【人事が解説】内定者インターンに参加するメリットを企業・学生視点で紹介 – MyturnMagazine (original) (raw)

本選考に合格した学生限定で実施される内定者インターン。

「先輩が内定者インターンに参加していたが、実際どんなものなのかわからない」 「内定者インターンに参加するべきなの?」
こうしたお悩みを持つ就活生の方も多いのではないでしょうか?

この記事では、内定者インターンのメリットやデメリット、注意点などを解説します。「内定者インターンには参加するべきなの?」といった疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

内定者インターンとは

内定者インターンとは、内定先の会社で長期インターンに参加することです。

実施形態は企業によってさまざまですが、多くの場合は内定式の後、つまり入社前年度の10月以降に実施されます。入社するからといって参加が必須なわけではなく、希望者限定で開催されることがほとんどです。

内定者インターンの募集形態には、主に以下の2パターンがあります。

内定承諾者限定で実施される場合は、入社後にいち早く会社へ馴染んでもらうことを目的としています。社員との交流はもちろん、実務に近い仕事を任されるケースもあるでしょう。内定を承諾していなくても参加できる場合は、内定者のフォローを目的としているケースがほとんどです。

内定者インターンでどのような職務を任されるかは会社によってまちまちなので、参加を検討している場合は人事担当者などへ問い合わせてみましょう。

【企業側】内定者インターンのメリット

内定者インターンの概要について解説しましたが、そもそもどうして企業は内定者を対象にわざわざインターンを実施するのでしょうか。

内定者インターンを実施すると、企業側にとって以下のようなメリットがあります。

  1. 内定後の辞退率を下げられる
  2. インターンをした学生は入社後に馴染みやすい
  3. 学生の適性を把握して配属に生かせる

ここからは、内定者インターンを実施する企業側のメリットについて見ていきましょう。

①内定後の辞退率を下げられる

内定者インターンを実施する企業側のメリットとして、内定後の辞退率を下げられるという点が挙げられます。

内定者インターンを実施すれば、企業のリアルな情報を学生へ伝えることができるでしょう。内定者インターンを通じて「楽しそうな企業だな」「自分と合う社風だな」と感じてもらえれば、入社してもらえる可能性が高まるのです。

また、就職活動を行う学生の中には、複数の企業から内定をもらっている人もいます。こうした優秀な学生は、入社する企業を選ぶ際に「社内の雰囲気や風土」「社員の人柄」などを基準とすることも少なくありません。内定者インターンでは、会社の風土や人柄なども学生へ伝えられるため、優秀な学生を囲い込む機会にもなります。

②インターンをした学生は入社後に馴染みやすい

内定者インターンを実施するメリットとして、入社後にいち早く会社へ馴染んでもらえるという点も挙げられます。

内定インターンでは、学生と社員が交流したり、学生同士の交流を促したりすることができます。内定者インターン期間に周囲との関係構築が進めば、入社後もスムーズに仕事へ取り組めるようになるでしょう。

また、採用活動を行う際、企業はどうしても「自分たちの良い面」ばかりを伝えてしまうものです。

しかし、企業の良いイメージだけを伝えていると、新入社員は入社後に「思っていたのと違った⋯⋯」といったギャップを抱きかねません。内定者インターンを経験した学生は企業のリアルを知っているため、こうしたギャップを抱きづらく、すぐに組織へ馴染むでしょう。

③学生の適性を把握して配属に生かせる

内定者インターン期間を通じて学生の適性を把握すれば、入社後の配属を決める際の参考となります。

いわゆる「Z世代」とも呼ばれる最近の新入社員は、「配属ガチャ」という言葉を非常に気にしています。入社後に「想定していた仕事内容と違う」「自分の能力にあっていないのではないか」といったミスマッチが起これば、早期離職を招きかねません。

こうした配属ミスマッチを防ぐためには、学生一人ひとりの希望や能力、性格などを企業側がしっかり把握することが大切です。内定者インターン期間で学生の適性や性格を把握することで、入社後の配属ミスマッチを極力減らすことができます。

【学生側】内定者インターンのメリット

ここまで内定者インターンを実施する会社側のメリットを解説しましたが、内定者インターンは参加する学生側にもさまざまなメリットがあります。代表的なメリットは、以下の3つです。

  1. 入社前に上司や同僚と関係性を作れる
  2. 確実に採用される長期インターン
  3. 同期よりもひと足先に仕事を覚えられる

ここからは、内定者インターンに参加する学生側のメリットを解説します。

①入社前に上司や同僚と関係性を作れる

内定者インターンへ参加することで、入社前に上司や同僚と関係構築を進めることができます。

内定者インターンで実際に業務へ取り組めば、周囲の社員との関わりは自然と増えるでしょう。仕事を教えてもらう中で上司や先輩社員とコミュニケーションを取れば、周囲よりもひと足早く仲良くなれるかもしれません。

また、内定者インターンに参加することで、参加者同士の絆も深まります。実際、筆者の周囲では「内定者インターンに参加した人たちは、入社後も特別な関係になる」と口にしている人も少なくありません。インターンの参加者同士で仲良くなっておくことで、入社後に困ったことがあっても助けあいながら乗り越えることができますよ。

②確実に採用される長期インターン

内定者インターンは、採用が約束されている長期インターンと捉えることもできます。

ほとんどの長期インターンは、半年以上の参加が求められます。例えば「4年生の内定後から長期インターンに参加したいな」と思っても、4年生の10月〜2月前後と参加期間がかなり限定的になるため、受けつけていない企業がほとんどです。

しかし、内定者インターンは基本的に誰でも参加できます。内定後からインターンを始めたいと考えている場合には、学生の間に社会経験を身につける大きなチャンスです。

③同期よりもひと足先に仕事を覚えられる

内定者インターンに参加すれば、同期よりもひと足早く仕事を覚えることができます。

内定者インターンの内容は企業によってさまざまですが、中にはほとんど実務に近い内容を任せる企業も存在します。内定者期間に実際の業務へ取り組んでおけば、入社後に活躍するためのスキルを他の同期よりも早く伸ばすことができるでしょう。

内定者インターンを通じて早めに経験を積んでおけば、入社後に同期から頼られやすくなりますし、入社後に大きな仕事を任されるチャンスも増えます。「入社するからには活躍したい」「本気で仕事に取り組みたい」と考えている方は、内定者インターンに参加しない手はありません。

【学生側】内定者インターンのデメリット

内定者インターンには多くのデメリットがありますが、反面いくつかのデメリットが存在することも事実 です。内定者インターンに参加する学生側のデメリットとしては、例えば以下のようなものが考えられます。

  1. 万が一のケースでも辞退しづらくなる
  2. バイトよりは稼げないケースも

内定者インターンへ参加する学生側のデメリットについて確認していきましょう。

①万が一のケースでも辞退しづらくなる

内定者インターンへ参加する1つめのデメリットは、万が一のケースでも辞退しづらくなる 点です。

例えば内定者インターンに参加したあとで、「他に内定をもらっているA社の方が雰囲気が合っていそうだった⋯⋯」と気づくこともあるでしょう。また、万が一社員の雰囲気が悪かったり、残業が必要以上に多かったりすれば、内定を辞退したくなるのも無理はありません。

しかし、内定者インターンに参加していると、入社を辞退しづらくなります。「会社の雰囲気が微妙だったけど、あの人にはお世話になったしな」という思いで入社してしまうと、ミスマッチにつながりかねません。

②バイトよりは稼げないケースも

内定者インターンへ参加するデメリットの2つめは、バイトより稼げないケースがあるという点です。

1つのアルバイトを長く続けている場合、大学3年生や4年生の頃には時給がアップしていることもあるでしょう。例えば時給が1300円や1400円程度のアルバイトをしていると、インターンの方が給与が低いことも珍しくありません。

「お金を稼ぎたい」という気持ちがある場合には、内定者インターンへ参加するかどうかをよく検討する必要があります。大学の授業などスケジュールに余裕があれば、インターンとアルバイトを並行することもできますよ。

内定者インターンは絶対に参加すべき?

内定者インターンのメリットやデメリットを解説しましたが、結局のところ内定者インターンには参加するべきなのでしょうか?

結論から言うと、特別参加したいという気持ちがなければ、内定者インターンには参加しなくても問題ありません。前述した通り、確かに内定者インターンにはさまざまなメリットがあります。先輩社員といち早くコミュニケーションを取れますし、インターン期間を通じて仕事をいち早く覚えることもできるでしょう。

しかし、内定者インターンへ参加せずとも活躍している社員が多いのも事実です。当然、内定者インターンに参加していた人の方が入社時点では周囲へ馴染んでいるでしょうが、すぐにその差は気にならなくなります。仕事のスキルに関しても、入社後にしっかりとした研修や用意されていたり、OJTのプログラムが組まれていたりすることがほとんどです。

内定後の期間を有効活用する一つの選択肢として内定者インターンは有効ですが、「インターン以外にやりたいことがある」「学生のうちにしかできないことをやりたい」という気持ちがあるのであれば、無理にインターンを優先する必要はありませんよ。

【企業側】内定者インターン実施の際の注意点3つ

内定者インターンを実施する場合、企業側はどういった点に気をつければよいのでしょうか。

内定者インターンを実施する企業側の注意点は、主に以下の3つです。

内定者インターンを実施する際に気を付けておきたい注意点を、企業側の視点から3つ解説します。

①必要なコストを見積もっておく

内定者インターンを実施する際の注意点として、必要なコストを見積もっておくという点が挙げられます。

内定者インターンを実施するためには、インターン期間中に学生へ仕事を教える担当社員が必要です。内定者インターンを実施する期間は翌年の新卒採用が動き出す時期でもあるため、人事部は多忙なことも多いでしょう。最低限、「誰が内定者インターンの参加者に仕事を教えるのか」「インターン参加者の問い合わせ担当は誰か」程度は決めておく必要があります。

また、インターンの参加者は、内定者とはいえまだ学生の身分です。社会人に比べると、まだまだ集中力が足りなかったり、受け身だったりする可能性もあります。インターン期間中の教育コストも、余裕を持って見積もっておくことが大切です。

②コンプライアンスに注意する

内定者インターンを実施する際には、コンプライアンスに注意しましょう。

最近では、SNSを通じてさまざまな情報が瞬時に拡散されてしまいます。万が一インターンの参加者が重要な情報をSNSへアップロードしてしまった場合、会社へ重大な損害を招きかねません。場合によっては、内定者インターンを続けることが不可能となってしまうこともあります。

内定者インターンに参加する若い世代は、SNSに関連したトラブルが目立ちます。インターン参加前にコンプライアンス研修を受講してもらうなど、コンプライアンスに対する意識の醸成を行ってください。

③参加できない学生へのフォローを忘れない

内定者インターンへ参加できない学生にも、しっかりとしたフォローが必要です。

内定者インターンを実施すると、参加者の間にどうしても「内輪」のような雰囲気が形成されてしまいます。参加者同士の絆が深まるのはメリットですが、それと同時に参加できない人のモチベーションが低下してしまっては元も子もありません。

内定者の中には、「インターンへ参加したいが、卒業論文で忙しい」「スケジュールがどうしても合わない」など、さまざまな理由でインターンへ参加できない学生がいます。内定者インターンを実施する際には、オンラインで交流会を実施する、インターンとは別にオフィス見学の機会を設けるなど、参加できない学生に対するフォローも忘れないようにしましょう。