』と比べても歌唱の柔らかさというか穏やかさというか静けさというか、最近とは一味違う魅力があったけど、妙に孤独を感じるアルバムなのは何故だろうか。⑧

たむけ

たむけ

MON/KU『MOMOKO blooms in 1.26D』

はじめて「産毛」を聴いたとき、自分の理解の及ばない音空間に面食らってしまったのだが、今回のアルバムもやはりどう聴いたら良いのかという部分でちゃんとは掴みきれない。ただひたすらに凄まじい。人間の歌唱も楽器のように溶け合って、言語化の難しい圧倒的なサウンドスケープを構築している。オルタナ・ロックに分類されるようだが、緻密な複雑さという意味ではクラシカルな現代音楽に通じるものがある。最後には11分弱の対局まであるわけで。一曲の中でも不思議な展開があったり、聴けば聴くほど面白く、そして分からなくなる。⑧

語る音楽家、語られる音楽家:坂東祐大が語る、MON/KU | ブルータス| BRUTUS.jp

Momoko Blooms in 1.26d

MON/KU「桟橋」

やはり良い意味で異質である。いろんな楽曲がコラージュされているような感じがする。混じり合っているけれど、綺麗には混じり合っていない感じもあって(それが個性的というか複数の楽曲感を出している)、でもこの楽曲は今まで聴いた中でもトップクラスに心地良い。調べてみたら、『m.p』というEPが過去にリリースされていたらしいのだが、現在では配信されていない。分からなすぎて興味がどんどん湧いてくる。⑧

桟橋

桟橋

the bercedes menz『ザ・ベルセデス・メンツの幸福な子どもたち』

アートワークを見て、そういえば平手友梨奈が最近こんな感じになってたなみたいなことを思い出したけど、それは置いておいて。ベルセデスというバンド、ひいては田中喉笛のことを未だによく分かっていないのだが、なんとなく気になって数ヶ月。ようやく再生ボタンを押したこのアルバムは本当に素晴らしい。ノイジーなオルタナロックながらも、根底にあるのはポップ。J-POPに区分されているのもちゃんと理解できる。M1「幸福な子供たち」がいきなりズシンと来る名曲。M4「あーもう」の群を抜くキャッチーさはすごい。M5「庭」の滲み出る絶望感と「にわにわにわにわとりがいる」という言葉の軽さのギャップも面白かった。M8「little black dress」はキャッチーなメロが耳になじむ。ラストにM10「dance dance your first love is dead」という直球の失恋ソングをやって、そのままシームレスにM1へ接続されるのも良かった。⑧

The Bercedes Menz's Happy Children

the bercedes menz「in/out」「幸福な子供たち/リプライズ」

なぜかわからないけど「幸福な子供たち/リプライズ」を聴きながらニヤけてしまった。「大衆の好きそうな音楽」にモロに寄せてるなぁと感じてしまう。アルバム版が素晴らしいから後からあれこれやってもなぁ、と思ったらこっちの方が先にリリースされてるっぽい? どういうことなんだ。まぁでもアルバム版とは違う味がある。疾走感のあるハードロック「in/out」はこれはこれで良かったんだけど、なぜかそこまで印象に残らなかった。⑥

In/Out / Happy Children/Reprise - Single