リクルートのDNA(江副浩正) (original) (raw)

リクルートのDNA』(江副浩正)(◯)

これは非常に良い本でした。著者は、リクルート創業者。23歳で大学新聞広告社を創業。昭和38年に法人化し、その後「リクルート」に社名変更。本書は、リクルート創業から現在のリクルートの社風を築くに至った道のりが体験をもとに語られている一冊。企業風土についてや、名起業家から学んだ一言、成功する起業家の条件など、創業経営者としての考え方もまとめられており、これも非常に参考になる内容でした。

(印象に残ったところ・・本書より)

◯考え方を同じにする

ベンチャー企業が突然低迷するのは、理想のベクトルが一つではなくなったことがあるかもしれない。一度ベクトルが外れると、なかなか元の軌道には戻らない。

・ウィークデーの昼間に自分のデスクにいることはなかった。

・社員の名前をすべて覚えるようにしていた。呼ぶときは、男性も女性も、ニックネームがあればニックネーム、ニックネームがなければファーストネームで呼んでいた。社長や専務をニックネームで呼ぶのは社員の親愛の情の表れであろう。

◯自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

・高校の漢文の時間に出会った言葉、易経の「窮すれば変じ、変ずれば通じ、通ずれば久し」を人生の指針の一つにしていた。

◯マネジャー研修のためにまとめた「経営理念のモットー」

①誰もしていないことをする主義

②分からないことはお客様に聞く主義

③ナンバーワン主義

④社員皆経営者主義(起業家の集団)

⑤社員皆株主

⑥健全な赤字事業を持つ

⑦少数精鋭主義

⑧自己管理を大切に

⑨自分のために学び働く〜遊・学・働の合一を理想とする〜

⑩マナーとモラルを大切にする

◯マネジャーに贈る十章

①希望・勇気・愛情

②ネットワークで仕事をすること

③高い給与水準

④人は仕事を通じて学ぶ

⑤プレイングマネジャー

一般社員との関係は、高校野球のキャプテンとメンバーの関係に似ている。

⑥まず周囲に自らを語ること

⑦数字に強いこと

⑧努力の継続

⑨脅威と思われる事態の中に隠された発展の機会がある

リクルートは社会とともにある

◯成功する起業家の条件

①気力と体力のある若い人材を集め、目標を共有して事業を推進する。

②自らを磨く。優れた仕事を熱心にして、それを継続している。

③構成メンバーの人物をよく知り、誰にどの仕事をどのレベルまで要求するかを決める。

④日本で初めての事業。創業者利益が得られる事業をする。

⑤産業社会の新しい要請に応える事業を行う。

⑥多くの資本を要さない仕事から出発する。

⑦時間の有効な使い方を知る。

⑧失敗を恐れぬ勇気を持つ。

⑨若くかつ就職しないで起業する。無知からくる無謀が人にできないことを成し遂げさせる。

⑩学歴は関係ないが、知識とスキルは成否の重要な鍵。

⑪経営哲学を社員と共有する。

⑫コミュニケーション能力を高める。

⑬話上手であり、聞き上手。

⑭倫理観。

⑮健康に留意する。

⑯政治家とは一定の距離を保っておく。

⑰コアビジネスでシェアを拡大し、他の追随を許さないように専心する。

⑱人の能力を精一杯引き出す力を持つ。

⑲自分の考えが正しいかどうかを決めるのは顧客であると考える。

⑳若くなくても起業して小さな成功を収める。

私は、本書の中でも、第1章「企業風土について」、第3章「成功する起業家の条件」、そして第5章「生き生きと働く風土」(ここは個別の施策について)が学び気づきが多く、好きなところでした。創業者の方の書籍には、良書が多いと感じますが、それは泥臭い体験の数々が心に響くからなのだと思います。

リクルートのDNA 起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)