最近聴いた邦楽 / 24-10-17 (original) (raw)

新譜をチェックしつつ、ここ最近はBialystocksを聴いているのだが、あまりにも良すぎて、今月は家主とBialystocksの二本柱かなとなりつつあるところ。新譜の中ではにしなが良かった。

envy『Eunoia』

楽しくなければテレビじゃない、というコピーになぞらえて言うと「美しくなければ音楽ではない」と思う。一時期まで轟音の音楽というのが苦手だったが、最近はむしろベルセデスとか君島さんとかそういう轟音の音楽を欲している自分がいる。今回はじめて聴いたenvyの音楽も轟音ではあるが、決して騒音ではない。美しい。できるだけ大きな音でこの轟音の音楽をいつまでも聴いていたい。はじめは音楽に酔いしれていたが、少しずつそこで「語られる」言葉の美しさにも目が向いた。良。⑧

Eunoia

にしな「ねこぜ」

楽曲のアレンジの良さもあるけど、とにかくメロディーと歌詞が良い。労働讃歌というか、人生讃歌というか。冴えないなぁとか、つまらないなぁとか、働きたくないなぁとか、いっそこのまま日曜(休日)が続けばいいなぁとか、そんなことを日々思いながらもそれでもまぁ一応仕事に行って働いて、そして、どうにかこうにか生きていく「同志たち」のための歌。決して全てが充実するわけでもないし、生優しいわけでもない、そんなこの世界を生き抜いていく、希望に溢れた良い歌だ。ほっとけー!⑨

ねこぜ

ねこぜ

僕が見たかった青空「好きすぎてUp and down」

youth caseがyouth caseらしさをそのまんまやっている感じだが、これを表題曲にするのは外への訴求を考えたときにあまりに正しいような気がする。僕青版のOut of the blue または I see... という感じかな。前作と比べてもダンサブルなナンバーだが、4枚目のタイミングで若干の方向転換をするのは乃木坂の初期の継承という感じもある。歌詞なんかちゃんと聞かなくても、この楽曲にそれなりのダンスパフォーマンスがあればもうそれは多分「良い」ってことになるような気がする。⑦

好きすぎてUp and down

giue「あ・こ・が・れ」

コード進行のせいか、不安定でふわっと浮遊するような雰囲気から始まり、ヴォーカル(旋律線)が良いなと思わせるところもあったり、最後には割とキャッチーなところに到達していくなど、色々な顔を持った作品だったなと。面白い。⑦

あ・こ・が・れ

あ・こ・が・れ

TOMOO「エンドレス」

TOMOOさんの新譜来たなぁと思ったら、ゴリゴリのピアノバラード。アルトボイスのバラードに弱い私としてはそれだけで優勝。結びつくこともないが消えることもない想いを歌っている歌詞もずっといい。結び合わさらないリボンは螺旋を描いて、離れていても互いに影響し合っている近い存在、もっと言えば一つの存在となるんだろうし、螺旋⇒DNA⇒次の世代の身体にまで継がれていくモノというところまで読みこんでも良い気がする。ピンポイントにいい音を鳴らしているエレキギター、ピアノの陰から聴こえてくるアコースティックギターに耳が奪われた。⑧

エンドレス

エンドレス

Bialystocks『Tide Pool』(2022)

ビアリストックスのEP作品。5曲収録だがバラエティの豊かさと各曲の音楽的な充実を感じられる作品集だった。「Over Now」だけでも満足できてしまうレベルだし、続く「All Too Soon」も素晴らしい。最近ではあまり聞かない言葉となった「フーテン」という曲の「どんなヒーローも悩みはあるけど 俯いてちゃいけない」という一節がとても印象的で、「背負わされる男」のことをありのままに歌っている感じがどうにも好きだなと。⑧

Tide Pool - EP

Bialystocks『ビアリストックス』(2021)

天才か、いや天才すぎないか。初めて聴いたときの感動という意味ではビアリストックス史上どころか今年あれこれ聴いてきたポップス音楽史上でも一番かもしれない、それくらいにあまりに良すぎた「ごはん」。正直「花束」「I Don't Have a Pen」「またたき」も(以下略)素晴らしい曲であることに違いないのだが、「ごはん」はひときわきらめいていて、そしてひときわ切なくも温かかった。ちょっと褒めちぎりすぎたかもしれないが、この一曲だけで個人的には満点をつけられる。もう一曲、ラストに収録された「Nevermore」もとんでもなく良かった。曲の展開の見事さ、メロディーの良さ、歌詞の良さ、トラックの良さ、何よりアウトロのピアノソロのあまりの美しさ、この曲で感動しないはずがないだろう。ビアリストックスを聴いているとクイーンやはっぴいえんどをはじめ、色々なミュージシャンのことが思い浮かぶ。ロックの系譜を感じさせながらもビアリストックス独自の色をすでに確実に出している、一枚目ながら圧倒的な完成度を誇るアルバムだった。いい音楽すぎる。⑩

Bialystocks

Bialystocks「Winter」/「Emptyman」(2019)

もうすぐ冬だなぁと思わずにはいられない、バラード曲の「Winter」はビアリストックスらしいエモーショナルなメロディーが良かった。楽曲の盛り上がりもツボを押さえた良い展開でポピュラーさを感じさせた。「Emptyman」はアップテンポなジャズ調の一曲で、絶妙に脱力的というか、気だるげな感じが良い。サビ前のところは割と規律的な感じなのに、そこからサビに行くと激しく一気に自由さを増す展開が好みだった。⑧

Winter

Winter

Emptyman

Emptyman