マン・レイと余白で (original) (raw)

23.0 ×11.5 cm 案内状

---

恵比寿のシス書店で上掲のタイトルを冠した展覧会が開かれている(10月20日(日)迄)。第119回となる企画だという。ブルトンの宣言初版本の他、マン・レイが女装したデュシャンの肖像(ローズ・セラヴィ)で飾った香水瓶を撮った写真の他、キャリントン、マンデアルグらの作品が展示されていると東人から聞いた。拝見したかった。講演会も開かれたらしい。→ https://librairie6.com/?p=6748

京都・鞍馬口通りのギャラリー・アブリ(隠れ家)で表題の展覧会が催されている(12月25日迄、 土・日開廊)。アンドレ・ブルトンシュルレアリスム宣言刊行100周年を祝う極東での怪しい光が私的な空間で揺れている。展覧会のことをある人から聞いたので、土曜日にお邪魔した。涎がでて困るシュルレアリスム稀覯本がひしめいて眼福を通り越し、心に悪い(小生は引退したコレクターですから)。会場ではコラージュ体験も用意されている。蓄音機からの囁きも粋ですな。

壁面左から北脇昇『秋の驚異』(1931年)、マックス・エルンスト『人間の形をしたフィギュア』(1931年)、『怒れる人々』(1927年)、ショルジュ・ユネ(監修)『シュルレアリストのはがき』(1937年) ── 小生、はがき切断前のシートを観たのは初体験です。

---

京近美の常設展示で『シュルレアリスム宣言 100周年』への連帯の挨拶展が催されている(12月1日迄)、シュルレアリスム好き、本好きには涎の展示ですな。プレートを読むとチェコ関連は「2021年度 大平陽一氏寄贈」、パリものは「1992年度購入」や「1999年度購入」等と読める。大平氏天理大学 国際学部の教授で2020年に開催された『チェコ・ブックデザインの実験場 1920s-1930s 大阪中之島美術館のコレクションより』展の折に拝見させていただいた。今年のプラハ訪問で見つけることは出来ませんでしたがカレル・タイゲやネズヴァルの魅力は大平コレクションで知ったのでした。

https://manrayist.hateblo.jp/entry/2020/06/24/125931

美術館では『LOVEファッション──私が着がえるとき』が開かれている(11月24日迄)

---

---

昨日、カタログを紹介したポンピドゥセンターでの『シュルレアリスム宣言』刊行100周年記念展については、パリ在の中原千里さんが会場風景を含む愛あふれるレポートをときの忘れもののブログに寄稿されている。国宝の『シュルレアリスム宣言』から螺旋状に展開する会場構成は、さすがパリの学芸員マン・レイのレイヨグラムと瀧口修造のデカルコマニーが掛かる展示構成を拝見できた。渡欧できない身には感謝感激のブログ拝読、早く続きを読ませてと中原さんにお願いしたい。

http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53512614.html#more

ポンピドゥセンターの会場: 左から、マン・レイ、マルセル・ジャン、オスカー・ドミンゲス、瀧口修造と続く。許可を得て、ときの忘れもののブログから引用させていただいた(感謝)。尚、マン・レイのレイヨグラムは「1988年、購入」

A面
---

9月4日からパリのポンピドゥーセンターを会場に『シュルレアリスム宣言100周年』展 が開催されている(2025年1月13日迄)。記念の大判カタログ(32.8×22.6cm 344頁)が午睡書架に届いたと聞いたので出かけた。展示を観ていないので判断は出来ないが、カタログには落胆した。パリのエスプリが無いのです。表紙に「SUR / RÉAL / ISME」と書かれていたので、心配したけど「シュルレアリスム」精神はありませんな、世代交代なんでしょうね。「100周年とは」なるほどと納得。個人的にはエフェメラが少ないのが致命傷です。

B面
---

図版紹介があるマン・レイ作品は『レイヨグラム』と素描『解剖台の上でミシンと蝙蝠傘が出会うように美しい』の二点、他に映画『理性に帰る』と写真で『アングルのヴァイオリン』『自動筆記』『オマージュ・ロートレアモン』がリストにあがっている。チェコの作家が気になるが日本からは瀧口修造の『デカルコマニー』(ときの忘れもの)が出陳、カタログ後半の資料編に雑誌『みづゑ』の海外超現実主義作品集(1937年)があるのは嬉しい。古書価高騰になりますな。

杉浦正和さんの写真展『NEW YORK 1993』を京都写真美術館(ギャラリージャパネスク2F)で拝見した(10月13日迄)。エネルギーが満ち溢れたカットの連続、写真を撮ることの青春、「若さ故の希望」に直結している感を持つ。恐ろしげなニューヨークが、ここではスポットライトを浴びる舞台、モノクロから色彩を感じる稀有な喜びを受け取った。横断歩道や地下鉄の車内で、カメラを向けた杉浦さんへの厳しい視線に、真正面から反応した彼は、武闘家だった ── そのように思う。雪の降っている場面が印象に残った。

京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク→ https://kyoto-muse.jp/exhibition/177287

ほとんどの場面が街から消えてしまったそうだ。

---

お店のHPには、「栗の味わいほっくりと うつろう季節の風を添え、ふるさと滋賀からお手元に。みのりの秋から冬にかけてお届けする「栗大福」は、粗搗きの滋賀羽二重糯に粒餡と一粒栗を包んだ素朴な大福です。歯切れのよいお餅にほっくりと、栗の味わいをお楽しみください」とある。
雨が続きますね、煎茶と大福を頂戴して愚妻とほっこりする午後。食感ちょっと違います。

拙宅から美術館への移動は凡そ450キロ、車で6時間といったところでしょうか。昨日は発送用パッケージを自作、オブジェの長旅には気を使います。

---

SOMPO美術館でカナレットの展覧会が始まるのを、東の友人が送ってくれたチラシで知った。挿図の油彩はカナレット(ジュヴァンニ・アントリオ・カナル)の『サン・ヴィオ広場から見たカナル・グランデ』18世紀、スコットランド国立美術館蔵。こうした絵画を景観画(ヴェドゥータ)と呼ぶそうだ。展覧会の解説によると、景観画は「透視図法を用い、主として都市の景観を精密に描いた絵画。名所旧跡を正確に描き出したヴェドゥータは、旅の記念品として、グランド・ツアーでやってきた英国人貴族をはじめとする外国人旅行者に人気を博し、ヴェネツィアやローマで18世紀に発展した」21世紀の私達にとっては、カメラ・パチリですな。展覧会は静岡県立美術館、SOMPO美術館の後、京都文化博物館(2025.2.15-4.13)、山口県立美術館と巡回する。

グーグルストリートビューから引用(2013年8月) 大運河、右にサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、手前にペギー・グッゲンハイム美術館。

2023年6月19日の聖堂、小生も悠久の時に驚きました。イタリア周遊 9日(金)パラッツォ・カヴァッリ=フランケッティで報告。

明日から10月、京都は雨が降ったようで、過ごしやすくなった。昨夜は展覧会の準備で細かい作業に追われ、本ブログのアップが遅れてしまった。追い込みに入り、追い詰められているのですな。学芸員はもっと厳しいと同情します、ほんと。展覧会詳細については、チラシが出来てから報告したいと思う。

拙宅小展示、上掲のポスターはマン・レイによる「SALON DE MAI」1971年、右に皇妃エリザベート(シシィ)の絵葉書 → 8月16日 皇妃シシィの絵葉書投函 ── 9日(日)

定点観測 阪急京都線桂川橋梁

8.8 × 13.9 cm

第六回(新)文部省美術展覧会 1943年(昭和18年) この年、山本五十六戦死

藤田嗣治筆『嵐』は近年発見され山梨県立美術館に所蔵されたと聞く。


『おとこと女』細江英公寫眞集 カメラアート社 1961年

昨日の朝刊に写真家の細江英公さんが16日、左副賢腫瘍で亡くなられたとの訃報が載った。享年91。二十歳の頃に氏の寫眞集『おとこと女』を中部学生寫眞連盟の先輩・杉山茂太氏から紹介され影響を受けた。1960年代の写真表現の良い部分を表している。久しぶりに頁を開く、エルスケンと福島辰夫がテキストを書いているのですな。後者のタイトルには「不幸の実像」と付記されている。

先輩の『SUD』には、『おとこと女』からの引用が顔を出していた。彼の書棚には『薔薇刑』『抱擁』『鎌鼬』などもあり懐かしい、筆者には『薔薇刑』や『鎌鼬』を求める財力がありませんでしたね、先輩の部屋で目に焼き付けておりました。下掲のサインをいただいたのは40年以上前の京都書院画廊での個展の折だったか…… 若い写真家に鋭い言葉をかけておられたのを思い出す。その後、京都寫眞クラブ繋がりでご一緒する機会に恵まれ、マン・レイのビンテージプリントの事などお教えいただいた。

今はお仕事を拝見し、謹んでご冥福をお祈りしたい。

23日(月・祝日) 乗り鉄氏とちょっとA-SEAT

京都駅 13:15発 新快速25号

クモハ 224-7002

* JRの広報によると「有料座席サービス 新快速「Aシート」を野洲草津~姫路・網干駅間で1日あたり6往復運転! 通勤・通学やおでかけなどで便利な「新快速」をさらに快適にご利用いただけます。 特長: ❶リクライニング機能、テーブルつき座席で広々、快適 ❷ゆったり過ごせる落ち着きのある空間 ❸移動中に充電OK! 全席にコンセント ❹無料Wi-Fiサービスでサクサク通信など。料金: 指定席券(全区間一律) チケットレス600円」