謎の海洋生物 (original) (raw)

2017年11月、太平洋に面した千葉県白子町の海岸に1体の海洋生物が漂着した。発見当初は生きていたが、海洋生物の専門家が到着したときにはすでに死んでいた。

その生物は既知の海洋生物のどれにも当てはまるものではなかった。体長6メートル、重さはおおよそ5トン。外形はワニを太らしたような形をしていたが、頭部はワニとイルカの中間のような形状をし、皮膚には鱗や体毛がなく、クジラのように滑らかなものだった、四肢はヒレ状になっており、尾はワニのように立てに平たい形状をしていた。歯は歯クジラの歯に酷似していた。

この未知の海洋生物の発見は、あっという間に世界中に広がっていった。正体については新種の生物というものが多かったが、中には既知のクジラの突然変異や奇形というもの、モササウルスが生き残って進化したものなどさまざまな憶測がなされた。

解剖が行われた結果さまざまなことがわかってきた。この生物はメスであり、乳があること、卵胎生であること、呼吸器官が肺呼吸ともえら呼吸とも違う構造になっていること、体重と四肢の形状からみて、陸上では行動できないこと、胃の中の未消化の魚が日本海溝周辺の比較的深い場所に生息しているものが多いことなどである。以上ことから、この生物は日本海溝周辺の深海に生息しているのではないかと考えられた。

以前から日本海溝周辺ではワニのような生物が目撃されていた。ニュースにはなっていないが、漁船や貨物船などから報告されていたのだ。最初の報告は1988年4月、漁船第八神紅丸からのものだ、その後も1993年5月にフィリピンの貨物船から、1997年にはパナマ船籍のタンカーから4匹のワニに類似した群の報告がなされている。目撃報告だけではない、東海大学海洋学部が2005年に日本海溝において深海探査艇を使った調査中に、水深1500メートル付近で明らかに魚やクジラとは形状の違う、海洋生物が深海探査艇のカメラの前を横切るのを目撃している。最も有名な目撃例は2012年10月に日本の貨物船第3北洋丸の話だ。その日は風のない穏やかに日だった、13時頃、甲板の清掃業務をしていた乗組員の一人が、海上にワニのような生物を発見した。その生き物は船から50メートルほどのところを、貨物船と平行に体を左右にくねるようにして泳いでいた。目撃した乗組員によると体長は約15メートル、色は緑がかった黒色をしていた。その生物は5分ほど船と並走した後、海中に消えたそうである。

乗組員の証言が正しければ、鯨やイルカの仲間とは考えられない。鯨やイルカは泳ぐときに体を上下に動かして泳ぐからだ。実際にワニだったと考える者もいた。フィリピンに生息するイリエワニは川から海に出ることもあり、海流に乗って日本の西表島に泳ぎ着いた記録も残っているし、八丈島周辺での目撃例もある。しかし、第3北洋丸の航路は八丈島よりも1500キロ以上北に位置していた。また、イリエワニは最大でも10メートルを超えない。

当時の最も有力な説はワニの一種が独自の進化を遂げ、海洋性となったというものだ。

もし、その生き物が回遊していて、その回遊経路が航路から外れていれば人間に発見される可能性はまずない。世界に数万とある無人島が産卵場所であればなおさら発見はされないだろう。進化の過程で卵胎生となれば、一生を海で過ごすこともできる。

但し、今回打ち上げられた生物の外見は今まで目撃されてきたワニのような生物とは明らかに外観が違う。現在、DNAレベルでの詳細な調査を行っているが、少なくとも既知の生物てはなく、DNAの形状が両生類に類似しているという。結論はでていないが、体内の塩分濃度を調整できる独自の進化を遂げた両生類である可能性が高いと言う。