【一日一捨】Day 1 (original) (raw)

一日一捨、初日は飲み残しのストラテラを捨てる。

ストラテラ40mg

ADHDの治療薬ストラテラ(一般名:アトモキセチン)。

診断を受けて最初に試したお薬がこれだった。

あざやかな青色は美しいものの、まずい。カプセル剤に味もクソもないと思うけれど、なんか薬臭くてまずいので見る度げんなりする。

うろ覚えだがストラテラは当時まだジェネリックがなくて薬価が高く、経済的な負担がかなり大きかった。

私は最終的に最高用量の120mgまで増量したものの効果はさっぱりで、時間をかけてゆっくり効く薬だという説明を鵜呑みにして飲み続けたけれど、体感はまったく変わらなかった。

そのくせ副作用はきっちりあって、最初は低用量で吐き気止めと一緒に飲んでいたのに食べもののにおいを嗅いだだけでえずくというひどい有様。しばらくのあいだ体が食べものを受けつけず、短期間でかなり痩せた記憶がある。

この頃は抑うつ気分も強くて、効果を感じないと先生に伝えることさえできないまま漫然とストラテラを飲み続け、気力が尽きたところで通院自体を諦めてしまった。

それでもお守りのように今日まで取っておいたのは、やっぱり心細かったんだと思う。

子どもの頃から抱えてきた生きづらさは確かにあって、それを解消できないまま生きていく現実がこわかった。

投薬治療という選択肢を目に見える形で残しておくことが、私には必要だった。

けれどいまは大丈夫。ありがたいことにインチュニブがてきめんに効いた。

薬でなにもかもが解決できたわけではないものの、人間に近づいて、少しだけ前を向けた。

長いトンネルの出口が見えてきたような、そんな気がする。

ストラテラとは縁がなかった、ただそれだけだった。