元祖VS本店 (original) (raw)
飲食店における元祖VS本店や本家VS本店、支店VS本店、分店VS本店というのは、どの街にもある。
いちばん最初に作り上げたのは元祖で、それ以外は皆、二番目や三番目。だから、元祖以外は認めない。そんな風に考える人もいる。
しかし、元祖とて看板(ブランド)に胡座をかいていると、二番目や三番目の店に足元をすくわれる。元祖だからといって安泰ではないのだ。元祖の店として繁盛しているのは、創業者や先代から受け継いだ看板を守るためにたゆまぬ努力をしている証なのである。
二番目や三番目も「元祖の真似をしている」という誹りがついてまわる。たとえ10年、20年経っていたとしても言う人は言う。ある意味、宿命でもある。
しかし、飲食店を10年、20年と続けるのは、並大抵の努力ではない。真似だけで続くわけがない。血の滲むような努力をしてきたから長く続いているのだ。
私自身、元祖だろうが、二番目、三番目だろうが、順番はどうでもよいと思っている。肝心なのは、味であるのは言うまでもなく、サービスや店の雰囲気なのだから。
むしろ、新参店は人気店の味やサービスをどんどん採り入れればよいとさえ思っている。ライバルが増えれば増えるほど、全体的にレベルが上がるからだ。
例えば、このブログでたまに紹介する汁なし担々麺。名古屋では約20年前に『想吃担担面』が提供した。以来、汁なし担々麺を出す店が増えていった。
私は仕事柄、他の地方へ行く機会があるが、名古屋ほど汁なし担々麺の店が多い地方はない。あ、広島も多いけどね。広島の汁なし担々麺はシビ辛系なので名古屋のそれとはタイプが少し違うけど。
『想吃担担面』は「元祖」としての強みがあるが、決してそれに胡座をかいていない。他店もまた個性的な汁なし担々麺を提供して、『想吃担担面』に追いつき、追い越すよう切磋琢磨している。それでよいのだ。どこに問題があるというのか。
元祖だの、二番手だの順番にこだわる意味が私にはさっぱりわからない。