静心なくお金飛ぶらむ (original) (raw)

11/16 『スケロクブギ!』夜公演@ナゴヤ

~配役~

助六(曽我五郎時致):名古屋山三郎さん(以下「座長」)

揚巻(鈴香):名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

外郎売(曽我十郎祐成):名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

工藤祐経/通行人:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

仁田忠常:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

この日はかなりスタンダードな配役。その分じっくり観られたように感じます。

ここのところ座長の助六を続けて拝見しているのですが、どんどんツッコミ属性が増しているような気がしています。この助六、昔からきっと天然で人の好い兄にツッコミを入れてきたのだろうな……。

時に初期の座長の助六が小さめのピアスをたくさんつけておられたのが好きだったのですが、最近は大きめのフープが左右一つずつになっていて寂しいです。戻すご予定とか、ないかな……。ないか……。

サンエーさんの揚巻は少し久しぶり。個人的に捕らわれた揚巻と十郎が会話するシーンの空気感が好きなので、久々に観られて嬉しかったです。

サンエーさんの揚巻の緊張感と明確な敵意のバランスが良く、工藤と対面するシーンでは弱く見える一方で、助六や十郎を諭すシーンでは芯の強さが見えるのが好きでした。

ここのところ続けて十郎を拝見しているトラザさんは、この日喧嘩のやり方を助六に教わる際に声帯をその辺に落っことしていて季節の変わり目を感じました。お大事に……!

最近ラストシーンの十郎の感情が回によって全然違って見えて、これがお芝居の面白いところだなと思っているのですが、この日は特に悲しそうに見えて新鮮でした。助六に鞘を渡す動作にも万感の思いが詰まっていて、あの瞬間、言葉を交わさずとも曽我兄弟の感情が通じ合ったのだなと思いました。

髭の意休は原典である『曽我物語』の台詞を述べるところがあって、演じている人によってその台詞の重圧感が変わるのですが、ダエモンさんの髭の意休は特に重量を感じるのが面白くて好きです。

いつもユニコーンに乗って登場してからの台詞が長く他の皆様から「巻いて!」と言われている髭の意休ですが、この日は割とスムーズで良かったです。

工藤はこの日もサンスケさん。サンスケさんの工藤をずっと拝見している印象なので、違うお役も拝見したいです……。新役も出ていますがいつになったら拝見できるのやら……。

ジューローさんの仁田も見慣れたものですが、この日は何故か仁田までバナナでボケていて大笑いしました。ボケはちょっとよくわからなかったけど。仁田って格好良いポジションのはずなのに面白い記憶ばかり残るのはやっぱりジューローさんだからなのかな……。

シロウさんの門兵衛は久々に拝見できました。シロウさんの門兵衛は若い衆という印象が強くて常々可愛いな……と思っているのですが、二幕の近江はとても冷え冷えとしているのでギャップに驚かされます。近江のアナザーストーリーも観たいところです。

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いよいよ年内最終公演日も発表された『スケロクブギ!』、今年中に観られるのも残り僅かになってきましたが、たくさん観劇して〆の会を迎えたいです!

11/12 舞台『のうぜい合戦』@穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

~配役~

猪狩智也:小出恵介さん
宮地健介:細貝圭さん
新開光昭:田淵累生さん
猪狩典子:緒月遠麻さん
岸カスミ:古畑奈和さん
岸あきひこ:田村侑久さん
望月類:村瀬文宣さん
本橋徹:服部ひろとしさん
猪狩恒吉:うじきつよしさん

かつて2.5次元舞台を中心にしていた頃推しとの共演が多くよく拝見していた細貝さんと、BOYS AND MENの推し枠である田村さんがご共演と聞き、これは行かねばと豊橋まで行ってきました。田村さんとWキャストの小坂さんも観たかった……!

今回チケットがSS席だったため、前方席だとは分かっていたのですが、実際に入ってみると思いのほか近く驚きました。

セットはしっかり組んであるタイプで、つまり転換がないということだな……? と思った通り、最初から最後までノンストップの公演でした。人々の入れ替わるテンポも速いのに、初見でも振り落とされることなくついていくことができて、さすがなるせさんの脚本だな……と思いました。このおたく、なるせさんの脚本には舞台『文豪とアルケミスト』でお世話になっています。

ストーリー自体はとある地方自治体で、ふるさと納税を始めようとしている中で推進派と反対派の対立が起こるという構図なのですが、すべての登場人物の癖が強すぎる……! 皆それぞれ良い面も悪い面も持っていて、それがとても人間臭いなと思いました。

猪狩は、初めのうちはスピーチの練習をしようとする度に邪魔が入る不憫な人だという印象があったのですが、話が進むにつれてたちの悪さが露呈してきて、怪物のように見えました。この物語に登場する人物の中で、一番欲に忠実でその場しのぎが得意な猪狩は、きっとこの先も適当にお茶を濁して生きていくのだろうな……。嫌だな……。「マスオさん」と揶揄されていましたが、多分マスオさんは不倫したうえその罪を上司に擦り付けて逃げることはしないと思います。

宮地は基本的には良い人なのですが、組織票に心が揺らいだりカスミに対してはっきりした態度を取れないあたりはやはり弱いなと思いました。

個人的に一番最初に拝見した細貝さんが學蘭歌劇『帝一の國』の駒光彦だったため、また政治をしている……! と思ってしまいました。駒は氷室の間違いを正すことができた人だったので、今回も一度はふるさと納税推進派に流されてもしっかりと自分の信じる正解を貫くことができて嬉しかったです。あとはカスミをどうにか幸せにしてもらえないかと願うばかりです。

新開は一番観客の目線にいる存在なのだなと思いました。実際に市役所の窓口で質問をした時に新開のような何も知らない人に当たると不安になりますが、新開がいるおかげで税収について詳しくない人でもついていけるように作られていて助かっていました。

田淵さんのご活躍は映像では拝見していたものの、実際に現地で拝見するのは初めてだったため、ここで拝見できて嬉しかったです。何となくアドリブに強い方のような気がしました。

典子は不倫をしていたり自分の利益に貪欲であったりと悪い面が目立つのですが、それは猪狩の目を通してこの『のうぜい合戦』という物語を見ているからなのかもしれないなと思いました。

実は典子って冒頭からずっと猪狩とよりを戻そうとはしていて、そのサインを受け取っていないのは猪狩なんですよね……。まあ不倫はしていますが……。

カスミは猪狩の不倫相手にされた被害者ではあるのですが、はっきりと意見を言わないところがあり、それがずるいなと思います。カスミがもう少しきっぱりした態度を取ってくれたら物事もスムーズに解決しただろうに……!

カスミは何やかんや宮地の好意を受け取らない可能性があって怖いです。

あきひこ(というかウニ男)は、物語を掻き回す重要なポジションを担っていました。正義感と思い込みは多少強すぎるものの、自分の町のような失敗例が増えないようにと動くことができるあきひこはとても優しいと思います。それにしても毒性の強いウニを客席に投げつけるのは予想外で大笑いしてしまいました。

今回田村さんのお芝居を久しぶりに拝見したのですが、「岸あきひこ」という役を田村侑久という人間にうまく落とし込んでるなと思いました。近々また舞台のご出演があるので、そちらも観にいきたいです!

望月は初めは若手の記者なのかな? と思っていたのですが、実は敏腕で驚きました……! 身を隠さなければならない程の闇に触れた望月、何を知っているのやら……。

村瀬さんは以前『ナナシ』で拝見していて、次回『国性爺合戦』で拝見できる予定なので、ご縁があって嬉しかったです。

本橋はわりと良い雰囲気で物語を終えたと思いますが、それでも不倫をしていた事実は消えないんですよね……。それでも本橋が良い人に見えてしまうのは、猪狩と違って反省の色を見せるからなのかなと思いました。

恒吉は典型的な厄介なご老体なのかと思ったのですが、思いのほか熱い御仁で驚きました。アルツハイマーアルコール依存症になる前はしっかりとした技術者だったのだろうな……と思いました。諸行無常……。

うじきさんはお稽古の辺りからよくSNSのおすすめTLに流れてきていたので、ランダムブロマイドでサイン入りが当たって嬉しかったです。

今回は田村さんのおたくで細貝さんと小坂さんのグッズが欲しい謎の人というスタンスで観劇しに行ったのですが、スタッフの皆様が推しの現場でお会いしたことのある方ばかりで不思議な感覚でした。いろいろと本当にありがとうございました……!

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今回一公演のみの観劇だったので、アンテナに引っけられなかったところがたくさんあるのだろうなと思うのですが、SS席の特典で台本をいただけたので、じっくり読みたいと思います。

久しぶりにお芝居を拝見できた方がたくさんいて嬉しかったので、次は舞台『文豪とアルケミスト』で田村さんや細貝さんを拝見したいです……!

11/10 『スケロクブギ!』昼公演・夜公演@ナゴヤ

~配役~

助六(曽我五郎時致):名古屋山三郎さん(以下「座長」)

揚巻(鈴香):名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

外郎売(曽我十郎祐成):名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

工藤祐経/通行人:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

仁田忠常:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

前日までどっぷりと『TRASH BOX』の世界に浸っていたのですが、トラザさんがご出演とのことでおたくも元気にナゴヤ座に行ってきました。

この日助六は座長。座長のお芝居って普段からとても安定していて、マイナーチェンジというよりは別種のものが出てくるという印象なのですが、この日の助六は夜公演でマイナーチェンジがあった助六のように感じました。どこが、と上手く表現できないのが悔しい……。

座長の助六は大人っぽい印象があるのですが、この日はどこか幼く見える瞬間もあって好きでした。

十郎が「今口に謝らせるから」と孤軍奮闘している間、冷静に突っ込みを入れていたのも面白かったです。

揚巻はシロウさん。シロウさんの揚巻と座長の助六のコンビは、ここ最近よく拝見している気がするのですが、他の助六と組んだ時よりどことなく大人っぽく見えて不思議でした。

昼公演でこっそりサンスケさんの水を冷蔵庫に戻したために夜公演で助六が揚巻に回した水を工藤に奪われたのですが、十郎からもらっていてこの揚巻は強かだなと思いました。

十郎はトラザさん! 座長の助六との組み合わせは本当に久しぶりで、一周まわって新鮮に感じました。

ジューローさんが助六の日は喧嘩の仕方で見せ場を奪う十郎ですが、久しぶりに「オイオマエ!」と高い声で威嚇する十郎を観られて嬉しかったです。夜公演では一度「おい鬼太郎!」と口走っていて、水木しげる作品のおたくは大喜びでした。

またこの日はパリ祭だったため、夜公演の練り歩きからベレー帽を被っていた外郎売が本編最初の登場の時にベレー帽を烏帽子のように立てて被っておられて大笑いしました。ずるい。

トラザさんは助六も十郎も演じておられるため、毎公演ラストシーンは手に汗握るのですが、この日の夜公演でぽとりと音を立てて落ちた十郎の汗にはっとしました。今まで拝見してきた十郎は揚巻の言葉に納得して助六に刀の鞘を差し出していたような気がするのですが、この日は溜飲を下げるために鞘を渡して助六に託したような感覚があり、それがじんわりと良くて好きでした。

前日までteam TRASHの長谷川さんとしてのお姿を拝見していたため、このタイミングでトラザさんのお芝居を観られたことがとても嬉しかったです!

ジューローさんといえば笑いの神様に微笑まれていることでおなじみですが(?)、この日もしっかり爆笑の渦を引き起こしていました。

というのも、この日ジューローさんはもはや安定の仁田役。仁田はアイテムボックスからバナナを手に入れて「滑るぞ〜」と言った途端仁田自身が足を滑らせるというミラクルが起こり、助六たちからも「面白いことやる前にウケるのやめてくんない?」と言われていて大笑いしました。

そしてこの日最大のモンスターといえばやはりサンキューさん演じる通行人のカブッキーマウス……! とんでもない出オチではあるのですが、そのインパクトがあまりにも強く笑いすぎて呼吸ができなくなるほどでした。新キャラに不意を突かれた助六と十郎が笑い転げていたのが可愛かったです。

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今回は前日まで観ていた『TRASH BOX』の記憶で頭がみちみちのタイミングで観てしまったので言語化が追いつかなかったのですが、外部公演が終わっても帰るところがあるって幸せだなと改めて感じました!

次回観劇日が絶妙に決まっていないのですが、新役も出ていて次回も楽しみです!

11/8 team TRASH 本公演 10th Anniversary performance『TRASH BOX』@北文化小劇場

11/9 team TRASH 本公演 10th Anniversary performance『TRASH BOX』昼公演・夜公演@北文化小劇場

発表から楽しみに待ち続けたteam TRASH本公演。おふたりのご活躍は日々拝見しておりましたが、「team TRASH」としての活動をようやく拝見することができました!

前説(前説については後述します)とOPの映像が終わり、スクリーンに浮かび上がったのは洋装の長谷川さんと和装の神田さんのシルエット! 「team TRASH」のシルエットだ、と歓喜する暇もなく、始まった立ち回りの緊迫感と、これから始まる公演への期待でわくわくしました。

おふたりが交差する形で駆け抜けて最初の立ち回りが終わり、暗転した舞台上に苦しげな声と共に登場したのはスウェット姿の長谷川さんでした。裸足とスウェットの組み合わせは『ヒモのはなし』を思い出してしまうパブロフの犬(おたく)なのですが、全体的にお芝居パートの長谷川さんの中に『ヒモのはなし』のシゲの欠片を感じたのは気の所為ではないと思います。また、感覚としては「答えのある『世代交代』」という印象もあり、これが神田さんの導き出したメタ演劇なのかな、とも感じました。

ここはどこだと辺りを見回す長谷川さんの元にガシャガシャと空き缶の音を鳴らしながら現れたのは神田さん。ステージ上をお掃除する神田さんに対して、こんなところを掃除してどうするんだ、と指し示すステージ上は、たくさんの思い出の品で飾られていました。開演前に物販ブースの装飾に見覚えのある帯や虎の羽織があったのも、このステージ上に飾られた思い出の中のひとつだったのかな、とこの時思いました。個人的にはステージ上で刀立てになっていた樽が忍者隠密隊B.C.Aのもので、TANBA様(と、百地丹波様)も長谷川さんを構成する一部なのだと言ってくださっているようで、とても嬉しかったです。

余談ですが、毎公演長谷川さんが捨てようとするアイテムが違って、その度に神田さんが「捨てないで! ちゃんと育てるから!」と子猫を拾ってきたことがバレた子供のように守っていて好きでした。宝物を守ってくれる神田さんに感謝です。また、仮面ライダーのフィギュアをみて仮面ライダーの歩き方を再現する長谷川さんに対し「言われたことある」、背中で泣く長谷川さんに対し「道に迷ったおばあちゃん」と言う神田さんのことばえらびも秀逸で好きでした。

「思い出してくださいよ、昔のこと」「夢とかないんですか」と問われてもだらだらしていた長谷川さんに対し、神田さんが日本舞踊を勧める中でお手本を見せる、と「松の緑」を踊られ、ここでおたくは一度大喜びしました。神田さんの舞を拝見する機会は今までにも意外とありましたが、しっかりと日本舞踊の披露の場として拝見したことはなかったので、新鮮に一つひとつの所作を注視できたのか嬉しかったです。

「松の緑」を終え、「三つ首」を中心とした型の話を経た神田さんは無理やり長谷川さんに着物を着せ、おふたりで一緒に「I'm a mess」という曲で踊ることに。この時の神田さんが、「僕はずっとあなたと踊りたかったんです」と仰っていて、その言葉通りとても嬉しそうな笑顔を浮かべておられたのが本当に好きでした。長谷川さんもところどころ笑みが浮かんだように見える瞬間があって、team TRASHの関係性ってやはり素敵だなと再確認しました。

また、着物を着付けるという流れで「女性に着付けるのっていいよね」「やましい気持ちはないがお山があったら見る」と言い合うおふたりは控えめに言っても最低でやはり人間なのだな……と思いました。

「I'm a mess」を披露して、着物を脱ぐ途中でラジカセにぶつかってしまう長谷川さん。その衝撃でラジカセからは『仮面ライダー電王』の曲が流れ出しました。やらないよ、と渋っていた長谷川さんでしたが、神田さんに押し出されるようにして仮面ライダー電王の各フォームの変身を含めた素面でのアクションショー! 確か曲は「Double-Action」……ですが、実は『仮面ライダー電王』は未履修のためあまり分かっていません。しかし、ヒーローショーに夢中になったことがあるおたくは、観たいと思ってももう叶わないのだと思っていた長谷川さんによるヒーローアクションが観られて本当に嬉しかったです。普段ナゴヤ座で名古屋虎三郎さんとしてのお芝居を拝見している中で、「今日のお芝居はヒーローだった!」と強く感じた回があって、そのお姿がとてもきらきらしていたことが忘れられないおたくは、ヒーローを演じる長谷川さんにあの時のきらきらを感じて毎公演涙目で拝見していました。

ヒーローとなった長谷川さんに決め技を食らって倒された神田さんが捌け、花道に一人長谷川さんが残された状態で始まったのは一人語り。この内容、以前文字にしてくださっていたのですが、実際に長谷川さんの口から聴くと言葉に実感の重みが乗って、ぼろぼろと泣いてしまいました。内容を要約するのは簡単なのですが、長谷川さんの言葉選びが一番伝わるのではないかなと思うので、Instagramのリンクを貼っておきます。(→ https://www.instagram.com/p/B1RVB9UAghy/?igsh=M3B5bW14N3FrNHFy

ヒーローショー時代の思い出を語って夢を取り戻した長谷川さんが何処かへ行くのと入れ替わりに神田さんが再びご登場。ここまでのジャージ姿とは打って変わって凛々しい着物姿で「夢芝居」を舞われました。

実は幼い頃から日本の文化に惹かれて生きてきたおたくなのですが、日本舞踊っていまいち見方が分からずにいます。日本舞踊の振り付けにはそれぞれ意味があると聞いたことがあるのですが、基礎教養が足りないためにどこに注目していいのか分からないからです。そんなおたくでも、この「夢芝居」は歌詞と振り付けとのリンクが見えて、日本舞踊を観る楽しみが少し分かったようなきがしました。

また、曲の途中で神田さんの語りもあり、どうして日本舞踊をやろうと思ったのかというお話を聞くことができて良かったです。その前の長谷川さんの語りで緩んだ涙腺はここでもまた緩みました。

神田さんの「夢芝居」が終わったばかりのステージに花道から現れたのは『ポケットモンスター』のサトシの衣装に身を包んだ長谷川さん。長谷川さんが「めざせポケモンマスター」を歌っておられて、それだけで十分に面白いのですが、 長谷川さんが神田さんに名前を尋ねた瞬間笑ってしまいました。サトシとタケシですものね……! 客席の手拍子を煽りながら通路に降りて歌う長谷川さんの後ろで、慌てて着物を脱いでピカチュウの着ぐるみパジャマに着替える神田さんは三公演目、千穐楽にしてついに成功。客席からも「おお……!」と声が漏れた気がします。千穐楽ではお手伝いに来ていた加藤大輔さん、伊藤楓人さん、山本航大さん、神谷脩介さんがダンサーとして登場し、局所的にステージ上の平均年齢が下がったのが地味にツボでした。

「夢を思い出した」と主張する長谷川さんに、「あなたの仕事は殺陣師でしょ!」と思い出させる神田さん。長谷川さんのつけるアクションが好きだ、とまっすぐなラブコールをぶつけるお姿が本当に好きでした。あとここ、「いやもう疲れたし」と乗り気でない長谷川さんに「できないの?」と吹っかけて「何使ってもアクション作れるし」という言葉を引き出す神田さんの手腕に麗麗さんでも見たな……と思いました(紅愛さんと近藤りょーじさんの「やれんの?」「やれるよ」です)。

神田さんがステージ上のものから一つ選ぶ間に長谷川さんはずんずんと客席に降りてゆき、めぼしいものを物色。

初日はピコピコハンマーと上着を使っての対決で、設定は「二本足で立てるようになった牛(神田さん)」と「どこにでもいるスペインの闘牛士(長谷川さん)」。肩に上着を掛けては「湿っていてすみません」と仰っているのが面白かったです。

二公演目は段ボール箱と(お客さんに中身を全部出してもらった)鞄で、「変態の宅配便業者(神田さん)」と「ちょうど出かけようとしていたマダム(長谷川さん)」。マダムに迫っていく宅配便業者が本当に恐ろしく、神田さんの演技力に感服しました。ラストでマダムが華麗な蹴りをいれていたせいで、一瞬にしてイメージ図がマダムから『仮面ライダー鎧武』の凰蓮・ピエール・アルフォンゾになってしまったことは秘密です。

千穐楽は『ヒモのはなし』のサイン入りのタオルと長谷川さんの語りで登場したばかりの若かりし頃の長谷川さんを面接したという事務所の専務からお借りした帽子での対決! 「面接と偽って殴り込みに来た若者(神田さん)」と「専務(長谷川さん)」という設定のこの回、他の回より肉弾戦が多く、一番好きでした。

即興アクションコーナーを終え、神田さんが「アクションと舞でやろう」と持ちかけると長谷川さんはまたも渋ったものの、見事な土下座を披露した神田さんに負け提案に乗ることに。先攻後攻を決める熾烈な戦いの末(?)、長谷川さんが着替えるため場を繋いでくれと託された神田さんによる「怖い話」のコーナーがありました。

「怖い話します」とクッションの上に正座した神田さんから飛び出したのは、エピソードに事欠かないで(多分)有名なお父上のお話。毎公演違うエピソードだったのですがどれも粒揃いの面白さで楽しかったです!

そして準備が整った長谷川さんは青い着物に赤い羽織姿に棒を担いでご登場……! 始まったのは「乱の舟唄」でした。

この曲での踊りは、実は6月の『大江戸喧嘩花』で安田桃太郎さんが踊っておられたのを拝見しています。それがとても格好良く、長谷川さんにもやっていただきたいなと思っていたものの、その時はスケジュールが詰まった中での一日だけのゲスト出演だったため叶うはずもなく、諦めていたため、ここで拝見できると思わず本当にびっくりしました。

曲に合わせて手拍子を煽り棒を振り回す長谷川さんは太陽のように眩しくて、私が大好きな長谷川さんの要素がたくさん詰まっていました。本当にありがとうございます。物販のランダムブロマイドにこの「乱の舟唄」のお衣装も何種類かあってとても嬉しいです……!

入れ替わりで神田さんが踊られたのは「夜桜お七」! この曲、紅白歌合戦でしか拝見していないのですが、拝見する度に好きだなと思っていた曲だったので嬉しかったです。「夢芝居」の舞とはまた違って、嫋やかさのある傘や扇を使った踊りで、食い入るように見ていました。紙吹雪も使っておられて、これも『大江戸喧嘩花』で拝見したやつだ……! とわくわくしました。あの6月、移動量が正気ではなかったものの、この『TRASH BOX』の解像度が上がったので本当に行って良かったです。

そしていよいよラストの洋装の長谷川さんと和装の神田さんによる立ち回り! ストーリー仕立てになっていて、これがteam TRASHの本領発揮なのだろうなとすんなり納得できる演目でした……! 長谷川さんの上裸は拝見したことがありヘルシーだなと思ったのですが、神田さんが片肌脱ぎになった途端見てはいけないものを見ているのでは? と動揺しました。客席も少しざわついていたように感じます。肩に揃いの紋章が入ったおふたりが、ようやく対等に戦える相手を見つけたと言わんばかりに楽しそうに刃を交わしていたのが好きでした!

カーテンコールでは写真撮影タイムを挟み、事前に書いた感想をくしゃくしゃに丸めてステージに投げ込むという演出がありました! 終演後にステージまで届かなかった感想を回収しておられるところをお見かけしたのですが、ちゃんとごみ箱に入れて回収しておられて、この『TRASH BOX』の最初と最後にスクリーンに表示された「One man’s trash is another man’s treasure. 」(「誰かにとってはゴミでも、誰かにとっては宝。」)という言葉のように、ごみ箱を宝箱にしているようで大好きでした。

ここで思い出したように冒頭で後述すると書いていた前説ゲストのお話です。といいつつ、雀の涙しかない記憶領域を本編に割かれているためメモのようなレベルでごめんなさい……!

初日は「おもしろ前説ゲスト」がナゴヤ座の座長である名古屋山三郎さん(以下「座長」)、「おもしろ物販売り子ゲスト」が名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)。前説ではteam TRASHとの思い出を語ってほしいと言われたとのことで、座長が出会った時のお話をしてくださいました。曰く、今回の会場でもある北文化小劇場で共演したことが出会いで、二匹の虎をグッと調伏して仲間に引き入れたとのことで、「グッと調伏して」と言いながら小脇に抱えるようなジェスチャーをしておられたのがツボでした。また、長谷川さんから渡されたという手紙は生命保険の書類が入っていたであろう開封済の封筒に入れられていて、その雑さに笑ってしまいました。

おもしろ物販ゲストのサンスケさんは「おもしろ」を課されたために家にあるおもしろグッズを探した結果眼鏡に大きすぎる蝶ネクタイという出で立ちで物販に立っておられました。終演後も劇場出入口前の物販におられて、思わず「くいだおれ太郎」と口走ったところ「誰がくいだおれ太郎や」と本場のツッコミをいただいて大笑いしました。その節はありがとうございました(本当に)。

二日目の前説ゲストは横川結城さん。ナゴヤ座におられた頃は名古屋参十坐さんというお名前だったため、長谷川さんからのお手紙でもずっと「トウザさん」と呼びかけられていて面白かったです。また、千穐楽では横川さんにプレゼントがあると山本さん、神谷さんのおふたりが運び込んだのはゴムパッチン。久しぶりにゴムパッチンを受ける横川さんを拝見して懐かしさを感じました。

この日横川さんは他のお仕事があり夜公演の前説が終わると飛び出していくとのことでしたが、「前説ゲスト」で呼ばれているにも関わらず物販にも立っておられて働き者だ……! と感嘆しました。

今回の『TRASH BOX』という公演は、きっとここまで歩み続けてきたおふたりの得た経験を存分に詰め込んだ宝箱のような公演だったのだろうと思います。その大切な宝物をたくさん観ることができて、おたくはとても幸せでした! 公演をやろうと決めてくださって、本当にありがとうございました!

次回のteam TRASHの公演は長谷川さんによると30周年とのことでしたが、できればまた近いうちにおふたりの公演が観られたら嬉しいです!

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10/30 『スケロクブギ!』昼公演@ナゴヤ

めっきり土日勢となっている今日この頃ですが、今週はハロウィンのパレードがあるということで、珍しく水曜日のナゴヤ座に行ってきました!

~配役~

助六(曽我五郎時致):名古屋山三郎さん(以下「座長」)

揚巻(鈴香):名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

外郎売(曽我十郎祐成):名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

工藤祐経/通行人:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

仁田忠常:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人(シケモク):名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

太巻太夫/侍:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

座長の助六、本当に久しぶりに拝見できました……! 先週末もちょい見せだけは拝見していたのですが、本編で拝見できたのは実に一か月ぶり。この日は夜のハロウィンパレードでの仮装に備えてなのか、「髪は巻きたて」の座長に客席は俄かに湧き立ちました。

座長以外の助六を拝見することが続いており、すっかり記憶が薄れていたのですが、やはり座長の演じる助六は「助六」という役の型をしっかりとやっておられる印象があり、それがとても「歌舞伎らしさ」に繋がっているように感じます。ひいては、それが「ナゴヤカブキらしさ」でもあると思うので、やっぱり座長が見せてくださるお芝居は興味深いです。

また、トラザさんやジューローさんの演じる助六は最後に友切丸を収める際に感情が追い付いていない印象があるのですが、座長の助六はしっかり迷いを断ち切った上で鞘を受け取っていたように見えてやはり大人な助六だと思いました。

シロウさんの揚巻でこの日面白かったのが、工藤の前で舞う時の謡でした。シロウさんの謡はとても力強く、この揚巻はきっと図太く立ち振る舞える女性なのだろうなと思いました。この神経の太い揚巻は、工藤の走らせる馬の後ろに乗せられている時も工藤のことをぽかぽかと攻撃していてやはり胆力がありました。

当たり前といえば当たり前なのですが、『スケロクブギ!』が始まってからというもの、トラザさんがいらっしゃる日しか観劇していなかったため、サンキューさんがトラザさん以外の助六と組んでおられるところを見られていないことに気が付いたのがこの日の朝。早速座長の助六との兄弟役が観られました!

サンキューさんの十郎の優しさについては過去にも触れてきましたが、この日の助六に友切丸の鞘を差し出す時の表情がとても良くて好きでした。十郎の優しさと十郎自身の決意が籠っているように感じました。

髭の意休はトラスケさん。トラスケさんの髭の意休も座長の助六と絡むところは初めて観られました。お二人のやり取りは、どちらも髭の意休を演じておられるためじわじわと面白さを感じてしまいました。

トラスケさんの髭の意休は、毎度拝見する度揚巻を訪ねる約束を取り付けようとしている印象がありますが、この日はずっと夜行われるハロウィンのパレードに誘っておられて、しっかり宣伝もこなしているのが面白かったです。

工藤はサンスケさんで、ボールを投げるところで乱入してきた見覚えのない部下に対し、「仁田、近江、誰!?」「雇った覚えない!」と主張していたのが好きでした。普段も助六が倒す工藤の部下は三人ですが、あの増えた一人は工藤直属ではなかったのですね……。

この日門兵衛だったサンエーさんは何とピアスつき! 私は日々ピアスを観測しているおたくなのですが、門兵衛の際にサンエーさんがピアスをしておられるのは初めて見たため、偶然隣にいた友人に助けを求めてしまいました。あれ毎回拝見できたらとても嬉しいです……!

また、サンエーさんの近江は今まで台詞を仰っていなかった記憶があるのですが、この日は仰っていて新鮮でした。

そしてこの日+1でご登場だったのがトラザさん! きっとそうだと信じていたので、ちょい見せで通行人としてジューローさんと降りてこられた瞬間飛び上がって喜びました。ジューローさんのリンボーダンスの後にチョコボールキャッチをするという、お得意のマシュマロキャッチの進化版でお見事でした。

一幕で通行人としてサンエーさんが出てこられて、これはトラザさんが太巻太夫だと確信したものの、実際に出てこられるとあまりにも面白くて大笑いしました。長年身請けをされずにいた太巻がついに請け出されて花道をバージンロードのようにシケモクさんを背負って歩いていく姿は涙なくして見られませんでした(?)。

二幕では工藤の部下として立ち回り要員でご登場! 一幕からモブの時の髭の意休のお衣装を着ておられたので想像できたはずなのですが、太巻の衝撃ですっかり忘れており、出てこられた瞬間動揺してしまいました。切られ役をこなしているトラザさん、助六とは違う格好良さがあって好きでした! ボール投げのところではにこにこでボールを当てられていて面白かったです。雇った覚えがないと工藤が主張した結果「迷い込んだ良い人」という評価になっていたのも好きでした。

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そして夜公演は休演でハロウィンパレード! トラザさんはウィッグがどう見ても観音坂独歩だったのでじわじわとツボでした。今回のトラザさんのコスはBRATSさんの動画で何度も繰り返し拝見していましたが、実際に拝見できると妙な感慨深さのような嬉しさがありました!

今年もたくさんお菓子をいただけて、去年は『ヒモのはなし』千穐楽で不参加だったトラザさんとサンエーさんのダンスも拝見できて、とっても楽しかったです!

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次の現場はいよいよteam TRASH『TRASH BOX』……! あっという間の二日間になりそうですが、全力で楽しみます!

10/26 『スケロクブギ!』昼公演・夜公演@ナゴヤ

10/27 『スケロクブギ!』昼公演・夜公演@ナゴヤ

10/26

~配役~

助六(曽我五郎時致):名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

揚巻(鈴香):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

外郎売(曽我十郎祐成):名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

工藤祐経/通行人:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

仁田忠常:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

土曜のナゴヤ座は先週登場したばかりのジューローさん助六! この日の助六、本当に良かった……!

ジューローさんの助六は幸運なことに初日を拝見していて、ラストシーンの「やはり聞きたくない言葉ぞ」という台詞の時に十郎の方を向くのがとても印象的だったのですが、この日の夜公演は特に印象的でした。顔中をぐしゃぐしゃにしながら兄の方に向く助六が、とても幼く見え、また、答えを求めているように見えて好きでした。

そんな助六ですが、喧嘩のやり方を教える中で二人揃って見得を切るところではオオムコウを全て十郎に奪われていて面白かったです。まだ二日なのに……!

またこの日の十郎は、助六や揚巻に「弱い」と言われていても、助六より一歩先に謝罪をもって工藤を許すことを選んでいて、やはり強い人だと思いました。

十郎って確かに喧嘩には弱いのですが、弟や揚巻を守るため一人で敵の本陣に乗り込んだり、敵討ちを一人で成し遂げようとしたりと、とても意思は強い方なので、精神的な面ではやはり兄なのだなあ……。

あと見えにくいところで手のツボを攻める十郎がとても強かで好きでした。

揚巻は先週に続きトラスケさん。この日もなかなか助六から手を放さず、ついに髭の意休が助六目掛けてオヒネリを投げつけたのに対抗して揚巻もオヒネリを投げつけていて大好きでした。トラスケさんの揚巻はちょい見せでも通行人に対して「(助六の股を)潜りなさいよ」と仰ることもあり、気の強さが見える女性だと思います。だからなのか、舞を披露するために工藤を訪れるシーンも、初めから隙あらば工藤を倒すという意思が見えるような気がしています。

髭の意休は上記の通り揚巻にオヒネリを投げつけられたのを助六に八つ当たりしていて面白かったです。子供の喧嘩のようなやり取りをしている……!

髭の意休は袖にされ続けているにも関わらずめげずに好意を伝え続けていて、悪い人ではないのですよね。かなり理性で物事を判断できる大人として描かれているような気がします。

この日の昼公演は最後列で拝見していたのですが、馬で走るところで真正面からサンエーさんの全力早馬を見てしまい、面白すぎて笑いが止まりませんでした。

サンエーさんの工藤は十郎に友切丸の在処を問いかける時に「友切丸はどこかしら」と仰るのですが、そのやや高貴な言い回しがとても好きです。これ、サンスケさんも元々はそう仰っていたような記憶があるのですが、勘違いかな……?

サンキューさんの門兵衛はもう何度も拝見しているのですが、この日も十郎が持ってきた早口言葉に苦しめられていて面白かったです。この日の早口言葉は「僕ボブ」というたった四文字なのですが、これを三回繰り返そうとすると途端に難易度が跳ね上がるという魔の呪文でした。これ、実際に挑戦したのですが「ぼばばば」と言ってしまいました。

そして通行人は久しぶりにブロッコリー侍を観られました! 昼公演の時点でもかなり完成していたのですが、なんとこの日は途中で十郎の色味に気が付いたブロッコリー侍によって十郎もブロッコリーJr.に変身……! ブロッコリーJr.が「ブロッコリーのその先へ」(?)と言いながら花道を通って行ってしまい、後に残ったブロッコリー侍がそのまま十郎のポジションに収まろうとしたのが本当に面白かったです。

なのにこの後出てくる近江はぞっとする怖さなんですよねえ……。そこがサンキューさんの凄いところだと思います。

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10/27

~配役~

助六(曽我五郎時致):名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

揚巻(鈴香):名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

外郎売(曽我十郎祐成):名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋山三郎さん(以下「座長」)

工藤祐経/通行人:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

仁田忠常:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

金曜日から続くトラザさん現場の締め括りはトラザさんの助六! 前日の公演がとても良かったからか、この日もラストシーンがぐわっと感情を揺さぶるような公演だったと思います。

前日、ジューローさんの助六は頭では理解していて、それでも抑えきれない燃え上がった感情を最後の一押しとして友切丸を鞘に納めたように感じたのですが、この日のトラザさんの助六は納刀する時はもう整理がついていて、それを自分に言い聞かせるような納刀で大好きでした。どう表現すべきかは分からないのですが、静けさを持っていて、新しい助六の形だなと思いました。この先のトラザさんの助六がどう成長していくのか、一介のおたくに過ぎない私には知る由もないのですが、この先もずっと観ていたいなと思った新しい一歩でした!

片肌脱ぎも更に格好よく決まるようになっていて、今回も観られて良かったです!

揚巻はサンエーさん。サンエーさんの揚巻も助六からなかなか手を離さないのですが、更に一度離れたかと思いきやもう一度手を取っていて良かったです。髭の意休に対してとことこん冷たい目を向けていて大好きでした。

また、祝いの舞のシーンの謡で語尾が途切れがちになっていて、それがとても緊張感として現れているような気がして良かったです!

サンキューさんの十郎はいつ拝見しても優しさに溢れていると思うのですが、特にラストで友切丸を工藤に渡した助六をそっと支えているところが好きです。きっといつだって弟のことをそっと支えてきたのだろうな……。

喧嘩の実践で急に鼻の穴に本当に屋形船を突っ込むので、実は一番危険な十郎なのでは……? と思っていることは内緒です。

外部公演から戻ってこられたばかりの座長は髭の意休! 冒頭で助六と睨み合うところでは「行けなくてごめんね!」「いいよ!」と言い合いをしていて比較的友好的な印象だったため、後に助六に協力する流れがすんなり見えてそれはそれで好きでした。「俺はミュージカルはやらねえと言っていたくせに」と突っ込まれていたのは笑いました。

また、ユニコーンに乗って登場した時は無駄に床を踏んで溜めて台詞を仰っていたので、揚巻に外部公演で踏めなかった分今踏んでいるのでは? と言われていて面白かったです。

髭の意休が台詞を溜めるため巻き返すために台詞が高速になることでお馴染みのサンスケさんの工藤ですが、この日は座長があまりにも溜めたために過去最高速になっていて面白かったです。

シロウさんの通行人は久しぶりに拝見したのですが、「武士!」と効果音をつけながらオラオラと登場したわりに、十郎のパーマを見て「アフロだ」と怯えていたのが本当に面白かったです。

また、台詞を外郎売に奪われてしまう門兵衛も久々に拝見できて嬉しかったです!

近江はいつも怖さと美しさの合間だなと思っていたのですが、この日は「殿はなんでもお見通しだ」と言う近江に『MACBETH -魔苦減須-』の魔女っぽさを感じてぞっとしました。シロウさんの表現の自在さ、やはり凄いなと思います。

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そして週が開けた今日はついにハロウィン! 『スケロクブギ!』初めての8人編成の公演となるので、とても楽しみです!

10/25 麗麗-reirei-コンセプトワンマンライブ「MACBETH -魔苦減須-」@HOLIDAY NEXT NAGOYA

極上ナゴヤカブキ『MACBETH -魔苦減須-』から一ヶ月以上が経ち、新作の『スケロクブギ!』にもすっかり馴染み始めたこの頃。『MACBETH -魔苦減須-』後夜祭にて発表のあった麗麗さんのコンセプトワンマンライブに、ナゴヤ座から名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)と名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)がご出演なさるということで、魔苦減須に会える最後の機会を見届けてきました。

〜セットリスト〜

1.ラブレイド

2.ふぁんきーふぃーばー

(MC)

3.キットカット(略)

4.DEADMAN

5.開運GOLDRUSH

(MC)

6.近藤りょーじかかってこいよ

7.どえりゃ∞INFINITY

8.氷上のブレイバー

(EN)

9.MADOU

10.紫風流閃

11.DERA☆GROOVE

紅愛さんと近藤りょーじさんの前説から一転、「テン、テン、テン」と太鼓の音が鳴って幕が開くと、なんと玉座に座った魔苦減須がいました。傍に控えているのは斧離按須で、「お呼びでしょうか」というあの二幕冒頭の台詞。まさかあのシーンを再現していただけると思わず、おたくは崩れ落ちそうになりました。あの時ちくさ座で繰り返し聴いたあの台詞がまた聴けたこと、本当に嬉しかったです。二幕冒頭の魔苦減須の台詞は、ナゴヤ座で上演していた頃から印象深いものがたくさんあったので、ここで最後に聴くことができて本当に良かったです。

本来止めに入る蛮行はちょうどその頃ナゴヤ座にいたため、代わりに麗麗の皆様が止めに入ったのですが、りょーじさんが丸腰で身体で剣を受けながらオオムコウで復活するシステムは流石に予想外だったため、魔苦減須が荒々しさに泣きそうになりながら笑うところなのか? と少し混乱しました。でも魔苦減須が容赦なくりょーじさんの頸動脈を斬っていて面白くなってしまいました。

しっかり魔苦減須が玉座を脇に寄せながら帰っていき、一曲目は「ラブレイド」! 「ラブレイド」で「愛」に合わせてジャンプをする振り付け、一度完璧に覚えたと思ったのですが、最近やっていなかったため完全に忘れており、段上から前方の麗麗さんのファンの皆様を拝見して思い出しました。二回目からはしっかり飛べました。

クラップをしながら入った二曲目は「ふぁんきーふぃーばー」。この曲、まだ記憶に新しく、未だライブでの楽しみ方が把握できていないのですが、メロディのキャッチーさのおかげで楽しく拳を振り回せました。これ、前回のライブでも同じようなことを言った気がします(あれ……?)。

曲に入る時に「手は頭の上で」という意味なのか、りょーじさんが「あて! あて!」と仰っていて面白かったです。

ここで一度MC。普段はここでメンバー紹介となるのですが、その前にゲストの紹介! 二曲幕の裏にいたというお二人、「御札のようなものが貼ってあって怖かった」と仰っていて面白かったです。トーク終わりに「一旦ここで段取り的にハケということで!」と全部口に出すサンエーさんも天才でした。

また、そのまま次の曲に行こうとした紅愛さんが夢呂さんから「自分たちの紹介はいいのか」と問われて本当にざっくり片端から名前を挙げて終わりという雑な紹介で笑ってしまいました。

一通りトークも終わって三曲目は「キットカット(略)」! 『MACBETH -魔苦減須-』の後夜祭から『スケロクブギ!』に続く流れでナゴヤ座でもずっと唱えられているこの早口言葉、久しぶりにちゃんと笑い転げることなく聴くことができたような気がします。

拝見しながら口にキットカットを詰められる弾漢を思い出したのは内緒です。

続く「DEADMAN」は後ろの方でもしっかり声を出しながら拳を上げていてとても楽しかったです! この曲になるといつも紅愛さんの治安が悪くなるので面白いなと思っているのですが、やっぱりタイトルや曲調から荒々しいのでそうなるのかな……?

一転して五曲目は明るい雰囲気の「開運GOLDRUSH」! この曲は最後の方に「わっしょい合戦」と呼ばれるパートがあるのですが、そこに突如魔苦減須が飛び込んできて笑ってしまいました。

ここでまたMCが挟まったのですが、諱さんが「魔苦減須兄さん」略して「魔苦兄」と呼び始めて面白かったです。一日だけ地獄から帰って来られたという魔苦減須はとてもすっきりした顔をしていて、現世に思い残したことは無いのだなと改めて思えて何となく嬉しかったです。

地獄に落ちた魔苦減須は冥府魔道を突き進むことを決意したため死後も結局止まることはできずただ戦い続けるのだと思うのですが、現世における魔苦減須はきっともうやり残したことってないのですよね。生前の苦しみは全て地獄に持っていったから、現世に特別に戻ってこられた魔苦減須はきっと憑き物が落ちた顔をしていたのだと思います。

また、『MACBETH -魔苦減須-』は魔苦減須と魔苦減須夫人のW主演ですが、魔苦減須夫人もやっぱりナゴヤ座でお仕事中。「我が妻も呼びたかった」という発言におたくたちが沸き立つと、魔苦減須夫人(名古屋虎之助さん)のお声で「あなた〜!」とボイスが流れました。まさか魔苦減須夫人が出てくるのか……? いやそんなはずは……! とざわつくライブハウスに颯爽と現れたのは、ナゴヤ座で『MACBETH -魔苦減須-』を上演していた時に生まれて以来、それまでナゴヤ座のマスコットキャラクターのポジションに収まっていた混世魔王を退けて不動の人気を確立したソクラテス・シモンでした。

シモンが出てきたということは、やる曲はもちろん「近藤りょーじかかってこいよ」! シモンがベースに、銀さんがギターに、りょーじさんがボーカルにぐるりとポジションチェンジし、魔苦減須はシモンを麗麗さんに預けて帰っていきました。

サンエーさんのベースは前回『MACBETH -後夜祭-』の際は前方だったこともあってあまり音を耳が拾えなかったのですが、今回はしっかりと聴こえてとても嬉しかったです。

ゴヤ座が絡んだ時に「近藤りょーじかかってこいよ」をやると何故かりょーじさんのギターソロのパートで麗麗さんが祠に封印されてしまうという謎のお決まりがあるのですが、この日はシモンが「やらせふか」と宣言し、「誰が飲んでいるか! すっぱすっぱドリンク」が発生! コック帽を被った主演のトラザさんがドリンクを持って入ってこられたのですが、一つだけ明らかに怪しい髑髏マークの描かれたコップが……。実は七つのコップのうち一つだけ普通のドリンク、残りの六つは酸っぱいドリンクになっているため、誰が普通のドリンクを飲んでいるか当てるというゲームでしたが、明らかに髑髏マークの描かれたコップだけ色が違い、つまりあれが当たりなのだろうな……と遠目にも分かりました。髑髏マークのコップを取ったのはりょーじさんで、とても酸っぱそうなお顔をされていたのがすべてお芝居という、またもやりょーじさんが演技派であると示す結果になったのが面白かったです。トラザさんは確実に酸っぱかったのだな……と思う顔をしておられたためまったく投票がされなかったのですが、それをシモンに「人気がない」と言われて「人気あるもん!」と反論していて笑いました。全員人気はあります。

魔苦減須も加わった状態で無事曲に戻り、再びライブは大盛り上がり。魔苦減須は全力で折りたたみをした結果コック帽が邪魔になったらしく、曲終わりに投げたのが綺麗な弧を描いて飛んでいて凄かったです。

魔苦減須とシモンが帰って行き、続いての曲は「どえりゃ∞INFINITY」。これもまだ体感でとても新しい曲なのであまり馴染みがないのですが、はノリが良くてただ楽しく手を挙げていたら終わっている印象があります。

でもそれって曲がとても楽しくて音に乗りやすいということなので、それはとても良い音楽だなと思いました。

本編最後は「氷上のブレイバー」。実はちくさ座で『MACBETH -魔苦減須-』を観ていたときは、あまりにも魔苦減須側に立って物語を追いかけていたため、この曲が流れ出すと丸火武が立ち上がってしまってうんざりしていました。丸火武が腑抜けたままでいてくれたら、森は動かないまま魔苦減須は安泰だったので……。

そのため、もしかして私はこの曲も好きではないのでは!? と思ったこともあったのですが、実際にライブで聴いたら(多少丸火武への苛立ちは思い出したものの)曲はちゃんと良くてほっとしました。この選曲をしたのは俺! とこの後登場したトラザさんが仰っていて、曲選びが本当にお上手だな……と改めて思いました。

実は本編は「氷上のブレイバー」で終わりで、ここからはアンコール。ただ、アンコールの掛け声を長々やるのは疲れるという紅愛さんのおたくの心を分かった采配により、「アンコール!」と一回だけ叫んで終わるという過去最速のアンコール登場となりました。

魔苦減須が登場したアンコール一曲目はもちろん『MACBETH -魔苦減須-』の主題歌として書き下ろされた「MADOU」。曲前のトークでトラザさんが「魔苦減須で行くか虎三郎で行くかMADOっている」と仰っていて、だからこんなに爽やかな謎のキャラクタだったのかと思いました。

「MADOU」の曲振りはもちろんトラザさん。「綺麗は穢い、穢いは綺麗。MADOU」というタイトルコールで始まった「MADOU」、トラザさんがたくさん歌ってくださって、この曲にたくさん込められた魔苦減須の感情の欠片だった歌詞が魔苦減須本人の言葉として新たに感情を吹き込まれたように感じて大好きでした。

また、間奏では弾漢暗殺時に被った偽りの仮面も登場して、千穐楽のカーテンコールでも悲鳴をあげたおたくはまたもや悲鳴をあげました(反省)。あの仮面は魔苦減須が憧れた王を越えるために必要不可欠なものだったと思っているので、『MACBETH -魔苦減須-』をコンセプトにする以上あの仮面も必要不可欠だと思っていたような気がします。

トラザさんの歌声はわりと高かったり柔らかかったりするのですが、「MADOU」を歌っておられる時は固めで太いお声だったのが魔苦減須らしくて大好きでした。また、途中で「最早戻れぬ」と台詞が入るのもこのライブだからこそ観られたものだと思うので、このライブを企画していただけたことが本当に嬉しかったです。

十曲目は「紫風流閃」。今回のコンセプトは「SAZEN」シリーズではないけれど、ナゴヤ座のおたくが多いライブではよくやってくださる印象なのできっと今回もやるだろう、ということはきっとサンエーさんも弥一郎のお衣装で出て来られるのだろうと思ってはいたのですが、その弥一郎の片腕がないのは完全に想定外でした。やられた! と素直に思いました。

メインで歌ったのはやはり弥一郎だったのですが、ところどころ魔苦減須も歌っていて、こうして魔苦減須が歌っているところを聴くと『MACBETH -魔苦減須-』にも通じるところがあるように感じてとても良かったです。

サンエーさんがソロで歌っているところってあまり印象にないのですが、歌声と地声があまり変わらないタイプだからなのか、弥一郎の人生がしっかり乗っているような気がして好きでした!

ラストは楽しく「DERA☆GROOVE」! 久しぶりにトラザさんが「カッコつけちゃってもいいかい」と歌ってらっしゃるところを拝見した気がします! あとマントをばさばささせて大暴れの魔苦減須をすっと下がって避ける夢呂さんがとても良い動きで、トラザさんの暴れる場所を作ってくださるのが優しいなと思いました。

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ちくさ座ではずっと悩み苦しみ抜いた魔苦減須を観てきたので、今回のライブで魔苦減須がとても楽しそうに笑っているところを観られて本当に嬉しかったです。ありがとうございます。

以前は忍者隠密隊B.C.Aを追いかけているだけで毎月麗麗さんのライブも拝見できていたのですが、ここのところあまり拝見できておらず少し寂しいような思いもあるのですが、次回は12/1に紅愛さんとトラザさんのアコースティックライブがある! ということで、また「MADOU」が聴ける日があるのか、はたまたお兄様(TANBA様)のようにカバーライブになるのか、その辺りもとたも楽しみです!

最後に改めて、おやすみ、魔苦減須。