哲学ウォーク×探究クラス@純真高校〜先生から質問もいただきました〜 (original) (raw)
10月上旬にお邪魔した福岡の純真学園。
高校の探究クラスで実施した哲学ウォークの様子を、担任の先生がブログにアップしてくださいました。
みんなで一緒に校内を歩いて、哲学者の言葉にぴったりの場所が見つかったら「ストップ!」。それぞれがひいた哲学者の言葉と理由をきいて、お互いに質問し合います。
最初は質問がなかなか出てこなかったけれど、「ストップ!」と質問を繰り返すうちに、みなさんポンポン質問が出てくるように。その成長ぶりに、先生方も驚きます。
また、今回は迷ってるうちに「ストップ!」をかけそびれてしまう人が多くて、チームごとにルートを引き返す場面もありました。(今回は、カフェフィロメンバーでもある安本志帆さんがサポートに入ってくれていたからこそ、実現できたことですが。)
哲学ウォークでは、基本的に引き返さず、「ここかな?まだかな?」と迷いながらも、「えい、ここだ!」と思い切って決断(判断)を下す。その後戻りできないところが、人生にも通ずるところがあって面白いところだと思っていたのですが‥‥‥。
今回は、引き返した人たちの「ここ!」にそれぞれ説得力があって、勇気をもって1周目で「ストップ!」を言えた人の決断力と同じぐらい、「やっぱりあそこだった」と引き返すことになった人の妥協しない姿勢も、素敵だなぁと感じちゃいました。
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そして、見学&サポートをしてくださった先生方から、いくつかご質問をいただきました。
ブログを読んでくださっているみなさんのなかにも、知りたい人がいるかもしれないので、こちらでシェアさせていただきます。
哲学者の言葉はたくさんあると思うのですが、今回選んだ言葉はどのような基準で選ばれたのでしょうか?
哲学ウォークのための言葉を選ぶときは、いつも以下のことを心がけています。
- 専門用語や難しい言葉を含まず、耳できいてわかりやすいもの
- 覚えやすい長さ
- 具体的な物がすぐに思い浮かぶような言葉が含まれていないこと(含まれていると、イメージを狭めてしまうので。抽象的な言葉のほうが、自由な思考が促されます)
- ネガティブすぎない言葉(歩いてる間中ネガティブなことを考なきゃいけないのはしんどいので。また、「ハズレ」な気分になっちゃう人がいるかもしれないので)
それに加えて今回は、純真高校の生徒さんが対象ということで、以下の点も意識しました。
- 「良い子ちゃん」すぎない言葉(学校という場所は、良い子ちゃんな発言が期待されているという誤解が生じやすい環境なので。そして、そう誤解されてしまうと、自由な思考が促されず、新たな発見のチャンスが減ってしまうので。)
- 人生で迷った時に、ヒントになりそうなもの(今後、人生の選択が何度もあるだろうので、授業での体験が少しでも糧になったらうれしいな、と。)
- 何組か、対になる言葉を忍ばせる(途中で飽きないように、ちょっとした刺激として。今回は、「歴史は繰り返す」(ヘーゲル)と「歴史は繰り返さない」(カール・ポパー)、「誰かを深く愛せば、強さが生まれる」(老子)と「誰かに深く愛されれば、勇気が生まれる」(老子)」の2組のを忍ばせてみました。)
哲学のように考え続けることのメリットや影響は?
人生には、なんとなく周囲に流されたり多数に合わせていても特に問題ない場合もありますが、ときには大多数に合うやり方が自分には合わなかったり、周りに流されて道を誤ってしまう恐れがあります。
それに対して、いろんな考えがあること、「正解」とみなされがちな答えも数多ある答えの一つだということを体感しておくと、いざというとき、周りに流されず「本当にこれでいいのかな?」と立ち止まったり、多数とは異なる道を選んだり、自分自身で新たな道を創造していく力になります。
また、実は哲学は、考えを促すだけでなく、「考えすぎ」にブレーキをかけるのにも役立ちます。悩んでぐるぐる思考が止まらないと、他のことに集中できず、生活に支障が出ることもありますよね。そんなとき、悩みを「問い(question)」の形にする力があれば、考えるのをいったんそこで中断することができます。時間に余裕ができたときに、メモした問いから考えを再開すればいいので。
今回の哲学ウォークでは、他者に対する「質問」という形でquestionをつくる練習をしました。同じように自分に対するquestionをつくることができれば、それが「問い」になります。
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今回は2回目の訪問でしたが、毎回、教職員のみなさんも熱心に関わってくださって、本当にうれしい。
せっかく九州までうかがうならと、前日には大学の教職員の方対象の研修で、思考の交差点ワークも実施させていただきました。
職員さんに池田高校の探究科出身の方がいて、つながったご縁。