3分で読める!仕事効率化の技術 (original) (raw)

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ダニエル・ピンク氏の「モチベーション3.0」に関して、自律性と熟達について、これまでにご紹介をしてきました。

前回の記事はこちら:

自律性:https://moss-burner.hatenablog.com/entry/2024/04/07/165241

熟達:https://moss-burner.hatenablog.com/entry/2024/04/11/000147

今回は、「目的」に焦点を当てます。

あなたが60歳になったとき、男性であれば平均寿命まであと20年、女性であれば25年ありますが、これまでの人生を振り返って、どう感じるでしょうか。「なんてことだ、時間の流れるのは速い!自分の人生にとって、重要なことは、いつ、どうやって実現すればいいんだろう?」と思うはず、と本書では説いています。

多くの人が人生の目的を「富や名声の最大化」に置いていますが、それだけでは幸福にはなれないとアメリカのロチェスター大学の研究者たちは示しています。彼らの研究によれば、富や名声の最大化は満足感や自尊心の向上には繋がらず、良好な人間関係、愛情、配慮、思いやり、共感など、本当に大切なことにかける余裕が得られないというのです。

個人レベルでこういった結果が得られたことから、個人の集合体である企業や組織にとって、「目的」に関する古い考えを手放し、以下の3つの視点からブラッシュアップすることが求められます。

目標: 従来の企業の目標は利益の最大化でしたが、上述の目的を追い求める個人が増えるにつれて、利益はあくまでも社会への利益還元を達成するための触媒である、と考える組織が増えています。

言葉:本書ではハーバード・ビジネススクールの学生が考案した「MBAの誓い」が、言葉の大切さを表している、としています。「マネージャーの目的は、人と資産を結び付け、単独では想像できない価値と大義を生み出すことである」「わたしは、株主、同僚、顧客、そして社会の利益を守る」「持続可能な経済的、社会的、環境的繁栄を気づく」といった言葉は、従来の企業理念とは異なるものをもっています。

指針:指針と聞くと、法に触れないための最低限のガイドラインを思い浮かべるかもしれません。一方で、ここでの指針とは、組織の利益の一部を慈善事業に使ったり、組織に属する個人の時間の一部を社会的意義のある活動(例:医師であれば患者のケアや研究)に使うことで、感情的な満足度を上げることを指します。

すなわち、「目的」の最大化を理念に掲げる企業や組織は、利益を得ることを否定はしないものの、目標・言葉・指針の3つをもって、「目的」を追求する個人を支え、モチベーションを真に最大化するのです。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか | ダニエル・ピンク, 大前 研一 |本 | 通販 | Amazon

交渉や調整において、片方が利益を得て(win)、もう片方が損をする(lose)というwin-loseの状況は避けたいものです。両者が利益と満足感を得るwin-winを得やすい土壌(前提条件)について、考えてみました。

1.まず、分け合うべき一定の利益が両者の視点から明確に見える形で存在すること。

明確な利益のないところに友好的な話し合いの雰囲気は生まれません。そもそも、win-winを目指すべき状況かどうかを見極めることで、時間と労力の浪費を避けられます。

私の場合、明らかに当方に利益が見えない状況の場合は、話の初期段階で明確にそれを表現し、相手の意見を求めるようにしています。そこに対して適切な返事が得られない場合は、win-winが可能かどうかの判断も必要になります。

2.協議のテーブルについている中の最低でも一名が、多様な見方や価値観を提供でき、まだ見えていない利益を創出し、言語化・可視化できること。

最初からお互いに十分な利益がある場合は、労せずともwin-winになりますが、そうでない場合は、最初から見えている以外の新たな利益を見出す必要があります。

例えば、片方にとっては金銭報酬や評価が大事で、もう片方にとっては時間が大切、という場合は、時間の要素が見えていないことがよくあります。別の例では、そもそも課題を解決しないとお互いともに大変な事態に陥ってしまう場合もありました。ネガティブを避けることも価値になりえます。

そういった盲点への気づきをもたらすことで、見えていなかった価値を交渉の場に提示します。

3.過大な欲が出てくる以前に、程よいところで一気呵成に合意をすること。

交渉事や駆け引きは、時間が長引くほど、お互いに上げた拳の行き場に困る状況が出てきます。後々に「あの程度で折り合っておけばよかった」と思う前に、十分な説得力をもって短期間で合意案を提示し、多少は不完全でも合意に持ち込む方が得策です。

時機を逃すことの痛みは、交渉にのめり込んでいる際には往々にして気づけないものです。

提案や要望が断られたとき、自分自身にどのように問いかけているでしょうか。

他にもたくさんありそうです。同じ「断られる」という経験をした後でも、どう自問自答するかによって、気の持ち方や、次に取る行動が大きく変わってきます

この例に限らず、何か予想外のことが起きた時に、どう自分に問いかけているかを確認することは大事です。目の前の相手が、そういった状況で落ち込んでいるときには、「今回のことを受けて、どう考えたり感じたりしているか」を聞いてみませんか。そこから、次の一手を前向きに話し合えるきっかけが掴めます。

情報を受け取るとき、あなたはメールなどの文面を好むでしょうか。それとも、対話を通じて口頭で聞きたい方でしょうか。

ピーター・ドラッカーは「経営者の条件」の中で、上司の強みを活かすために、その特有の仕事のやり方を理解することを薦めています。一例として、「読む人」と「聞く人」があることを取り上げています。

一方で、「読む人」か「聞く人」かは、確かに、人にはそれぞれ好みがありますが、これは絶対的なものではなく、状況や案件の複雑さによることが多いでしょう。また、その時のコンディションにも影響されます。

私自身はどちらかと言えば「聞く人」ですが、体調が悪いときに長々と説明されると困ります。また、単なる報告ではなく、業務計画については、やはり書面で確認したいものです。

ですので、「Aさんは読む人だ」「Bさんは聞く人だ」と決めつけるのではなく、「この人は、今の状況では、どちらが好みだろう」と考えながらコミュニケーションを取るのはどうでしょうか。こうした小さな問いを立てることで、相手への関心や寄り添う気持ちが高まり、コミュニケーションの質も向上するはずです。

以前からご紹介している「あなたが部下から求められているシリアスな 50 のこと(濱田 秀彦)」ですが、最後の「育成力」について今回は取り上げます。

前回までの記事はこちらです。

人間力https://moss-burner.hatenablog.com/entry/2024/03/23/231734

仕事力:https://moss-burner.hatenablog.com/entry/2024/04/01/230407

職場力:https://moss-burner.hatenablog.com/entry/2024/04/09/224938

「ほめてほしい、認めてほしい」

書籍では、①具体的にほめること、②ほめるときは、ほめるだけにすること(マイナスのコメントを混ぜない)、③「私はあなたの、ここが良いと思う」と私視点で発信をすること、の3点をポイントとして挙げています。そのうちの③が興味深く、ほめられた相手が、「そんなことありません」と否定しにくいように、という配慮だそうです。ほめる側である上司が、ほめられたときに、「そんなことはないよ」と謙遜をしていると、いざ、自分が相手をほめる際に心がこめにくいのかもしれませんね。

「叱ってほしい」

こちらも、書籍のエピソードが興味深いのですが、入社して3年が経ち、小さなミスが続いていた際に、「君らしくないな」と言われて我に返り、その上司からの注意に感謝した、と書かれています。要は、叱られた本人に気づきをもたらすことがポイントである、と解説がされています。私自身、「気づきをもたらす」を叱る際の主目的には出来ていなかったですので、そういった視点で取り組むと、「叱る」にまつわる感情的な問題なども解決しやすいのかもしれない、と思い返しました。

「信用して任せてほしい」

任せてほしい一方で、ピンチになったら助けてほしい、が部下のホンネである、と解説されています。任せることで野放図になってしまうか、より主体性をもって業務の自己チェックが進められるかもポイントと書かれています。任せられて嬉しいかどうか、も最近ではポイントになるのかもしれません。どういった形で自律性を発揮したいか(取り組む課題、時間、手法論、働く相手)は、人によって異なるので、ある程度、相手ごとにカスタマイズしての任せ方があるかと思います。

前回のダニエル・ピンク氏の「モチベーション3.0」に関する記事では、自律性と4つのTについて紹介しました。

前回の記事はこちら:
自律性を高める:「モチベーション3.0」の実践 - 職場でのコミュニケーションを軽やかに! (hatenablog.com)

今回は、「マスタリー(熟達)」に焦点を当てます。これは、「何か価値ある技術などを上達させたい欲求」を指します。

学習目標 vs 達成目標マスタリーを育むには、適切な「学習目標」が必要です。例えば「英語を話せるようになりたい」は学習目標になります。一方で、例えば「英語の試験で90点を取りたい」は「達成目標」と言われ、こういった自分の優秀さを示したい目標は、マスタリーに不向きです。

フロー状態マスタリーを理解するために、もう一つ重要なキーワードがあります。何か夢中になれるものに取り組んでいるうちに、時間が過ぎ去るのを忘れていたことはないでしょうか。そういった状態を「フロー」と呼び、以下の特徴を持ちます。

マスタリーの3つの法則フロー状態をもたらすような仕事の分配や職場環境を整えることで、人はマスタリーを追い求め始めます。ピンク氏は、マスタリーには以下の3つの法則があると述べます。

職場でこれらの原則を理解し、適切な学習目標を設定し、今の能力を一段超える業務を割り当てることで、フロー状態を生み出し、マスタリーへの意欲を引き出すことができます。

以前からご紹介している「あなたが部下から求められているシリアスな50のこと(濱田 秀彦)」の続きです。

前回までの記事はこちら:

中間管理職のための指南書:部下からの要望を理解する - 職場でのコミュニケーションを軽やかに! (hatenablog.com)

未来を見据えるリーダーシップ:部下が求める仕事力 - 職場でのコミュニケーションを軽やかに! (hatenablog.com)

前回は「仕事力」に焦点を当てましたが、今回は「職場力」について、3つのポイントを選び、詳しく見ていきましょう。

「しつこく報連相を求めないでほしい」

著者は、適度な距離感が部下との関係構築における鍵であると述べています。報連相が全くない状態も問題ですが、過度に求めることは、信頼関係の未成熟さを示しているかもしれません。本書では、報連相に対して感謝や承認の言葉を返し、報連相の報酬性を上げることを推奨しています。

「忙しい理由を知らせてほしい」

部下に報連相を求めるならば、自分自身も透明性を持って情報を共有する必要があります。忙しいことは見た目でわかるかもしれませんが、忙しい理由を共有することで、部下の協力を得やすくなるでしょう。また、部下が「今は不急の相談を控えよう」と考えるきっかけにもなります。

「みんなで決めたことをひっくり返さないでほしい」

時には、職場の運営を部下に任せてみることも大切です。しかし、部下が決めたルールを「これではダメだ」と一方的に変更すると、部下のモチベーションは低下します。もし既に腹案があるなら、最初から自分で決定するか、信頼できる部下と事前に相談した上で、協議の進行役を任せると良いでしょう。

次回は、「育成力」に焦点を当ててみます。