【2024年9月のエンタメ、映画感想】夏目アラタの結婚/ビートルジュースビートルジュース/サユリ/スオミの話をしよう/四月は君の嘘 (original) (raw)
9/12
ハンターハンター38巻。色んな意味でついていけなかったらどうしよーと心配してたけどちゃんと楽しめた自分にホッとした。
キャラの思考内容が煮詰まりまくってて少年漫画の新次元に突入してる。冨樫義博の良さはそこ、少年漫画を開拓者してるから飽きずに読める。
にしても、その後読んだ浦沢直樹『あさドラ』の読みやすいこと!
浦沢直樹は漫画が上手すぎて個性があるのかスタンダードなのかわからなくなる。友達の歌手デビューパートとか本筋と並行して見せる意味があるのかよくわからないけど面白い。
9/21
鹿児島、知覧特攻平和会館で思ったのは特攻の美意識や死生観は国産エンタメ、少年漫画やアニメにも脈々と受け継がれていて自分も無自覚にそれを享受していたんだろうなということ。
『ゴジラ-1.0』のラストはストーリー構成としても感動を生む力を持つ特攻精神に別の出口を用意した点でも意義深かったな。
9/23
堤幸彦ファンなので映画『夏目アラタの結婚』を鑑賞。
入口がサイコホラーで出口ではサイコが反転してラブストーリーになるオセロみたいな映画だった。
最近の邦画って二重性を前後半で反転させるギミックがある作品が多いのかな?
『夏目アラタの結婚』はそんなに典型的なタイプではないけどこの手法が使われていると、とりあえず2時間ドラマではなく映画にする価値のあるシナリオだなという印象は持てる。
面会室での不気味な撮り方は堤監督らしく冴えてるものがあった。
9/30
映画『ビートルジュースビートルジュース』鑑賞(前作未見、あらすじは予習)。
ノンストップ全方位でティム・バートンの映像世界が楽しめて想定の1.8倍満足。
90年代ならチープさも含めて可笑しく見えそうなナンセンスなアイディアも現代ハリウッドの技術力でやってるから異様な迫力が出てる。
死者がみんな死んだ時の姿のままで滑稽。死を愉快に描けるコメディーは強い。
登場キャラ多いわりに脚本はスロースタートで終盤一気に片付けてるけど文句はなし。
─
『サユリ』
奥浩哉が推していたので観たが怖過ぎだし露悪的すぎて観なきゃよかった。
ただ奥先生が評価するのもわかるし、後半のやられっぱなしで終わるなというテーマにも共感できる。
でもギミックで反転させきってないから後味も悪かった。バイオレンスや悲惨描写に耐性ある人には傑作かも。
確かにグロよりもリアルな悲惨描写が嫌だったな。
『スオミの話をしよう』
三谷幸喜ファンとしては酷評されていても氏の現在地を知るために観に行かなくてはならない。しかしなぜ鎌倉殿の13人という傑作の後に(いまだに最後まで観れてないけど)こうなるのか不思議。
後半はまだ良かったが前半がほぼおじさんオンリーのぬるめの会話劇なのが問題なのか、音楽の使い方で盛り上がらないのかなどと色々考えちゃう。
長澤まさみや瀬戸康史や松重豊も良い味出してたし役者の演技を引き出すことに主眼が置かれてるからピンとこないのかも。
多重人格的なキャラクターをコメディで見せるとこうなるのかという上手さはあったし、セットも良いので全然ダメってこともないけど。
『四月は君の嘘』(8K舞台映像フェスティバルでの上映)
生田絵梨花のファンなので鑑賞。
ロングショットで編集されておらずカット割りもないのでかなりの臨場感。ちょっと距離感はあったから前列席でも良かったかも。
ミュージカルって舞台セットの沈黙がキャラクターの人生を見守ってるように感じられる。これは映画にはない要素。
舞台は映画ほど嘘が上手くなくて作り物だということがあちこちに見える。ところがかえってそこからスタッフ/キャストの一生懸命さが生々しい魅力となって伝わってくる。
生田絵梨花の演技は嘘っぽくなくて迷いがない(ように見える)。俺には見えてない光が見えてるのか?って感じがして不思議。