『鵜の殿様』~エア鵜飼でイキピッタリ幸四郎・染五郎が魅せる (original) (raw)
8月納涼歌舞伎 1部
これは面白い!
暑気払いに、太郎冠者を呼びつけ、鵜飼の様子を語らせた大名。つい自分も鵜飼がしたくなったのですが、太郎冠者は、いつもの憂さ晴らしに大名を鵜の役にして、自分が鵜飼の役となります。
ひもでつながれた大名は、クイクイっと太郎冠者にひっぱられ、転ばされ、さんざんな目に合ってしまいます。
と書くと簡単ですが、首にひもをかけるわけにはいきませんから、全部あるふり、いわばエア鵜飼。ちょっと意地悪気味にヒモを引っ張る太郎冠者と首のヒモを引っ張られてすっころぶ大名が、イキがあっていないと成立しません。
今回の大名・染五郎、太郎冠者・幸四郎は、今年の2月に博多座で上演した同じ配役です。博多座で大変評判を取ったということで楽しみにしていましたが、実際大変面白かった。
イキが合っていて、まるで二人の間にはヒモが存在するよう。操り三番叟でもそうでしたが、見えないヒモが見えてくるような錯覚を得ました。
首を引っ張られてダイナミックにすっころぶ染五郎。染五郎は手足がとても長いうえに長袴をはいており、ステンと転ぶというよりは、より高くより遠くまでおおきくスッパーンとすっころぶ状態になり、迫力があります。大丈夫かな、あんなに何回もすっころんで。
幸四郎はもともと踊り巧者で、しかも踊りではどんどんテンションが上がって共演者ともども未開の境地にまで引っ張り上げてしまうような能力を持っています。私も記憶に残っているところでは、5年前の幸四郎・松也の『寿式三番叟』。力強く、若々しく、リズミカルで凛々しく。素晴らしい三番叟でした。
https://munakatayoko.hatenablog.com/entry/2019/06/25/130036
また記憶に新しいところでは、7月夜の部の『裏表太閤記』の大詰で魅せた五人三番叟ですね。幸四郎が引っ張っていました。
今回の『鵜の殿様』.私が観たのはまだ二日目でしたが、これからますますテンションが上がっていくのではないかと思います。幸四郎太郎冠者が、染五郎大名をひっぱってどんな舞踊にしていくのか注目です。
幸四郎と染五郎は親子なのですが、若々しく瑞々しい太郎冠者がお父さん。ちょっと落ち着いた風貌の大名が息子。とても親子には見えませんが、そんなところも見どころの一つですね。
染五郎くん、最後まで太郎冠者の挑発に負けず乗らず、けがせず頑張ってください♪
上演時間は、12:55-1:26
幕見で見るにも最適ですね。
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