40代現場作業員 英語 (original) (raw)
① 早速の挫折
意気揚々と家に帰り、文法書と問題集を開いた私、問題集の一問目から早速取り掛かります。
ああ、現在形、過去形、be動詞に一般動詞 懐かしいなぁそんなのもあったなぁ…
完了形…名前は覚えてるけど何だっけ? 文法書でちょっと調べて…
あーhave+過去分詞ねー 用法はこれだから…
良しできた!
随分時間かかっちゃったなぁ…そう思って時計を見ると、
始めた時から20分が過ぎていました。
一問理解するのに20分…
一日一単元進めるどころか、見開き1ページ進めるかどうかも危ぶまれる進度です。
これはアカン、
このペースは絶対続かない。
生まれて40数年、数々の挑戦に3日ボウズしてきた私の本能が警告を鳴らします。
このままこのペースでの学習をしていたらどこかで挫折するだろうと言うのは火を見るより明らかでした。
これは大分英語学習の敷居の高さを舐めてたなぁ…
私は若干焦る気持ちを抑えつつ、再び問題集に目をやります。
更にレベルを落とした中学1,2年生向けの問題集を買ってきた方が良いだろうか?
とも思いますが、あんまり色々な参考書に手を付けるのにも抵抗があります。
いや、もしかしたらこれをきっちり完璧に出来る様になれば中学レベルの実力ぐらいはつくかもしれないし…。
考えが堂々巡りになりそうでした。
② 超基礎編って事は、全部覚えても良いぐらい大事って事だよね?
さて、改めて私は現状の課題を整理します。
課題は
『問題集の問題を、解説と文法書を行ったり来たりしながら理解して回答するのに何分もかかり、目に見えて進んでいるように思えない。』
と言う事でしょうか。
今の勉強の中で、どんな行為が一番時間がかかっていたのでしょうか?
それは『解説と文法書をじっくり読む』という部分でした。
今自分の手元にある問題集は、
英文法レベル別問題集 1超基礎編 改訂版 (東進ブックス 大学受験 レベル別問題集シリーズ)
という厚さ1センチもない薄い問題集です。
位置から順序だてて学習していくような体系的な参考書とは違い、
むしろそのような学習を終えた人がまとめとして使う様な、超重要な部分を抽出して凝縮しているようなものでした。
買って早々お蔵入り、中学英文法をマスターしてからまた会いましょうになってしまうのか、何とか活用する方法は無いか、うんうんと頭を悩ませ、ある逆転の発想を思いつきます。
「文法を理解するのは別に時間を取って、ここに書いてある英文をまるっと全部覚えてしまえばいいんじゃね?」
超基礎編とあるからには、そこに書かれている事は丸暗記しても構わないぐらい重要なものばかりなんじゃないか?
そう思った私は、その日からちょっとづつエバーグリーンを読み進めながら、英文暗唱をし始めるのでした。
① 参考書選び
その日、20数年ぶりの書店の学参コーナーに私は立っていました。
周りには中高生ばかりの場所に一人おっさんと言うのは少し恥ずかしい。
父兄の方と間違われても仕方がない。
私はいたたまれない気持ちを抑えながら書架に並ぶ英語教材を眺めていました。
何を買ったら良いんだろう…
とりあえず、まずは教科書的なものが必要なんじゃなかろーか?
というわけで選んだのはこれ。
なつかしい、昔持ってたけど高校卒業と同時にどっかに行ってしまった奴を買い直します…あれ?これ昔と名前違わない!?
あとは、とりあえず問題集だよな…
いったいどんな問題集をやれば翻訳家に近づくことが出来るのか、無い知恵を絞って色々と考えましたが、
そもそも英語力が中学生以下の人間なので、とりあえず学力をあの頃程度に戻してから考えた方が良いのでは?と思い直します。
昔、学校の先生に教わった言葉を思い出します。
『英語はなぁ、うっすい問題集を買って来て、一日見開き一ページを完璧にするんだ…それを毎日続ければ必ず上達するんだ…』
当時アホだった私は『へーそうなんですね』と話を合わせ、家に帰ってゲームをして寝ました。
あぁ、あの時やっておけばよかったなぁ…
私は後悔と共に出来るだけ薄い問題集を探します。
これだな。
私は迷いなく学参コーナーにあった一番薄い問題集の一番易しいレベルの問題集を手に取りました。
後は、辞書か。
スマホタブレット趨勢の現在、わざわざ紙の辞書を買う必要も無いかと思いましたが、あって困る事も無いか、と一冊購入する事に。
と以上の三冊を購入して私は帰路についたのでした。
① 私は英語が出来ない
さて、今更ながら英語の勉強を始めるに至り、
今一度自分の英語能力について改めます。
ですが、英語の試験と言えばTOEICですが、
たいていは現在の実力を図るために一発受けに行ってみる。
みたいなことはやらないでおこうと思います。
何故なら最低点を取るのは明白だからです。
サラリーマン時代(ン十年前)に一度、受けに行ったのが最後で、その時は235だったかその辺でした。
それから一切英語には触れていませんでしたのでそれ以上であるはずがありません。
お金払って受けに行って、また200点台である事を確認する事に意味は無いと判断しました。
受けに行くとするならば、勉強がある程度軌道に乗り、
自分なりにわずかでも実力が着いたと実感できたら、でしょうかね。
② 改めて目標を定める
翻訳家と言う職業に出会ってから数日、
私は翻訳に関するいろいろなブログや動画を見漁り、
「なってみたいなぁ」と言う漠然とした願望を抱いていたのですが、
改めて目標を整理してみます。
1) 腰が本格的に痛くなる前に英語のスキルを身に着ける(数年)
2) 現場仕事を肉体的に無理のない程度に減らし、減った収入を在宅翻訳業でカバー
こんな設計になるでしょうか。
こうして言語化され、にわかに現実味を帯びた野望が私の中でむくむくと湧き上がって来たのでした。
③ 勉強方法を調べる
今まで英語で良い点数を取ったためしがない私ですが、がむしゃらに数年英語の勉強を頑張っていれば良い成績を出せるでしょうか?
学生時代の私の英語の勉強と言えば、ただ闇雲に英語の問題集を解き散らかすだけ。
中学の頃はそれで何とかなっていたけれど、
高校に入ってからは内容も膨大になり、どうしようもなくなっていました。
こんな勉強方法で良いわけがない…。
不安に駆られた私は英語の勉強方法についてまた色々と動画を見漁る事になります。
そこで出会ったのが下の動画でした。
英語学習について有名なYouTuber のアツさんの動画です。
「発音、単語、文法と英語学習にはどうしても知識を固めなければならないものがありますが、それの内私は文法をまずしっかり固めるべきだと思います。なぜなら単語は無限にあるけれども、文法には限りがあるからです。」
なるほど、理にかなっている……
その動画を見終わった後、早速私は近くの本屋に英文法の参考書と問題集を買いに出かけるのでした。
① きっかけ
「ああ…痛ぇ…」
片づけを終わらせて、背筋を伸ばした時に、腰に鈍い痛みを覚えます。
数年前までは、ちょっとすわりが悪いかな? なにか腰にあるかな? 程度だった異物感。
それは最近では明確に存在する脅威となっていました。
今はまだ我慢できる痛み。
ですが今の仕事をしている限り良くはならないだろうとは思います。
端的に言えば、激務。
20kgの材料を抱えてあっちからこっちに移動したり、ずっと腰をかがめて作業し続けなくてはならなかったり…。
いずれ身体にガタが来る日が来るのはわかっていましたが、「まだ大丈夫、まだ大丈夫」と目を逸らし続けていたのでした。
「現場で作業、これからも続けられるかなぁ…」
私の口からそんな言葉が漏れ出ていました。
無論、元気に動き回る50代60代の方も現場には沢山いらっしゃいます。
腰にコルセットを巻いて、病院で痛み止めの注射を打って貰って現場に出る方もいらっしゃいます。
いずれは自分も痛み止めを使う事になるかもしれないと言う覚悟はあったつもりでしたが、いざ現実味を帯びてくると、途端に甘えた言葉が出てしまいます。
上手くやろうとするならば、
例えば 勉強をして資格を取り、セコカン(施工管理:現場監督さん)を目指す。
例えば 人を雇って、労力を分散する。
なんて事もあるのでしょうが、気楽な一人親方(個人事業主)稼業に慣れ切った私にそれが務まるとは思えません。
こりゃあ、本腰を入れて今後の事を考える良いチャンスなのかもしれないなぁ。
そんな事を思いながら、私は痛む腰をさすりつつ家路につくのでした。
② なんで英語
YouTube,ゲームにアニメ、ソシャゲになろう小説、いつもならそれらをビールを片手に嗜む時間、珍しく私は今後の身の振り方を考えていました。
身体の事を考えれば、恐らくは仕事の量を減らさなくてはならないでしょう。
お金の面で言えば、何とかなりはする。
脱サラしてから今まで、名ばかりとは言え、ある程度の期間は一人親方としてやらせてもらって、新人さんよりかは多少色を付けていただいてます。
今いただいているお仕事を3分の2に減らしても、部屋で息吸って吐くだけの生活にはなるでしょうけれど、やっていけないことは無い。
じゃあ、それでずっと大丈夫か?
仕事減らしてその空いた時間はユーチューブ見てて問題無いか?
と聞かれればそれには頷けません。
今より更に悪化したら?
老後の貯えは?
そう考えると何か副業的な事を始めた方が良いのでは?
そう思い立った私は、目の前にあるキーボードを叩きます。
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肉体的に楽したいといえばそうなんだけれど…
真面目に取り組んでいる方もいらっしゃるかもしれないので、それらに言及するのは控えます。
もうちょっと、きっちりスキルを身につけて戦えるような仕事は無いのだろうか…?
「やっぱりセコカンの勉強するしか無いのかなぁ…」
Fラン大学を卒業した私は、卒業して東海地方の自動車部品メーカーに何とか潜り込んだは良いものの、そこで競争だとか人間関係のシガラミだとかをいやという程経験し、挫折して地元に戻った経緯があります。
シガラミが嫌だから、懸命に体を動かし、仕事の話さえできれば問題の無い職人の道に進んだと言うのに。
そんな私に現場監督とかの、タフなネゴシエートを要求される仕事が務まるだろうか?
どう考えても務まるとは思えません。
そんな時にふと目に飛び込んできたのが、翻訳家という言葉でした。
③ 翻訳家
在宅で仕事ができる。
収入は実力次第
「これは、良いかもしれないぞ」
私の口からそんな言葉が漏れました。
昨今、機械翻訳、AI翻訳にその職が奪われるのではないかと噂されてはいる職業ではあります。
ですが私には翻訳家と言う言葉が天啓に見えたのでした。
『もしAI翻訳に取って代わったとしても、英語が出来る人材は絶対にどこかで需要があるはずだ。』
何の根拠もありませんがその時の私にはそう思えたのでした。
その日をきっかけに、私の英語学習の長い道のりがスタートしたのです。