倉田裕之/非公式ブログ (original) (raw)
建築設計事務所を続けている筆者の日常的に出会う出来事、昔の事、また自由業としてのその裏側、更には商品開発のためのマーケッティングを目的としています。あくまでも標題の通り「非公式」だよ。
by marghe
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2012年 05月 18日
正座して背筋を伸ばした状態で書物に目をやる。その書物は書見台の上にある。
これが我々日本人が潜在的に持っている正しい読書の姿と言える。その際、書面は目線に対して垂直である。その姿を想像するだけで清楚な空気の流れがそこにはある。姿勢がいいから正しい読書が出来るのか、本来の読書という行為があるからこそ自ずと姿勢がよくなるのか。どちらが先とも言えない普遍的な形がそこにはある気がする。
これを現代に置き換えた場合を考えてみる。そこには床に正座する行為がなくなり、その代わりに椅子に腰掛ける形になる。その場合、書見台は机上にある。ただし書見台の上に置かれた書物とそれを読む人の関係は変らない。目線と書面は垂直のまま、その点だけは変らない。
それを踏まえて作った読書スタンドがこれだ。椅子に座り、机上で本を読むときの、特に少し大きめで丁寧に扱いたい場合はなおさらだ。読書の際にこういう読書台を使ってもらいたい・・・と思った。
これを使うと姿勢もよくなる・・・・ホント!
2012年 01月 21日
アセチル化木材アコヤを用いたガーデンファニチャーの第二弾、ガーデンテーブルです。屋外で使うテーブルだ。
先のデッキチェア同様にここでも連続する角材の間にV字型の脚部を交互に挿入し、その接点で緊結、丸棒を貫通させ端部で緊張し全体の剛性をとる、という方法でテーブルを構成したもの。
通常テーブルの脚となる部分にここまでのヴォリュームは必要はないのだけど、その分を一枚辺りの厚さを薄く(10mm)することにより平面として連続させ、すかすかの塊として成立させたもの。側面から見た力学的につり合う形状がそのまま積分されるように奥に伸びていく姿を試みたもの。これによって天板は細い隙間を有する「すのこ状」になり屋外で常に水捌けが出来る状態でありながら使い勝手としてはぎりぎりの空隙、といった利点を得ることが出来た。
断面形状を決めそれを積分する様に連続させていく作り方のため、このテーブルは奥行きを900で設定したものの、その気にさえなればそれはいくらでも大きく出来る。
2012年 01月 06日
アセチル化木材アコヤを用いた家具への展開、その1.ヘリット・トーマス・リートフェルト(Gerrit Thomas Rietveld )の名作、赤と青の椅子を現代の素材と工法により屋外でも使える形に昇華させようと試みたもの。
「赤と青の椅子」を屋外で使用する。仮にその様な命題があるとした場合問題となってくるのは
・木材としての耐久性
・広い面材の水捌け
の2点。前者はアセチル化木材を使用することで基本的に解決が可能だけど、後者はそもそもの面そのものに有孔加工を施すあるいは線状の材料を格子状に組んで水が捌ける形にすることが当然必要となってくる。ここでは連続するルーバーと同素材で出来たリングを交互に並べ、数珠に紐を通すようにタイボルトを貫通させ両端の受け金物を回転させることによりテンションをかけ、連続する線を面に昇華させようと試みたもの。理論的にはこの状態で前述の格子状ルーバーが出来ることになる。一方で線状の材料に緊張力を導入するにあたって新たな問題が浮上してくる。特にこれはあくまでも木材であることから重要な課題となる。
・それぞれのルーバーが変形しないこと
・ポストテンションによる緊張力が所定の値に達しても材が変形しない圧縮強度を保有すること
このの2点。
アセチル化された木材(ここではラジャータパインを使用)の大きな特長としてこの材料の変形量の少なさと均一な圧縮強度がある。これにより連続した状態で緊張力が導入されても所定の形状を保つことが可能になってくる。かようににして導かれた面及び従来の構成である桁材を最小限に組み合わせることにより名作の再構築を図った。
と、これでも簡単に説明しようとしてるのだけど難解な言い回しになってしまう。早い話、リートフェルトの赤と青の椅子、この形状を下敷きにして構成の仕方を自分なりに組み替えたものである、という事が言いたいわけ。しかも屋外での使用を前提に。
デッキチェアを単純な形状で構成していくとどうしても避けて通れない背板と座板の配置がある。その基本的な位置とサイズがほぼこの名作椅子では押さえられているためにどうしても似た形になってしまう。試行錯誤の結果として辿り着いた形が実はこれなんだけど逆にそこから振り返る様にその構成を探っていった撞着語法的な作り方を目指した。
2011年 12月 03日
木材をアセチル化する、という方法がある。
これは分子レベルで木材の構成成分を変える、具体的には水酸基をアセチル基に置き換えるという反応を起こさせるもの。これによって従来天然の木材が持っていた性能を根本的に変えてしまう事ができる。 それはこの化学修飾法によって木材の細胞壁の疎水性を飛躍的に高め、結果耐腐朽性能が非常に高くなり、また、含水率も減少するため寸法安定性能が飛躍的に向上するというもの。アセチル基というものは、もともと木材に存在するもので、木材が古くなるにつれて徐々に増えていく性質のもの。新しい木材より、古材のほうが、腐り難く、寸法安定性が高いのはそのためである。
「アコヤ」は、このアセチル基を増やすことで、腐朽菌に対して高い耐久性能をもち、寸法安定性が高く、塗装の寿命をも伸ばす化学修飾方により作られた木材。防腐薬剤や重金属は一切使用しないので結果的に環境にも人体にも優しいという点でも新しい。
・土の中、水の中でも腐りにくくなる
・変形しない
・シロアリに食われない
と言った従来の木材では考えられない超対候性を備える木材となるわけで、前置きが長かったけどこのアセチル化木材アコヤを使った商品の開発を順次ここでご紹介。まず屋外用の照明器具。主に庭園灯として下からライトアップしてそのフレームで受けた光を間接光として見せようとしたもの。
そのフレーム部分にアセチル化木材アコヤを使用している。現時点でフレーム型と反射型があるのだけど今回はそのフレーム型の紹介。、こういう形で28mm角の角材を組み合わせて四角柱の枠組みを構成。写真ではよく分からないのだけど接合部は留になってる。今後これが屋外で水を被り陽に照らされ続けていくことを思うと、改めてこの材料の凄さを実感出来る
2011年 06月 27日
挽き物(ひきもの)加工による木工と金属の円柱を組み合わせたもの。機能としてはペーパーウェイト、すなわち「錘(おもり)」「文鎮」となる商品に向けたもの。
一般的に創作的な仕事というものはどこかの段階で一度整理がてらリセットすると,気持ちも整理されて見えなかったものも見えてくる、と言われている。大きな机の上にその書類を分別していき、分別可能なもの、不能なものの山を作っていくと自ずとその方向性が見えてくる。その書類の束を一応は錘で押さえつつ整理していきたいもの。で、その時の錘の形は見た目に異なってる方がいい、とある日勝手に思いついた。といった考えで作った形状が異なりつつ一つのシリーズとなる錘のセットがこれ。
形に特に制約がないものほど形作るのに難しいものはない、と思ってる。そう、実際難しい。なんせ、「どうでもよい」から。「どうでもよい」から「どうにもならない」。「どうにもならない」時は何らかの「手がかり」が欲しい。広い草原の真ん中にいきなり住宅を設計出来ないのと同じだ。だからここでは敢えて勝手な条件を設定する。それが「挽き物」だ。挽き物になると必然的に球体、円錐、円柱に収束するパターンが多い。そうなると機能的には掴みやすさ、安定感があればそこそこ事足りる。そうこうするうちにどこかで「写真はこう撮ろう」という思いが来る。ホルストの「惑星」のジャケットなんかが脳裏をかすめる。なんてやってるうちにジャケットを作りたいのか、写真を撮りたいのか、挽き物で構成したいのか、そもそもモノを作りたいのか、いや、ペーパーウェイトのシリーズだった、でなかなか完結しない商品郡。とりあえずは出来ているところまで。