コミティア―マンガの未来のために今できること 第4回 マンガ家からの応援メッセージ (original) (raw)

新型コロナウイルスの影響により、存続の危機にある自主制作同人誌展示即売会・コミティアでは、現在イベント継続のためのクラウドファンディングを展開している。コミックナタリーでは、そんなコミティアが置かれている現状と抱えている問題、そしてコミティア存続のために何ができるのかをユーザーに伝えるべく本企画を連載中。第4回では、コミティアの存続を望むマンガ家たちの思いを届ける。

あらゐけいいち

あれもこれも創りたいという散漫な創作意欲をマンガに向かわせてくれた始まりの地です。
なかなかサークル参加できずにいますが、いつでも側にあります。
難しい局面ですが応援しております。
いつか必ず帰ります。

プロフィール

12月29日生まれ、群馬県出身。2006年に「カゼマチ」でデビュー。同年、月刊少年エース(KADOKAWA)にて「日常」を連載スタートさせる。現在はモーニング(講談社)にて「CITY」を連載中。

いけだたかし

マンガ家になるのに同人誌を経由しなかったので長くその界隈には縁のない自分でしたが10年ほど前ひょんなことからコミティアを覗いてみるようになり、人生初のサークル参加をしてみたりそこで本にした作品をもとに連載をしたりなど気付けばあって当たり前のものになっていました。
いちマンガ好きとして「コミティアっぽい」とまで言われる作品が輩出される程「場」として完成されたイベントでこれからもあり続けてほしいので何かお力添えができればと思います。とんではねろ先生の本もまだ出したいですし。

プロフィール

1992年に「山田の変身」でデビュー。代表作は「FADE OUT」「ささめきこと」「34歳無職さん」など。現在はcomicブーストにて「ふたりはだいたいこんなかんじ」を連載中。

板倉梓

賞レースに落ちて発表の場がなくなったマンガを、それでもせっかく描いたのだから一人でも多くの人に読んでもらいたいという思いで初めてコミティアに参加しました。
12年前です。
いまはSNSなど作品発表の場がたくさんありますが、コミティアに参加するときの、事前準備から当日閉会までのなんともいえない自分のテンションの上がりかた、そして島中でも閉会まで人の絶えない、みんなが面白い作品との出会いを求めているあの熱気はオリジナルオンリー即売会ならではだと思います。
いつも参加後の感想は「楽しかった……また新刊作って参加しよ!」です。
また新刊を作って参加できるよう、このコミティアの危機的な状況にできるかぎり支援をしていきたいと思います。

プロフィール

1月11日生まれ、長野県出身。まんがタイムラブリー(芳文社)に「わすれもの」が掲載されデビュー。代表作は「あかつきの教室」「ガール メイ キル」「泉さんは未亡人ですし…」など。現在、週刊漫画TIMES(芳文社)で「瓜を破る」を不定期連載中。

位置原光Z

一次創作の同人誌というのは、真夜中の海に漕ぎ出した小舟の様に寄る辺のないものです。
二次創作や出版社のレーベルといったジャンルに属することは、作者と作品と読者との間にある程度ガイドラインが設けられ、お互いにとって幸福な出会いとなる可能性が少し高くなります。
そういう意味では、コミティアでは「コミティアという場」そのものが一つのジャンルとなっているのかもしれません。
実際、僕は「コミティアという場」に帰属する意識を強く抱いていますし、その意識がなければ十年以上も作品を発表しつづけることは出来なかったでしょう。
今まで開催されたコミティアへの感謝の念を常に抱くとともに、またこれからもコミティアが続いていくことを切に願っております。

プロフィール

2010年に週刊ヤングジャンプ増刊アオハル(集英社)にて「アナーキー・イン・ザ・JK」でデビュー。代表作に「お尻触りたがる人なんなの」「正しいスカートの使い方」「先輩の顔も三度まで」など。現在は楽園 Le Paradis [ル パラディ](白泉社)にて執筆中。

大童澄瞳

コミティアから商業誌へデビューした作家は多いが、それはコミティアを「卒業」したわけではない。
コミティアは通過点ではなく、いつでも我々を待っている。
やりたい事をやりたいようにやる人間を許容してくれる場がコミティアなのだ。
そんな場所を我々は失うわけにはいかない。失うわけにはいかないのだ!!

プロフィール

3月19日生まれ、神奈川県出身。2016年、月刊!スピリッツ(小学館)にて「映像研には手を出すな!」でデビュー。同作は2020年1月にTVアニメ化、4月に実写ドラマ化を果たした。また9月に映画の公開が控えている。

おざわゆき

私がコミティアに参加し始めたのは34年前から。
当時、マンガ家になりたかったけど時々読み切りを掲載されるだけでさっぱり売れず。
でもそんな時もコミティアに行けば、本を買ってくれる読者がいました。
その後、家庭の事情で執筆から離れてしまったけど、5年後戻ってこれたのも、コミティアという作品発表の場があったからです。
多種多様なマンガ表現を受け入れてくれるコミティアは描きたい、描いてみようという気持ちに自由と救いをあたえてくれました。
「病める時も健やかなる時も、コミティアがあったから漫画を続けてこれた」
わがままかもしれないけど、いつまでもそこにいて欲しい。
ずっと応援しています。

プロフィール

1964年生まれ、愛知県出身。16歳のときにぶ~け(集英社)でデビュー。代表作に「凍りの掌」「あとかたの街」「築地まんぷく回遊記」など。現在はBE・LOVE(講談社)にて「傘寿まり子」を連載中。

オノ・ナツメ

知人に誘われ初めてコミティアに参加した時は、東京に出るなんてなかなか出来ないし、一度だけ……だったはずが帰る時には「絶対また参加する!」と決意していました。
もう20年以上も前のことですが、こんな場所があるんだ!と大興奮したのを覚えています。
それから年に2度東京コミティアへ、関西コミティアにも行くようになりました。
あの頃の私の楽しみの大半は、マンガを描いて本にしてそしてコミティアに参加することだったと思います。
参加する度に、もっと描きたい、という思いをコミティアはくれました。マンガ家になりたい、という思いもコミティアに参加していたから生まれたものでした。
コミティアは今の自分に繋がる大切な場所。一日も早い再開を願っています。
続け、コミティア!

プロフィール

2003年「LA QUINTA CAMERA」でデビュー。代表作に「リストランテ・パラディーゾ」「さらい屋五葉」「ACCA13区監察課」「ふたがしら」「レディ&オールドマン」「ハヴ・ア・グレイト・サンデー」など。

黒崎冬子

コミティアという自由な発表の場があったからこそ何年間もマンガを描き続けられました。
創作をする全ての人たちの居場所であり決してなくなってはならない大切なイベントです。
多くの人にとってコミティアそのものが創作のモチベーションになっていると思います。
再びコミティアが開催される日を心より祈っております。

プロフィール

2019年月刊コミックビーム(KADOKAWA)にて「開運怪奇 吉原くん」でデビュー。現在、月刊コミックビームにて「無敵の未来大作戦」を連載中。

鈴木小波

コミティアに初めて友人とサークル参加したのは丁度15年くらい前で、一般参加は20年くらい前からしていたと思います。
個人サークルとして本格的に参加し始めたのは10年前です。
商業誌の単行本が出たので宣伝のために出ようと思い、短編の同人誌を出しつつ、それから毎回出ていました。
会場で編集さんに声をかけられて仕事につながることもあり、お知り合いになったサークルさんも多かったです。
でも何よりコミティアで得られるものと言えば、創作されるものから滲み出てくる「作りたい欲」に刺激されることですね。
何千人もの作りたい欲を浴びれる場はなかなかないと思います。
コミティアには永遠に続いて欲しいと思っています。

プロフィール

2002年デビュー。代表作に「ホクサイと飯さえあれば」「ヤオツクモ」「燐寸少女」「東京黄昏買い食い部」など。「ホクサイと飯さえあれば」は2017年にはTVドラマ化された。

田中ユタカ

昨年の秋、50歳を超えての、はじめてのサークル参加でした。
結構、勇気が要りました。
コミティアは、笑顔で迎え入れてくれました。
会場で、僕は、多くの読者と、言葉を交わし、笑って、手を握りました。
自分が描いたものを、読んでくれる人に、直接、手渡すことが出来ました。
感動しました。しあわせな体験でした。
また、あの熱気ある、自由で、楽しい場所で再会したいです。

プロフィール

1966年生まれ、大阪府出身。1990年代より成年誌で活動。代表作に「初愛~はつあい~」「愛人[AI-REN]」「笑うあげは」など。

鶴谷香央理

コミティアには、マンガを描く人、売る人、買う人、読む人としての、全部の自分を育ててもらったと思っています。
沢山の人がそれぞれ好きに作ったものが一度に並んでいて、それをまた沢山の人が好きに受け取る生々しさと、その中で自分も自由にしていい楽しさ。
こんなに懐が深くてかっこいい場所は他にないです。
これからもコミティアが続いて、この楽しさを知る人が増えることを願っています。

プロフィール

1982年生まれ、富山県出身。2007年に「おおきな台所」でデビューし、同作品で第52回ちばてつや賞準大賞を獲得する。現在コミックNewtypeで連載中の「メタモルフォーゼの縁側」は、「このマンガがすごい!2019」でオンナ編第1位に輝いた。

TNSK

コミティアに初めて参加したのは10年くらい前、その頃はコミケのちょっと小さい版くらいに思っていました。無知!
その頃は「創作」という意識がなくて、オリキャラの本を描いてるという意識が強かったです。
その後創作イベントとして大きくなっていきポスターも描かせていただいて、いつしか創作系では欠かせない大きなイベントになっていました。
適当に歩いているだけでどんどん財布が軽くなっていく……創作の力や新しい表現がいち早く生まれるイベントだと思います。
もしコミティアがなければマンガを描く楽しさ創作の楽しさを知ることはなかったですし、
マンガ家にもなっていなかったのかもしれません。
これからもずっと続いていって欲しいと思っています。

プロフィール

大阪府出身。代表作に「時ドキ荘」「あいどるスマッシュ!」など。現在、good!アフタヌーン(講談社)にて「うちの師匠はしっぽがない」が連載中。

とよ田みのる

初めて参加したのが9年前、コミティアで丁度10冊頒布させて頂きました。
大好きな作家さんがふらりと遊びに来てくれたり、ネット上でずっと交流のあった読者さんと出会えたり、商業誌では出会えないような漫画に触れ刺激を受けたり、普段家の中にしかいない僕にとってはビックリする位、様々な出会いがありました。
端的に言って「楽しい場」でした。
丁度9月に久々参加させて頂こうと考えていたので、中止の知らせとても残念に思います。
あの出会いの空間が損なわれてしまうのは本当に哀しいです。
クラウドファンディングの成功お祈りしております。
わずかながらですが僕も是非参加させて下さい。
またあの楽しい場に帰れますように。

プロフィール

1971年生まれ、東京都出身。2002年「ラブロマ」で四季大賞を受賞しデビュー。翌年、同作は連載化。代表作に「FLIP-FLAP」「友達100人できるかな」「タケヲちゃん物怪録」「金剛寺さんは面倒臭い」など。

内藤泰弘

あなたが内側から溢れるままに、誰にも頼まれていないのに、ただマンガを描いてしまったとします。
それを世界で一番大切にしてくれるのがコミティアです。
それも、読者という最強の存在と引き合わせてくれる極上の方法で。
何を隠そう僕もそのお陰で干乾びず腐らずに済んだマンガ描きの一人です。

プロフィール

1967年生まれ、神奈川県出身。1990年に同人誌で発表した「サンディと迷いの森の仲間たち」が、Little boy(ふゅーじょんぷろだくと)に再録され商業デビュー。代表作に「トライガン」「トライガン・マキシマム」「血界戦線」など。現在はジャンプSQ.RISE(集英社)にて「血界戦線 Back 2 Back」を連載中。

panpanya

本を作るのはたのしい。どんな本にしようか思い巡らせ、あれこれ素材を集めたりする時点で既にうきうきする。
実際の製本はひたすら単純作業で辛いものでもあるのだが、着実に本が出来上がっていくに従い、企みが実体化して積み上がっていくのを見ているようで妙な高揚感がある。
コミティアについて思い返すと、浮かんでくるのはいつもこういった個人的かつ内向的なたのしみのことばかりなのですが、そのそもそもの原動力、動機となったコミティアという存在の重要さに改めて思い至るのです。

プロフィール

2013年に楽園 Le Paradis [ル パラディ](白泉社)にて商業デビュー。代表作に「足摺り水族館」「蟹に誘われて」「枕魚」「動物たち」「二匹目の金魚」「グヤバノ・ホリデー」「おむすびの転がる町」がある。現在は楽園 Le Paradis [ル パラディ](白泉社)にて執筆中。

三島芳治

コミティアにはイベントカタログを兼ねたティアズマガジンという機関紙がありそこに同人誌を読んだ人からの感想が寄せられます。
そこに自分の描いた本への知らない人からの感想が載っていたりすると大変なショックを受けてしまい夢中になります。
そうして本来ならマンガにそれほど時間を使わなかったはずの人がコミティアに毎回出続けるようになり……「この人は凄いな」と思っていた他の作家さんが実は自分の本を読んでいてくれた事などが分かり……やがて自分の書きたい事を発見していったりします。
私の経験したこういう事は今の所コミティア特有のコースだと思うのでコミティアがなくなるとそうした事故も起きなくなりとても寂しいと思います。

プロフィール

代表作に「レストー夫人」「スクロオル」など。現在、トーチwebにて「児玉まりあ文学集成」を連載中。

村田蓮爾

コミティアに初めて参加したのは20数年前でしょうか。そのころ大阪に住んでいた僕の家のすぐ近くの施設で開催していたので「朝、直前まで寝てられるな」と思ってありがたかったのを覚えています。
行くたびに様々な人や作品に出会えて交流が楽しかったですね。
今思うとこじんまりとした場所でしたが、その分人との距離が近く、お茶やお菓子のサービスがあったり牧歌的で良いイベントでした。それでもよく遅刻していましたが……。
その後東京に移住して年4回の東京コミティアがメインになって年々規模が大きくなっていき、出張編集部や展示パネルや海外のアーティストのブースなど独特のイベントに成長していくのを見てきましたが、僕にとっては行くと知り合いに挨拶したり馴染みのお客さんに会えるあの頃と何も変わらない居心地の良い場所になっています。

プロフィール

1968年生まれ、大阪府出身のイラストレーター。1994年より快楽天(ワニマガジン社)、ウルトラジャンプ(集英社)などの表紙イラストを手がける。1999年に自身が企画と責任編集を務めるフルカラーコミック誌「FLAT」、後に「robot」を発表。格闘ゲーム「豪血寺一族」、OVA「青の6号」、TVアニメ「LASTEXILE」シリーズなどのキャラクターデザインを担当。

ヤマザキコレ

現在の状況、環境でコミティアが開催できないこと、とても悲しく思います。
昔話ですが、現在こうしてマンガを描く仕事を続けていられるのは編集さんと出会えたコミティアのおかげであると思っています。
重ねてコミティアは、様々な愛や欲、世界を発表でき、また誰もがそれを否定されず、共有できる仲間を得られる、あるいはひとりでいても許される、そんな場所だとも思います。
そんな光も闇もごった煮のあの場所に、いずれまた参加させていただく日を夢見て今日もマンガのことを考えています。

プロフィール

北海道出身。「ふたりの恋愛書架」にて芳文社よりデビュー。2013年よりコミティアで出した同人誌を基とした「魔法使いの嫁」を月刊コミックブレイド(マッグガーデン)にて連載開始。現在は、ブレイドから新装した月刊コミックガーデンと、マンガアプリ・マンガドアにて同時連載中。

和山やま

これだけ老若男女の情熱が集結するイベントは他にないと思います。
年齢も性別も勝ち負けも関係なく、何千個の愛だけを集めたエネルギーに満ち溢れるコミティアが、私は好きです。
拙作「夢中さ、きみに。」も「カラオケ行こ!」もコミティアで生まれました。
参加を決めるときはいつも「なんでもいいから、とりあえずやってごらん」と言われているようで、力を抜いて力を出せるのです。
みんなのふるさとであり光であるコミティアの存続を、心より願います。

プロフィール

1995年生まれ、沖縄県出身。2016年にDモーニング(講談社)にて「渚へいこう」にてデビュー。2019年8月に初単行本となる「夢中さ、きみに。」を発売する。現在はフィール・ヤング(祥伝社)にて「女の園の星」を連載中。