中間貯蔵施設、青森県が受け入れ表明 (original) (raw)
青森県の宮下宗一郎知事が7月29日、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、県とむつ市、運営事業者(リサイクル燃料貯蔵(株)以下RFT)の3者で安全協定を締結する意向を明かしました。青森県が中間貯蔵施設の受け入れを表明したことになります。
使用済み核燃料の中間貯蔵、青森県が受け入れ表明…8月にも県・市・運営会社で「安全協定」締結 : 読売新聞
原発の敷地の外で使用済み核燃料が中間貯蔵される事例としては、日本で初めてとなります。
むつ市の事例は、上関の将来像として参考になるので、まとめておきたいと思います。
立地調査から20年以上を経て、ついに動き出した感がありますが(過去記事参照)、青森県がずっと懸念してきたことは、やはり「このまま最終処分地になるのではないか」という点でした。
中間貯蔵施設というのは、いわば使用済み核燃料を再処理するまでの一時保管場所です。その再処理工場が稼働の目途が立っていない訳です。青森県が抱く懸念も、妥当なものだと思われます。
その点について、中間貯蔵施設に使用済み核燃料を搬入する東京電力やRTFは、次のような説明をしていました。
青森:中間貯蔵施設 知事月内にも「総合判断」 安全協定締結 県民説明会不安の声 「最終処分地になる」:地域ニュース : 読売新聞
- 「搬出時点で稼働している再処理工場に運び出すという認識」(RFS)
- 「原子燃料サイクルは国の基本方針であり、必要な工場の稼働が確保されると承知している」(東電HD)
わかりやすい表現に言い換えれば、
- 「50年後に実際に搬出する頃には、どこか動いているだろう」
- 「国策なんだから、国が何とかしてくれるだろう」
ということです。
もとはといえば、中間貯蔵施設からの搬出先は、六ヶ所村の工場に続く「第2再処理工場」と計画されていました。ところが、2011年の福島第一原発事故の影響で、その話は立ち消えになり、東京電力やRFTは搬出先を明言できなくなったのだろうと思われます。
青森:中間貯蔵施設 知事月内にも「総合判断」 安全協定締結 県民説明会不安の声 「最終処分地になる」:地域ニュース : 読売新聞
しかし、ここにきて青森県知事の背中を押したのは、7月23日の斎藤健経済産業相との面談でした。経産相は、次の2点を知事に伝えたそうです。
- 燃料の搬出先は、現在建設中の六ケ所村の再処理工場を想定した対応を取ること。また40年超の安定的な長期利用も考えていること
- 国の次期エネルギー基本計画にその旨盛り込む方針であること
(2024年7月23日共同通信、Web東奥など)
知事はこれを受けて、核燃料搬出先を巡る県民らの懸念に対し「一定程度払拭(ふっしょく)され、(明確化へ)大きく前進した」と述べています。
青森県知事、使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の安全協定締結表明 搬出先懸念「一定程度払拭」(Web東奥) - Yahoo!ニュース
国が曲がりなりにも搬出先を明言した。やる気も見せてくれた。稼働の目途が立たない状況に変わりはなく、懸念は100%とは言わないが「一定程度払拭された」、ということなのだろうと思われます。
それでいいのか、ほとんど根性論ではないか、根性だけで再処理工場が動くならこんな問題になっていないのではないか、という個人的な疑問は、とりあえず置いておきます。
青森県もむつ市も、すでに保管中の核燃料に税金を課す方針を固めています。青森県知事としては、今さら後には引けない。とにかく受け入れ表明するために県民に言い訳できる程度の口実が欲しかった。それが斎藤経産相との面談だった。ブログ主はこのように推察しています。