『ラスト・エンペラー』映画のあらすじ&感想 (original) (raw)

1987年 監督:ベルナルド・ベルトルッチ 清国最後の皇帝であり満州国皇帝だった愛新覚羅溥儀(アイシンカクラ フギ)の自伝をもとにその生涯を描きました。

主演のジョン・ローンはのちに溥儀の孤独が自分とリンクしているようだったと懐述しています。栄華を極めてその後は静かな日々を送っているところも共通点あるように思えます。

あらすじ

1950年、ハルピン。ソ連での抑留を解かれ母国へ送還された大勢の中国人戦犯の中に、清朝最後の皇帝・溥儀(ジョン・ローン)の姿があった。

手首を切って自殺を図った彼は、薄れゆく意識の中、波乱に満ちた自身の半生を思い起こしていく。映画com.

感想

前半は溥儀の幼少期を3人の俳優が演じました。特に圧巻だった3歳の溥儀が皇帝に即位するシーン。印象的なリズムが奏でられた紫禁城での壮大な即位式は見事としか言いようがなく、当時は「伝説に残るシーンだ」と言われました。

音楽を担当したのは坂本龍一、デイヴィット・バーン他。荘厳な盛り上がりの曲もあれば、懐かしさとやさしさにあふれたフレーズも。俳優としても出演している坂本龍一アカデミー賞作曲賞を受賞しました。

そして溥儀を演じたジョン・ローン。辮髪姿もりりしく、またモダンな洋装の姿も美しく、皇帝溥儀の存在を華やかに表現できています。

途中で挿入される、戦後に抑留されみじめな姿となった溥儀も気高さと存在感がありました。ジョン・ローンはこの役で一躍トップスターとなりました。

ただし、ラスト・エンペラーは実際の出来事から脚色した、ある意味ほとんど架空の物語です。この作品で楽しむべきはストーリーではないということも念頭に置かなくてはなりません。

みどころはまず実際の紫禁城でロケをしたということ。さらにアジア出身のジョン・ローンのどうどうたる佇まい。

そして考えさせられるのは、皇帝とはいったい何なのだろうということ。人々に担がれて、利用されるのが皇帝なのか。宦官1200人に守られて君臨した清国皇帝の、時代の大きなうねりの中で何者かの思惑に翻弄された人生。

ベルトルッチ監督がこだわった紫禁城のシーンが素晴らしいほど、皇帝という言葉が悲しく聞こえてしまいます。

最後にもう一つ、これだけは納得できなかったのは、言語が英語であったということです。1987年にはアメリカ人は字幕を見なかったのでしょうね。
この上なく残念です。