「政府があらゆる記録を残すのは当然」 菅首相の新書から消えた言葉の重み | 毎日新聞 (original) (raw)
菅義偉首相の著書「政治家の覚悟」=2020年10月19日撮影
菅義偉首相が2012年に刊行した本を改訂した「政治家の覚悟」(文春新書)が20日に発売されたが、もとの本にあった「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然」などと書かれた章が削除されていた。菅氏は言うまでもなく安倍政権の官房長官として公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)問題の渦中におり、これまでもたびたび引用されてきた一文だった。出版社は「編集上の理由」と説明するが、ネット上では「自分の言葉も改ざんするのか」などと批判が広がっている。どんな言葉だったのか、改めて振り返る。【大野友嘉子/統合デジタル取材センター】
公文書問題で注目の言葉だった
菅氏は、自民党が野党だった12年3月に刊行した著書「政治家の覚悟 官僚を動かせ」(文芸春秋企画出版部)の中で、旧民主党政権が東日本大震災の時に十分に議事録を残していなかったことを批判。「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為であり、歴史的な危機に対処していることへの民主党政権の意識の薄さ、国家を運営しているという責任感のなさが如実に現れています」と、公文書管理の重要性を強調していた。
しかし、安倍政権では森友・加計学園、桜を見る会で公文書の改ざんや隠蔽、桜を見る会でも不自然な廃棄が発覚。新型コロナウイルス対策を巡っても政府の会議の詳細な議事録を残していないことなどが批判されてきた。
菅氏の旧著での一連の言葉は、そうした状況の中でたびたび引用されてきた経緯がある。官房長官記者会見でのやり取りも大きな話題になった。加計学園の大学獣医学部新設を巡る公文書管理が問題になっていた17年8月8日、朝日新聞の記者がその部分を読み上げ「この発言を行っていた、本に記されていたのはどなたか、ご存じでしょうか」と尋ねると、菅氏は「…