統計が語る「安倍政権の支持率が回復する理由」―河野勝氏の中央公論論文がトテモ面白い(ツイート集) (original) (raw)
— 中央公論編集部 (@chukoedi) 2017年10月10日
一部で話題の、河野勝「なぜ安倍内閣の支持率は復活するのか」(『中央公論』11月号、pp.84-97)を読んだ。めっちゃ面白かった。いくつかの調査とデータから、かなり意外な結果が出てるけど、どれも説得的でかなり納得した。おすすめの論文。
— はん (@kanhuni) 2017年10月27日
読売新聞の「思潮」欄で、『中央公論』11月号(発売中)の「なぜ安倍内閣の支持率は復活するのか」(河野勝氏)が大きく取り上げられました。また、坂元一哉氏の〈私の3編〉には、「『日本核武装論』はいかに議論すべきか」(渡部恒雄×櫻田淳氏)が選ばれました。
— 中央公論編集部 (@chukoedi) 2017年10月31日
河野勝「なぜ安倍内閣の支持率は復活するのか」『中央公論』2017年11月号.内容も面白いが、卒論を書く学部生には「書き方」が参考になる。現実から重要な検証課題を抽出→入手可能な観察データで既存の有力仮説と簡略に照合、矛盾点を指摘→サーベイ実験によるデータで検証、結論と含意を提起。 https://t.co/Z8QtY6ig7x
— Masaru Nishikawa (@NishikawaMasaru) 2017年10月26日
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これらが反響。
では、どんな内容が書いてあるのか…自分で文章を書く前に、その関係のツイートをみてみよう
『中央公論』河野勝「なぜ安倍内閣の支持率は復活するのか」安倍政権のもとで一時的に支持率が下がるのは一番近い身内と考えられる支持者たちが、冷や水を浴びせているから生じているという内容。支持率の低下は左派やリベラル勢力の活性化によって生じているわけではないという。一読の価値あり。
— issaku (@issaku14) 2017年10月23日
しかし、こういう現実はこうだよみたいなリアルポリティクス(?)を突きつけられると、何もかもがどうでもよくなるよね。ただ虚しくなるだけ。
まあクソリアリズムよりも理想を語りたいとは思うけども。具体的にいうと、安保法制のとき安倍内閣の支持率が一時的に低下したのは左派やリベラルな有権者がその批判を強めたからではなく、むしろ保守的な有権者が一時的に安倍支持を表明することをためらうことによって、生じているという内
だから支持率の低下は一時的にとどまり、支持率はいつも復活するというわけ。
ということはリベラルはある程度、保守的な有権者を切り崩さなければダメだということ。保守的な有権者をどう説得できるか。
中央公論11月号の河野勝教授の記事「なぜ安倍内閣の支持率は復活するのか」を読んだ。安倍政権支持−不支持の間で揺れ動いている人は、そもそも自民党の政策に近い考え方を持つ人たちで、左派やリベラルではない。彼らは首相の政権運営に対する諾否によって意見を変えているという指摘。
— 西上 柾 (@Sheol0x01) 2017年10月23日
これに従えば、今選挙での自民党圧勝でも内閣支持率が上がらない理由は明確で、彼らは「安倍政権の存続は支持するが、強引な解散に打って出たことは支持しない」という意味で内閣不支持を表明しているのである。
— 西上 柾 (@Sheol0x01) 2017年10月23日
わかるかな?
ちょっと自分は時間に追われつつ大急ぎで一回目を通しただけになるので、詳しくは述べられないが…
上のツイートも参考にしつつ、要約すると
・安倍内閣の支持率が下がった安保法制と、モリカケの国会時期の、支持率の推移、そして支持⇒不支持に変わった層の、その他の政策に対する指向を見てみた。
・すると意外や、この時「支持⇒不支持」に変わった層が、たとえば安保法制に賛成か反対か、違憲か合憲か……というのを聞いてみると、実は「安保法制に賛成だし、合憲であるとも考えている」という層だった。
・実は内閣支持率が減少するときは、政策面での支持が不支持に変わったりはしていない。政策は支持する、でもほかの面(国会運営とか、説明責任・透明性の問題とか)がダメだぞよ、という意味で支持をやめ、政権に「冷や水」をかけていたのだった。
・だから、政策面も内閣の姿勢も基本的には支持しているのだから、いつかは支持に戻ってくるのが自然だったのだ
ふーむ・・・・・・・河野氏は、こういう態度を「ポピュリズムとはほど遠い」と評価している。
たしかに、安保法制の支持者たちが、別に盲目的に安倍個人を崇拝してるわけでもなんでもなく、また政策評価と「政権の姿勢」を別立てで評価して、国会運営や情報公開でいわゆる”傲慢さ””強引さ”が見られた時は支持しないような穏健な態度をとっているというのは意外にも聞こえる話である(反安倍論者からは「じゃあしばらくしたら、支持に戻るなよ!」と言いたいだろうが)
タイトルで煽ってアクセスを稼ぐなら「【悲報】安保法制の支持者が、一番穏健で是々非々の態度をとる層だった」とやってもいいぐらいだった(笑)
そして自分は、河野氏とちがってまったく統計調査しない印象論で(笑)
安保法制支持が少し増(朝日調査)、への印象論的仮説 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151023/p1
というのを書いたが、これの「答え合わせ」的にも面白かった。
『賛否の基準が「混乱を起こすな」』という層ではないか、という推測と、今回の結果は、そうかけ離れたものではない感じもするけど…
と同時にこの論文には、
・支持率、不支持率単体ではなく、それを重ねた差異の数字が重要(故石川真澄氏が、ナントカとこれを命名していた)
・大きな政治的争点になる問題だと、不支持率だけでなく支持率も上がって「どちらでもない数字」が下がるのが通例。支持も上がることを「旗下集結効果」という
・質問の順番を入れ替えて聞くことで、バイアスを減らす
などの話があり、じつに面白かった。
11/10には次号が出てしまうので、興味ある人はお早めに(図書館には長く置いてあると思うが)
この論文を評した連続ツイートがあった。(新家博)
紹介したあるツイートは連続のものであるとあとで気づいた。
冒頭だけ埋め込み、あとはコピペで
https://twitter.com/ashikabiyobikou/status/923360935472898048/
- この「なぜ安倍内閣の支持率は復活するのか」という中央公論11月号に掲載された論文が面白い。なぜ、面白いか。それはここで問われている問いが通俗的に考えられる理由やアメリカなどの他国の現象から導き出された説明概念ではまったく説明がつかないということを明らかにしたからである。 pic.twitter.com/QrKwnB8FGv
— 新家博/Niinomi Hiroshi (@ashikabiyobikou) 2017年10月26日
— 中央公論編集部 (@chukoedi) 2017年11月3日
新家博/Niinomi Hiroshi @ashikabiyobikou 10月26日
その他
返信先: @ashikabiyobikouさん
2) アメリカのトランプや最近のヨーロッパの右翼政党の台頭をみれば明かなように、他国では「安全保障や治安秩序といった外交・防衛に関するイッシューが争点化すると、短期的に自国のリーダーに対する評価が高まるという現象」が起る。ところが安倍政権ではそうならない。
実際は、安倍政権の中核的支持層と考えられる人々に受けの良さそうな主張や政策を展開するときほど、かえって支持率が下がる。で、専門家が「旗下集結効果」という概念で説明する、いわばポピュリズム的手法は日本では働かない。また経済影響説も有効性と説得力がないという。
この論文は、日本人が漠然と感じていることを統計学処理によって明晰に人々に示した。憲法改正問題のような論争性の高い政治課題では、左翼やリベラル、それを煽るメディアの報道によって安倍政権の支持率が下がるのではない。実態は安倍政権に最も近い支持たちが離反して支持率が下がる。
この論文から導き出されるのは、安倍首相は今後、悲願である憲法改正に本格的に取り組むであろうが、安倍首相の敵は共産党や立憲民進党ではない。そんなものは敵ではない。安倍首相の敵は。意外と情動的に行動しない安倍支持者の保守層なのだ。河野氏によれば、安倍首相はそれを十分心得ている。
したがって、安倍首相の今後の課題は、安倍政権が成立から今日までずっと、保守的な支持者たちを中心に比較的高い評価を維持しながらも、論争性の高い政治課題について支持層を掌握しきれなかったという問題をいかに克服するかにかかっている。左翼やリベラルではない。敵は身内にあり、なのだ。
この安倍政権支持率変動の不思議、また日本の政治の本質を既存の概念では説明できない不思議。本当はここからが政治学者や社会学者は、本気で解明努力をして欲しいと私などは常々思っている。他国なら「旗下集結効果」やポピュリズムによって容易に説明できることが日本には当てはまらない。
そこで、私は切に願う。日本の政治学者や社会学者は今一度、立ち止まって余技としての日本人論ではなく、本気の日本人論に取り組んで頂きたいと。そうしない限り、他国と非常に異なる現象がいかに明晰になっても(これだけでも凄いが)、その原因については、まったく説得力ある説明ができない。
そのために、日本の学者は西洋学問を販売する輸入業者とほとんど変わらないということになり、日本人が日本人自身を他国の人間に説明ができず、明治維新以来ずっと日本人が抱えているイライラを解消できない。そこから起る日本人の不安症状はいっかな治らない。
私は自分が死ぬまでに、私の仮説で様々な日本的現象、日本人の「説明できない」と考えられている言動を死ぬまで説明しきっておこうと、今、日本人論をまとめている。しかし、私のような無名な人間ではどうしようもないところがある。
それなりに地位と責任ある学者が本格的な<日本人論>を展開される日を私は切に待っているのである(その気配は今のところ感じられないが)。河野氏の素晴らしい論文、まさに<日本的なる>現象の摘出を読んで、一層有益な<日本人論>の出現を強く願った次第である。