脳梗塞後の世界で生きる日記 (original) (raw)
誤差
山梨県の小さな田舎町で育った。山は空を小さく切り取り、まんが日本昔話のごとく、先祖代々人々が畑を持ち、この土地で慎ましく生活を送っていた。
その中に一人、特別な才能を持つ少年がいた。彼の名前は昇平。数学の神童と呼ばれ、彼の頭の中には常に数式が踊っていた。
翔太は幼い頃から数字に魅了されていた。彼の父親は地元の高校で数学の教師をしており、翔太は父親の影響を強く受けていた。彼は数式を解くことに喜びを見出し、次第にその才能は周囲にも認められるようになった。
中学生になると、昇平の才能はさらに開花した。彼は全国の数学コンテストで優勝し、地元の英雄となった。しかし、その成功は彼に孤独をもたらした。友達は彼の才能に尊敬・嫉妬し、次第に距離を置くようになった。
高校生になった翔太は、さらに高みを目指していた。しかし、彼は大きな挫折を経験する。全国大会での敗北である。次々に現れる新しいライバル達に、彼は自分の限界を感じ、生きることへの情熱を失いかけた。しかし、そんな彼を支えたのは、父親の言葉だった。
「昇平、人生は何事も平均へ回帰する。成功も失敗も、すべては一時的なものだ。大切なのは、その中で自分を見失わなず、成長していくことだ。」
父親の言葉に励まされた翔太は、再び立ち上がった。彼は数学だけでなく、他の分野にも興味を持つようになった。音楽、文学、スポーツ。彼は多くのことに挑戦し、その中で新たな楽しみと自分を見つけていった。
昇平は社会人となり、数学の研究を続けながらも、多くの友人と共に充実した日々を送っていた。彼は父親の言葉を胸に、どんな困難にも立ち向かうことができるようになった。
「平均への回帰」
良いことも悪いことも長くは続かず、真の平均に回帰する。それは、昇平にとって人生の指針となった言葉だった。
https://illustkirun.blogspot.com/2019/02/blog-post_42.html
はじめに
地球温暖化と言われて久しく、ここ最近は観測史上最高気温、熱中症アラートなどが連日出されていて、暑さを嫌でも実感せざる得ない日々である。
都市部のヒートアイランド現象により、ここ数十年で夜間の気温は昼間の気温よりも急速に上昇している。夜間の暑熱曝露の増加は、睡眠や体温調節などを妨げて健康に重大なリスクをもたらす可能性があるが、脳卒中リスクに及ぼす影響を調査した研究はない。ドイツにおける夜間の暑熱曝露と脳卒中リスクとの関連性を調査し、15年間にわたる時間的変動を調べた。
方法
対象は2006年1月1日~2020年8月31日にアウクスブルク大学病院神経科に入院した脳卒中患者2万2,284例。寒い季節に室内暖房によって引き起こされる大幅な温度差を避けるために、5~10月に発生した脳卒中症例に限定して解析を行った。平均気温、相対湿度、気圧などの1時間ごとの気象データは地元の気象観測所から取得。分布ラグ非線形モデルを用いた時間層別ケースクロスオーバー解析によって、日中の最高気温やその他の気候変数を調整したうえで、高温夜間過剰(hot night excess[HNE])指数で測定した極端な夜間の暑さ(extreme nighttime heat:HNEの97.5パーセンタイル)に関連する脳卒中リスクを推定した。なお、本研究において、「夜間」は前日の夜の始まりから当日朝の夜の終わりまで。
結果
・2006~20年の5~10月に脳卒中のために入院した1万1,037例(平均年齢:71.3歳)を解析に含めた。2006~12年は5,343例、2013~20年は5,694例であった。
・2006~12年から2013~20年にかけて平均気温は0.3度上昇し、最高気温は0.7度上昇した。極端な夜間の暑さの日は79日から82日に増加した。
・調査期間全体では、極端な夜間の暑さの日に脳卒中リスクが有意に増加していた。オッズ比(OR)は1.14(95%信頼区間[CI]:1.01~1.32)であった。
・期間別では、2006~12年は夜間の極端な暑さの影響はみられなかったが(OR:0.99[95%CI:0.91~1.08])、2013~20年は有意な影響がみられた(OR:1.33[95%CI:1.18~1.50])。
・2006~12年では、夜間の極端な暑さは年間2例の脳卒中の過剰発生に関連していたが、2013~20年では33例の過剰発生と関連していた。
・高齢者、女性、軽度の脳卒中患者では、脳卒中リスクが顕著に増大していた。
考察
昼間の最高気温を考慮しても、夜間の暑熱曝露が脳卒中リスクの上昇と関連していてる可能性がある。夜間の暑熱曝露が脳卒中イベントに及ぼす影響を軽減するための予防措置が必要であり、特にエアコンなどを使わない高齢者が多い日本では、本研究に基づく知見の周知が必要と考えられる。
原著論文:He C, et al. Eur Heart J. 2024;45:2158-2166.
1.はじめに
アルミニウム(AI)は今までのところ必須性が証明されていない重金属であり、生体には有害元素である。生体内のAIは極めて低く調整されていて、経口的に摂取されたAlは消化管から摂取量の1%程度が吸収されて、血液、骨、肝、腎、脳、肺をはじめ広く分布する。
Alには神経毒があり、ALSやアルツハイマー病において大脳灰白質にAlが多く蓄積されていることが報告されている。
神経細胞は基本的には分裂しないため代謝回転が遅く、血液中の物質の影響を受けやすい。そのため、有害物質を脳に移行させないために血液脳関門が設けられている。し
かしながら、血液脳関門も完璧なバリアーではないため、水銀(Hg)、アルミニウム(Al)のような毒性金属元素が侵入した場合には、過剰蓄積による悪影響が発現しやすい。また、神経信号はNa+、K+のバランスによって生じる活動電位として伝搬され、シナプスにおいて化学物質(神経伝達物質)の種類や量に変換された後、Ca2+をセカンドメッセンジャーとして伝えられる。したがって、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マンガン(Mn)などの脳内金属(ニューロメタル)は、この経路に影響し得る。
参考文献:最新臨床検査のABC 日本医師会雑誌
川原正博、水野 大 Biomedical Research on Trace Elements 26 (1): 10–22, 2015
2.実験動物モデル
ウサギを含むいくつかの動物種において、脳実質または脳脊髄液内に直接Al塩を注射すると、大脳皮質及び脊髄の神経細胞にアルツハイマー病でみられる神経原線維変化に類似した変性を実験的に作り出すことができる。
また、腎不全患者における透析痴呆患者の脳には、細胞外アミロイド線維がばらばらに集合した状態の未熟な老人斑が認められる場合がある。
実験動物にてALS類似症状を再現した報告は数例あるものの、Alだけでは再現性はない。
その後の報告では、毒性学的にはAlがアルツハイマー型認知症の原因であることを支持するデータはほとんどなく、現在少なくともAlがアルツハイマー型認知症の単一の原因であるとは考えられていない。
https://info.ninchisho.net/archives/29435
※ 腎不全患者での透析痴呆
透析液、腸管からリン吸収を防ぐアルミニウム製剤などによるアルミニウムの脳への蓄積によるとされる
3.ヒトでのアルミニウムの代謝
アルミニウム化合物を用いた浄水や、アルミニウム調理具ないしアルミニウム缶製品からどのくらい遊離し経口摂取されるかについては、古いデータでは、最高50-135㎎/日というデータがある。
正常人での多くの報告では、Alの吸収率は0.5-2%とされ、大部分は尿中に排泄される。ただし、腎排泄能にも限界があり、一時的に大量のアルミニウムが血管内に直接注入された場合(多くは医療行為)、肝臓や骨など体内への蓄積が生じることが報告されている。
血清中のAl含有量は、体内の主なアルミニウムの貯蔵臓器である骨のアルミニウム含有量とは相関しないし、毛髪中含有量とも相関しない。
化学物質の慢性中毒で考えると、ウサギの血液からの半減期は約2時間と速く、脳の生物学的半減期は4.2日、全身では1.85日であり、かなり短く、体内への蓄積は生じにくい。
参考:R.Irene, et al. A.M.A. Arch. Industr. Health, 15(1957),359.
和田攻ら 軽金属 1986, 314-324.
4.ALSとアルミニウム
Al濃度が高く、CaやMg濃度が低い水を飲料水として用いているグアム島の住民Chamorroにおいて、ALSと痴呆を伴うパーキンソン症候群の発症頻度が高い。
これらの患者の脳においては、神経原線維変化の生じた神経細胞中にAlが選択的に蓄積している。その上で、ALS患者では広範な神経原線維変化の他に古典的な運動神経細胞の退行性変化が見られ、パーキンソン患者では、広範な神経原線維変化の他に黒質の着色した神経細胞が消失している。
大雑把に言うと ALS+アルツハイマーの特徴
パーキンソン+アルツハイマーの特徴 を持っている。
参考:森田茂 生活衛生 1990, 34,199-207.
5.コンフォメーション病という新概念
神経変性疾患では、シナプスの異常および神経細胞の脱落に加えて、疾患関連タンパク質(それぞれβアミロイドタンパク質、プリオンタンパク質、αシヌクレイン)の異常蓄積が特徴的に観察される。これらの疾患関連タンパク質(アミロイド形成タンパク質)には一次構造上の相同性は存在しないにもかかわらず、いずれも βシート構造を持つ難溶性のアミロイド細繊維構造をとりやすく、神経毒性を持つという共通点を持つことから、タンパク質のコンフォメーション変化による異常蓄積と神経細胞死が発症の原因ではないかという“コンフォメーション病 ”という概念が提唱されている。
タンパク質のコンフォメーション変化に影響する因子として、環境中の微量金属は重要なはたらきを持つ。
1993年、Exleyらは、CDスペクトル解析を用いてAlがAβPのコンフォメーション変化を引き起こすことを初めて報告した。
フランスにおいて15年間にわたって行われた飲料水中のAlに関する疫学調査の結果、Al
濃度が高い地域ではアルツハイマー病になりやすく、Alと結合して不溶化させるSi濃度が高い場合にはなりにくいことが報告されている。このような結果を考慮して、Joint Food and Agriculture Organization/World Health Organization Expert Committee on
Food Additives(JECFA)はAlの摂取基準の見直しを図り、AlのPTWI(暫定週間耐用摂取量)を1989年に策定された7 mg /体重kgから2006年には1mg/kgへと変更し、2011年には2mg/kgに変更した。
6.考察
AlはALSをはじめとした神経変性疾患の直接的な原因ではなさそうであるが、疫学的な研究からはそのリスク因子であると考えられる。一度体内に取り込まれ、臓器に蓄積したAlは排泄が難しい様相であり、できるだけ体内に入れないことが望ましいと考えられる。
スポーツで体を動かすとストレスが発散されることは多くの人が実体験を通してなんとなくは理解していると思います。しかし、スポーツをテレビで見ることでストレスが発散されると思う人はそれほど多くはないのではないでしょうか。
今回、日本人高齢者を対象とする研究からスポーツをテレビでみることでもうつ傾向が解消されるかもしれないという報告があったのでご紹介します。
はじめに
スタジアムなどでスポーツを観戦する高齢者は、主観的幸福感が高い可能性が報告されている。ただし、これまで行われてきた研究は調査対象者数が少なく、またテレビでの観戦の影響はほとんど検討されていない。テレビの視聴はむしろ身体の健康に良くないとされることが多く、視聴時間を減らす啓発活動もなされている。
方法
日本老年学的評価研究(JAGES)のデータを横断的に解析した。JAGESは、全国60以上の市町村が共同で行っている高齢者(65歳以上)を対象とする研究で、登録者数は約20万人。その中からスポーツ観戦に関する質問に回答していた2万1,317人(男性1万324人、女性1万993人)のデータを用いた。
スポーツ観戦の頻度は、週に1回以上、月に1~3回、年に数回、観戦しない、という4つに分類した。また観戦手段は、スタジアムや体育館などの現地での観戦と、テレビやネットでの観戦とに分類した。観戦の対象はプロレベルのスポーツに限定せず、地元のスポーツクラブの試合なども含めた。
うつレベルは、高齢者のうつ症状のスクリーニングに用いられる「Geriatric Depression Scale;GDS」で評価した。これは15点満点で、点数が高いほどうつ傾向が強いと判断される。今回の検討では、5点以上を「うつ傾向あり」と定義したところ、21.4%がそれに該当した。
結果
テレビやネットでスポーツ観戦をしない人に比べて観戦頻度が
年に数回の人は「うつ傾向あり」の有病率(PR)は0.92(95%信頼区間0.86~0.98)
月に1~3回の人はPR0.89(同0.83~0.96)
週に1回以上の人はPR0.83(同0.77~0.88)だった。
また、現地で観戦しない人に比べて
年に数回観戦する人はPR0.80(0.74~0.85)
月に1~3回ではPR0.79(同0.64~0.97)
と、「うつ傾向あり」の該当者が有意に少なかった。
※自分自身が週に1回以上スポーツに参加しているか否かで分けた場合、参加頻度が週1回以上の人の方が、スポーツ観戦とPRの低さとの関連が強い傾向があった。
※スポーツ観戦をする人はしない人に比べて地域社会とのつながりや友人とのネットワークが充実していることが明らかになった。媒介分析の結果、スポーツ観戦とうつリスクの低さの関連の9.6~23.7%を、地域社会とのつながりや友人とのネットワークの強さで説明できることが分かった。
まとめ
・スポーツを観戦する高齢者は観戦しない人に比べ、うつリスクが低い
・テレビやネットでの観戦頻度では用量反応関係が認められた
・テレビ視聴は健康への害が強調されがちだが、うつとの関連では異なる側面を持つ可能性がある
・スポーツを“見る”ことは“する”よりもはるかに容易だ。観戦クーポン券を高齢者に配布したりテレビやネットの中継を充実させることが、高齢者うつの予防戦略になり得る可能性がある
原著論文:Tsuji T, et al. Sci Rep. 2021 May 19 [Epub ahead of print]
脳卒中の予後を決める因子には、年齢や病型、栄養状態などいくつかの因子が指摘されています。今回は、「体重」が大切であるという研究を紹介します。
neural network with Zn
はじめに
身長、体重から計算するボディマス指数(BMI)の高い人は、そうでない人に比べ、生活習慣病や心血管病の発症リスクが高い一方で、心血管病発症後の機能回復はむしろ良好であることが報告されています。
脳卒中でも、肥満は発症リスク因子となりますが、脳卒中発症後の転帰に関する研究結果は一貫していないことから、国立循環器病研究センターの研究グループは、BMIが脳卒中後の転帰に影響があるか検証を行いました。
方法
研究グループは、2006年1月~22年12月まで日本脳卒中データバンク(JSDB)に登録された急性期脳卒中例のうち入院時BMIが入力された症例を対象とした。BMIはWHO推奨のアジア人における定義に基づき、18.5未満を低体重、18.5~23.0未満を正常体重、23.0~25.0未満を過体重、25.0~30.0未満をI度肥満、30以上をII度肥満と分類した。脳卒中は、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血に分類し、さらに脳梗塞病型はTOAST分類を用いて、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他の脳梗塞、原因不明脳梗塞に分類した。
評価項目である退院時の転帰(患者自立度)は、国際標準尺度である修正ランキンスケール(0[後遺障害なし]~6[死亡]の7段階の評価法)を用い、同尺度の5~6を転帰不良、0~2を転帰良好と定義した。これらを共変量で調整した後、混合効果ロジスティック回帰分析を行った。
結果
・急性期の脳卒中5万6,230例のうち、脳梗塞(4万3,668例、平均年齢74±12歳、男性61%)、脳出血(9,741例、平均年齢69±14歳、男性56%)、クモ膜下出血(2,821例、平均年齢63±15歳、男性33%)であった。
・BMI18.5未満(低体重)は、脳梗塞と各病型(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞)や脳出血における転帰不良のリスクを約1.4~2.3倍に高めた。
・アテローム血栓性脳梗塞では、BMIと転帰不良にU字型の関連を認め、低体重と肥満はいずれも、転帰不良のリスクを高めた。
・低体重は、とくに重症の脳梗塞や再灌流療法後における転帰不良と関連した。
・BMI23.0~25.0(過体重)や80歳以上の高齢者におけるBMI25.0~30.0(I度肥満)のグループは、脳梗塞後の転帰不良リスクが9~17%低下し、“obesity paradox”を認めた。
結論
BMIが脳卒中病型ごとの転帰に影響を及ぼすことが判明し、とくにBMIが低い人では不良となる
引用:日本人脳卒中患者では、低体重(BMI18.5未満)は転帰不良に関連し、過体重(BMI23~25)は、転帰良好に関連することを解明(国立循環器病研究センター 2024年5月7日リリース) Miwa K, et al. Int J Stroke. 2024 May 6. [Epub ahead of print]
私は亜鉛をお守りとして服用しています。新型コロナウイルスやインフルエンザ感染症を念頭に置いていましたが、普通の風邪に対してはどうなのでしょうか。
neural net work with Zn
風邪の予防や症状持続期間の短縮に関して、確立された方法はいまだ存在しません。風の特効薬ができたらノーベル賞といわれている程です。
システマティック・レビューおよびメタ解析という医学的エビデンスの高い方法により、風邪症候群の予防や症状改善に関する亜鉛の効果が検討されましたので紹介します。
まず結論
・亜鉛には風邪症候群の予防効果はないことが示唆された
・症状持続期間を短縮する可能性が示された
方法
風邪症候群や上気道感染の予防または症状改善に関する亜鉛の効果をプラセボと比較した無作為化比較試験を検索した。検索には、CENTRAL、MEDLINE、Embase、CINAHL、LILACSを用い、2023年5月22日までに登録された試験を抽出した。また、Web of Science Core Collectionや臨床試験登録システムへ2023年6月14日までに登録された試験も検索した。エビデンスの確実性はGRADEを用いて評価した。
34試験(予防:15試験、治療:19試験)に参加した8,526例が対象となった。22試験が成人を対象としたもので、12試験が小児を対象としたものであった。
結果
風邪予防目的で亜鉛を使用
・風邪症候群の発症リスクは、プラセボと比較して同等
リスク比[RR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.85~1.01、I2=20%、9試験[1,449例]
・風邪症候群を発症した場合、症状持続期間はプラセボと比較してほとんどまたはまったく短縮しない
平均群間差:-0.63日、95%CI:-1.29~0.04、I2=77%、3試験[740例]
風邪治療目的での使用
・風邪症候群の症状持続期間は、プラセボと比較して短縮する可能性がある
平均群間差:-2.37日、95%CI:-4.21~-0.53、I2=97%、8試験[972例]
そして考察
風邪の特効薬がない以上、何かしらの対応をしたい人には亜鉛はお守りによいかもしれません。
引用:Nault D, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2024;5:CD014914.
一人暮らしの大学生活。授業以外は、図書館に通って本を読んだ。
その一部は心理学関係だった。
人付き合いが苦手で、人の気持ちがもっと知りたい。
もっと人とうまくやりたい。そんな時期に読んだ本のメモです。
原書は amazon で検索してもヒットしませんでした。
本書のテーマであるインヴァリデーターとは
- 相手を嫌な気持ちにさせる人
- 相手を傷つける人
- 相手をけなす人
- 相手をおとしめる人
- 相手の心を破壊する人
- 相手の自尊心を攻撃する人
- 相手をさげすむ人
- 相手を陥れる策略家
- 相手をいじめる人
“嫌がらせ”は、現代社会ではあらゆる組織や場面で見られる行為だが、他人を利用したりコントロールしようという目的で、これを意図的に行っている人の数は全体の約1パーセントに過ぎない。残りの99%のうち20%は自己防衛のために自分でも気がつかないうちにこれを行っている。それ以外の人たちは全く無意識のうちに、あえて意図することもなく時々やってしまう程度だろう。
あなたを支配する“嫌なやつ”とは?
- イヤな奴は『コントロール・フリーク』だ
“イヤな奴”と本当の友人との違いは、ネガティブなコメントをした後の態度の違いに表れる。本当の友人なら、あなたに対してネガティブな意見を言った後、あなたにそれを考える余裕を与えてくれるものだ。しかし、イヤな奴は、あなたの欠点をとにかく洗いざらい並べ立てて、徹底して糾弾を続ける。
イヤな奴は相手をコントロールしてしまうためならどんなことでも実行する。自分が誰かをコントロールしていないと極度の不安にさいなまれることになるからだ。
彼の声には抗し難い魔力があり、彼の論理にはー(その論理の前提が間違っていなければの話だが)ー誰も反論できなかった。
インヴァリデーターが利用しているテクニック
- 不安の刷り込み
- 感情のすり替え
- 一般化
- 独善的な判断
- マニピュレーション(心理操作)
- スニーク・アタック(不意打ちの攻撃)
- ダブル・メッセージ(二重の意味を含むメッセージ)
- 話しの遮断
- ほめ殺し
- ダブル・バインド(板ばさみの罠)
1.不安の刷り込み
これは常にあなたをどっちつかずの不安な状況においておくこと。例えば相手があなたの質問に正面から答えず、はっきりとした態度をとってくれない場合などがこれにはてはまる。
2.感情のすり替え
『感情のすり替え』とは、自分が抱いている感情の責任を他人になすりつけること。自分がこう感じているのは、誰か他の人間に原因がある、というわけだ。自分が感じているネガティブな感情や自分の不正な行為を、他人の責任にしようとする人間は、実は自分自身がその考え方や言葉、感情の元凶になっているのである。あなたがやってもいないことを理由に非難を受けたとしたら、その非難はそれを口にしたまさに本人の実情をあらわにしているのだ。
3.一般化
“イヤな奴”たちが使う“一般化”のテクニックにも気をつけたい。これは、取るに足らないようなことを、まるで世界で最も重要なことであるかのように大げさに表現すること。
彼女は問題解決に当たるのではなく、あなたの自尊心に攻撃を仕掛けてくる。
4.独善的な判断
『あなたは無責任だ』と言い放つ人間は、あなたに対して独善的とも言える判断を下している。しかも、その言葉には「みんなあなたのことを無責任な人だと思っているのは、明らかでしょう?」という言外の意味まで含まれている。
5.マニピュレーション(心理操作)
ここでいう“心理操作”とは悪意を持って他人をコントロールすること。
イヤな奴たちはいつものやり方でうまくいかなくなると、狡猾で陰湿なやり方で攻撃し始める。必要なのは唯一つ、自分が勝つこと、支配権を手に入れること。それはいわば強迫観念のようなものなのだ。
6.スニーク・アタック(不意打ちの攻撃)
『君の機嫌を損ねたいわけではないのだが・・』
こういう言葉を耳にしたら要注意。相手はまさにあなたの機嫌を損ねたいのだから。
『じゃまをするわけではないのだが・・』
『こんなことを言って、侮辱にならないといいのですが・・』
もちろん、これは侮辱以外のなにものでもない。
7.ダブル・メッセージ(二重の意味を含むメッセージ)
一つのメッセージに表面的な意味のほかに、裏側に本当の意味が隠されている場合がある。
『調子はどう』
言葉だけ見れば、ごく自然な会話の切り出し方だろう。だが、このときの相手は、ノドから絞り出すような声で、あなたへの不快感をあらわにしている。仮にあなたが、「うるさいんだよ、ジャック」と言い返したとしたら、ジャックはおそらく周囲の人たちに、「今日の彼は期限が悪いようだ」とでも言いふらすことだろう。
ジャックが本当に言わんとしていたことが、「お前はまったく最悪な人間なんだよな」であったことは明らかだ。それなのに、彼はあなたを思いやるようなふりをしている。
受動攻撃性人格・・すねたり強情をはったりしながら、受身の姿勢をとりつつ実は他者への攻撃を仕掛ける人格
こうした人間は自分では一切責任を取るつもりもない。自分が直接問題に関わるのを避けつつ、あなたと第三者の間にトラブルを誘発して喜んでいる。
なぜそんなことをするのか?それはその人の内面には、自分の存在があまりにも小さいため、それをひるがえすべく、自分の力で外の世界に何らかの影響を与えずにはいられないという精神構造がある。
いくら楽しいことでも、その行為に関して自分が責任を取らなければならなくなった時点で、それはもうおもしろい遊びではなくなってしまう。つまり、“イヤな奴”たちにも自分の言葉や行為の責任を負うように仕向ければいい。
8.話しの遮断
会話の際に、相手の言葉を途中でさえぎってしまうのも“イヤな奴”がよく使う手だ。
あなたに個人的な質問をしておきながら、あなたが答えようとすると、その途中で話を遮ってしまうパターンだ。そのためにあなたの頭の中には、言葉にできなかった様々な考えがごちゃごちゃになってたまってしまうだろう。
9.ほめ殺し
自分の内面をさらけ出して誰かに頼ってしまうのは避けておいた方がいい。
彼らのやり方は、まずあなたを内向的な考え方にさせて、外の世界のことへ関心が向かわないようにしてしまう。そしてあなたが自分自身の内面についての意識が過敏なまでに高まって、自分に不安を感じるようになった時点で、あなたの最も弱い部分にあなたの意識を向けさせようとする。そのためにあなたはさらに自分に対する自信を失い、相手のコントロールに対してますます従順になってしまう。あなたは自分自身のことには一切目を向けず、完全に相手に依存した状態になってしまう。
10.ダブル・バインド(板ばさみの罠)
“イヤな奴”が使う最も卑怯な手段がこれ。
彼らはあなたが何をしようがしまいが、間違っているのはあなただという状況を作り出す。
論理的な考え方だけではこの状況から抜け出すことは不可能だ。
セミナーに参加し積極的になり、自信を持ち始めた彼女に対し、夫はこれまでのコントロールを失いつつあった。そして彼は彼女にこんな究極の選択を迫った。
「あのしょうもないセミナーを選ぶか、俺との結婚生活を選ぶか、どちらかふたつにひとつだ」
イヤな奴が仕掛けてきた論理構造から一歩引いた位置で問題を眺めてみること。
- 内向的になるのを止めること
- 物事を個人的な問題として考えないこと
- 一歩引いて、全体の状況を眺めてみること
「どちらかなんて、私には選べないわ」(つまり、あなたのゲームには参加しません)
「私はセミナーに参加するわ。だからあなたが選んで頂戴。・・私たちの結婚をとるか、このセミナーに参加させることをとるのか」(ミラーリング)
嫌がらせの心理的・科学的な原因
インヴァリデーターたちの特徴のひとつとして、絶対に物事をより大きな視点で見ようとしないことが挙げられる。
自信の喪失・自己疑念
人間は誰でも、すでに子どもの頃から自分に対する疑いを持つようになる。
注意欠陥多動性障害ADHDを持つ子どもは、物事の大局的な状況を理解することができない。その場がどういう状況にあるのか、注意を向けることができないのだ。
実はADHDの子どもの3分の2の子どもたちは、多動性障害を引きずったままである。教師は指示通りに行動せず、周囲の迷惑になる場合には結局は先生が“イヤな奴”担って彼らを傷つけることになる。こうして子どもたちの心の中に自己疑念が芽生え、それがどんどん大きくなっていくのだ。
ナルシシズム(すべての物事は私に関連している)
他人に対して意識的に“嫌がらせ”をする人は、全員がナルシシストだ。
人間というものは、歳を重ねて知恵をつけていくにつれてナルシシズムを失っていくのが普通だ。だが、ごくわずかな例外を除けば、たとえどんなに頭脳が明晰な人物でもナルシシストの傾向はどこかに隠しもっているものなのだ。
ナルシシズムとはどんなことでも個人的な問題にして考えてしまうということでもある。要するに私が言いたいことはこれなのだ。
ADHDの子どもはなにもあなたをバカにしようとして不遜な行動に出ているわけではない。それなのになぜ「この子は私をバカにしている」などと考える必要があるだろうか?
“イヤな奴”に対処するすばらしい秘訣。すなわち、物事を自分個人への攻撃だと考えないことだ。実際、たいていの場合はそうではないのだから。
イヤな奴の見つけ方
誰かにうらやましがられたりおべっかを使われたりしたことは、あなたにも一度や二度はあるはずだ。そして同じ人が、次の機会にはあなたのことを見下すような態度で接してきて、驚かされたこともあるだろう。
こうしたタイプの人は、相手が自分以外の人のことを気にかけているときは自分からすりよってくるのだが、いったん相手が関心を自分に向け始めると途端に飽きてしまう傾向にある。こうしたタイプの“イヤな奴”にとっての愛情表現とは、単なる愛の表現ではなく自分のエゴを満たすことに他ならない。どんな人にもこうした傾向は幾分あるのだが、“イヤな奴”の場合にはその程度が尋常ではない。
イヤな奴を見つけるときに重要なのは、その人の近くにある一定の期間一緒にいたときに感じる、あなた自身のフィーリングだ。
イヤな奴に共通する傾向
- 強烈なエゴ
エゴが必要になるのは、自尊心が欠けているときだ
- 横柄で傲慢な態度
傲慢な態度をとるほとんどの人にかけているのは、自分に対する自信だ
- なにかと権利を主張する姿勢
権利を主張することで、人は自分が何も成し遂げていないこと隠すことができる
3つの対処法
- 相手にその行為を指摘する
- 自分の立場を崩さない
- 相手がその行為に目を向けようとしないときには、その人との人間関係を絶つ
自分にはまったく問題がない、完璧だ、と思い込むのは、他者から自分の身を守るためだ。 自己防衛のためには、どうしてもこの概念にしがみついている必要がある。そのため、何かの変化に対しては過剰なまでの拒否反応を示してしまうのだ。
冷酷なのは弱き者たちだけだ。
優しさを持っているのは、強き者たちだけなのだ。
― レオ・ブスカグリア
いじめっ子への上手な接し方
- その子を無理にでも好きになること
- 話しかけ、注意を向けていることをわかってもらう
- 無言で見つめる
- 相手にもう一度同じことを言わせる
- その場の状況をそのまま言葉にする
- 相手の言葉を逆手に取る
- ミラーリング