【キリスト教的懲罰観は捨てよう】ヘルレイザー:ジャッジメント【あと咀嚼系グロはやめて】 (original) (raw)

ヘルレイザーの根幹は「痛みこそ快楽」。これに尽きると思います。永遠に続く痛みこそ究極の快楽。魔道士とはその道を求め、極め、伝導する求道者なんだと思っておりました。そこには善も惡もモラルもましてや信仰なぞ存在せず。罪も罰もありません。ただ、うっかり扉を開いてしまった者に等しく災厄が降りかかる(勿論、望んで開いたものには終わりなき悦楽が授けられる)、そんな世界のお話(のはず)です。静謐なる変態の世界にキリスト教的(邪な)価値観を持ち込んではいけません。ヘルレイザージャッジメント(2018年/ゲイリー・J・タニクリフ監督)連続猟奇殺人事件を捜査する刑事が迷い込むこの世ならざる世界、という建て付けは5作目「ゲート・オブ・インフェルノ」を思わせて悪くはありません。展開は完全に「セブン」ですが、まぁそこはリスペクトって事で。問題は基礎工事がなっていないという事。冒頭いきなりパズルボックス「時代遅れ」と切り捨てるピンヘッド。世界には罪(十戒に反する行為)が蔓延している。新世紀に入って信仰が失われている、と嘆く配下の魔道士(監査役。演じているのはタニクリフ監督本人)。

どうやら魔道士は「新しいシステム」による断罪を企画しているようです…ってちょっと待て。信仰ってなんだよ!? 神を信じなくなった事か? 魔道士ってのは西洋の倫理を堅持するためのおまわりさんなのか。何と言う矮小な世界。何と言うチンケな裁判官理論。ピンヘッドが三輪車に乗って登場しそうです。


イメージ図。

で、この「新しいシステム」ってのが文字通り裁判方式。

まず監査役が聞き取り調査。被疑者ので調書をタイプ打ち。

次に気色悪いおっさん(評価人)が現れてその調書に子供から採取した涙をドレッシングのようにかけて一気喰い。

喜悦の表情を浮かべているので美味いのかと思いきや、突然備え付けの洗面所に全力リバース。リバースされたドロドロ調書はパイプを通って隣の部屋へ。そこには全裸の女陪審員が3人。流れ出るドロドロに手を突っ込むとおもむろに『有罪よ』おおお、めんどくせー。そして気色わりー。有罪になった被告は別の女3人組に全身いぢられ(体の中を洗浄され)、なんかよく分からない液体を口に注ぎ込まれ、最後に外科医がなます斬りにして全身皮剥ぎ。搾り取られた血液を女3人が全身に浴びて裁判終了。

意味が分かりません。そしてやっぱり気色わりー。汚い中にも荘厳な、ズルズルの中にもどこか高貴な雰囲気を湛えていたのがヘルレイザーだったと思うのですが、これはもう生理的に駄目です(この後の展開がまるで頭に入って来ません。それだけインパクトがあったという言い方も出来ますが嫌なものは嫌)。終いにゃ文字通り天界の女とかまで登場してキリスト教の誉れを上塗り。3代目ピンヘッドとなるポール・T・テイラーは頑張っていたと思います。早く2022年のリブート版「ヘル・レイザー」が観たいです。★刑事なら現場100回、監督ならオリジナル100回だ!

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