スケロクブギ! 2024.10.19-2024.10.20 (original) (raw)
10/19 『スケロクブギ!』昼公演・夜公演@ナゴヤ座
10/20 『スケロクブギ!』昼公演・夜公演@ナゴヤ座
10/19
~配役~
助六(曽我五郎時致):名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)
揚巻(鈴香):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)
外郎売(曽我十郎祐成):名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)
髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)
工藤祐経/通行人:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)
仁田忠常:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)
かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)
この日は遂に三人目の助六が誕生でした! ジューローさんの二役目は助六だという説をまことしやかに唱えていたので、ここで観られてとても嬉しかったです。
ジューローさんはやはり助六がよく似合う……! 基本的にはカラッとしていて、悩み苦しんでも揚巻や十郎の言葉を受けて敵討ちを辞められるのがとても良かったです。
また、この日は十郎がここまで七日連続助六を演じていたトラザさんだったため、喧嘩のやり方を教えて二人で見得を切るところで完全に十郎に被られていて不憫なのも面白かったです。
馬で走る際のバナナでのモノボケは昼夜共にジューローさんがターゲットだったのですが、どちらも絶妙にウケず静まり返ってしまったのがとても面白かったです。でも人食いバナナは結構好きです。
揚巻はかなりボディタッチの多い女性で、髭の意休に見せつけるようにして助六といちゃいちゃしていたのがとても良かったです。トラスケさんの揚巻、回を重ねる毎にあざとくなっている気がします。
そしてトラザさんの十郎も久しぶり。久しぶりに観ると、十郎って一幕の最初からほぼ出ずっぱりなんですね……。改めて『MACBETH』の直後にこの役を演じたトラザさんに感服しました。
OP前の「外郎売」の長い口上は、以前拝見した時よりも更に安定感が増していて、ほとんど噛まずに仰っていて良かったです!
助六と対面するシーン「外郎売の新兵衛」の格好をした曽我十郎祐成がとても好きなのですが、この日久しぶりに拝見したからなのか、あまりの格好良さに新鮮に驚いてしまいました。
この日ようやく上手に入って観ていたのですが、工藤が友切丸を抜いて揚巻に近付いたところで少し動こうとして身動きをしたような気がします。仁田や近江に敵わなくても助六の恋人は守らなければ、という意思なのかな? だとしたらやっぱり十郎はとても優しい人だなと思います。
サンエーさんの工藤を拝見するのはこれで二日目。やはりサンエーさんの工藤は感傷で謝罪をするのではなく道理で謝罪をしているような気がして、私はとても好きです。
時にこの日、サンエーさんがオールバックにしておられたのもあって、十郎と工藤が並ぶとどうにも頭の中に『ヒモのはなし』の記憶が蘇ってきてしまいました。あれからまだ一年しか経っていないのですね……。
サンキューさんの噂のサザエさんもようやく拝見できました! 私は実は『サザエさん』を観たことがないのですが、それでもサンキューさんがあまりにも面白かったので、きっと天才なのだと思います。
サンキューさんの門兵衛は面白さと荒々しさの合間にある印象なのですが、二幕の近江は打って変わってじっとりと怖くなるギャップの大きさが好きです。
10/20
~配役~
助六(曽我五郎時致):名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)
揚巻(鈴香):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)
外郎売(曽我十郎祐成):名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)
髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)
工藤祐経/通行人:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)
仁田忠常:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)
かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)
先日友人からトラザさんの助六が片方の袖を引き抜いて半身赤襦袢になったという話は聞いており、とても格好良いから配信を見ろと連絡をもらっていたのですが、何だかんだで配信を観る時間が取れておらず現地にきてしまいました。
普段下手や中央に入ることが多いのですが、前日入った辺りがなかなか良かったためこの日は上手に寄ることに。その結果なんと、観たいと思っていた助六の片肌脱ぎが観られてしまいました! 本当はこの日関ケ原に遊びに行く予定だったのですが、片肌脱ぎになったトラザさんの助六の立ち回りが本当に格好良くて、やっぱりナゴヤ座に来て大正解だったなと思いました。
また、この日のラストシーンはどことなくトラザさんの演じる助六が極上ナゴヤカブキ『MACBETH-魔苦減須-』と重なって見えて、とても苦しかったです。この日の揚巻が魔苦減須夫人を演じておられたトラスケさんだったこともあり、もし魔苦減須夫人が諫める立場であればこうなっていたのかな、と存在しない可能性に思いを馳せました。
トラスケさんの揚巻は前日もかなりボディタッチの多い揚巻でしたが、この日髭の意休の前から立ち去る時の揚巻がねっとりと助六と手を触れ合わせてなかなか出ていかないので笑ってしまいました。
前日の公演を観た後感想戦(のような何か)をしていた時に「トラザさんの助六は太宰だ」「そのうち揚巻と心中する」という話になったのですが、この揚巻はそれでも構わずついていきそうだなと思います。
ボールを投げ終わったあとに曽我兄弟が水分補給をしたあと揚巻にペットボトルを滑らせて揚巻に回すのも常となってきましたが、「ウーロンハイかしら」と言いながら飲んでおられて大笑いしました。助六に「麦茶」と訂正されて噴き出しそうになっておられたのも面白かったです。
サンキューさんの十郎はやっぱりこの日も優しかったです。十郎は五郎のことを「兄に勝ちを譲ってくれる」と評しますが、サンキューさんとトラザさんの兄弟を拝見しているとそうは言いながらも十郎はたくさん五郎に勝ちを譲ってきたのだろうなと思うような兄でした。
サンスケさんの工藤は何度も拝見していますが、この日は確か夜公演のラストの感触が少し変わっていて興味深かったです。いままで拝見した回より少し硬めな印象だったので、もう少し拝見して解釈したいところです。
サンエーさんの門兵衛もやっと観られました! お写真を拝見した時は『BENTEN the KID』の浜松屋のような雰囲気なのかな? と思っていたのですが、実際に拝見したらしっかりと破落戸でした。
近江は「殿は何でもお見通しだ」を言う近江と言わない近江がいて、サンエーさんは言わない近江だと思うのですが、昼公演で仁田役のシロウさんが自分で言うのを一瞬忘れてしまったご様子で一拍遅れて仰ったのですが、それを察したであろうサンエーさんも仰ったため、そこが綺麗にユニゾンしたのが好きでした。一緒に仰るパターンは初めて拝見したのですが、とても不気味で良かったので、こういうパターンも生まれると良いなあ……!
サンエーさんの通行人のおじいさんはあまりにも天才で息ができませんでした。前日のハロウィンの仮装を探して三浦屋に来たら皆服を脱いでいたというのもブラックで良かったのですが、この日は身長190cmの太巻太夫を奥方に内緒で買いに来ていて面白かったです。おじいさんを演じているサンエーさんはもう何パターンも拝見してきましたが、毎回驚異的に面白いのが凄いです。
次の現場はいよいよ麗麗さんの『MACBETH-魔苦減須-』コンセプトワンマンライブ! 大好きなトラザさんの魔苦減須を拝見できる恐らく最後の機会なので、全力で目に焼き付けてこようと思います!