フジアニメ発表会でカバネリ、PSYCHO-PASS新情報 (original) (raw)

「フジテレビ アニメラインナップ発表会 2018」が、去る3月8日に東京・お台場のフジテレビ本社にて開催された。

フジテレビのアニメ枠「ノイタミナ」や劇場アニメ作品の新情報を一挙に発表する同イベント。第1部ではまず始めにフジテレビジョン常務取締役の大多亮氏が登場し、フジテレビに新しいアニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」が新設されることが発表に。大多氏は14年目を迎える「ノイタミナ」では全61作品、全779話のアニメが発表されてきたことを振り返りながら、新しく展開される「+Ultra」について「最初から世界を見据え、破格な制作費をかけてワールドワイドな作品をたくさん作り出す枠を作ろうと決めました」とコメント。設立のきっかけとして、日本のアニメにも造詣が深いという、ナイアンティックのジョン・ハンケ社長から「『Ingress』をアニメ化できないか」と話があったことを明かす。「どうせだったら世界に向けて、非常に強いラインナップを並べるような枠を作ろうと『+Ultra』を新設しました」と経緯を語った。

ここで第1弾作品として、10月にスタートするアニメ「イングレス」のコーナーへ。ナイアンティックが開発・運営を行うスマートフォン向けオンラインゲーム「Ingress」を原作とした同作では、人間の精神に干渉する未知の物質「エキゾチック・マター(XM)」を巡る戦いが描かれる。ここでステージに櫻木優平監督、石井朋彦プロデューサー、ナイアンティックのアジア統括本部長・川島優志氏が登壇。石井プロデューサーは「イングレス」の放映中、アニメで展開されることとゲームで起きることが連動するような企画を進めていると語る。川島氏は「今までにない体験を作り出したい。世界とつながりを持ったり、さまざまな発見につなげたいというのがナイアンティックの目指しているところで、今回の試みがそういうことになるんじゃないかと楽しみにプロジェクトを進めています」と期待を寄せた。また庵野秀明、宮崎駿、岩井俊二らのもとで制作を経験してきた櫻木は、今作が監督デビュー作。「普通のアニメ単体ではなく“拡張現実エンターテイメント”として、アニメが現実に影響を、現実がアニメに影響を与える仕組みを作りたい」と述べた。

続けて「+Ultra」枠にて2019年1月より放送されるオリジナルアニメ「revisions リヴィジョンズ」の情報が解禁。壇上には監督を務める谷口悟朗と、CG監督を担当する平川孝充が登場し、渋谷の中心部が300年以上先の未来に転送されてしまう不可思議な現象“渋谷漂流”が起きる物語の設定について「学生が中心ではあるけど、当然大人もいますし、警察官もいる」と説明していく。加えてモーションキャプチャを用いながら群衆シーンなどが制作されていることが語られ、谷口監督は「アニメーションと実写の中間みたいな雰囲気。モーションアクターさんとの打ち合わせや、それにあわせた舞台稽古が重要になってくる」と印象を述べた。そのほか「パニック映画のノリに近いと思っていただけると。中にいる人々の軋轢とかケンカも起こるし、外からのなんらかの災害を防がなければならないということも起きてくる」と作品を紹介した。

そして「+Ultra」枠では、2019年4月から渡辺信一郎監督によるオリジナルアニメ「キャロル&チューズデイ」がオンエアされることも発表。ボンズの代表取締役・南雅彦氏は「彼が監督を務めるアニメーションの中での音楽の使い方は日本一でないかと思っている」「映像自体も音楽的でリズムが刻まれている。ドラマも音楽のように染み込んでくるような作品作りをされる」と渡辺監督について称賛しながら、同作が音楽をテーマにした作品であることを語る。またキャラクター原案を務める窪之内英策について、「世界中の人に感情やドラマが伝わっていくキャラクターとはなんぞやというところを渡辺監督と話し、窪之内さんにお願いさせていただきました」と依頼の経緯を明かした。

第2部では今年「ノイタミナ」枠にて放送される2作品が紹介された。4月より放送される「ヲタクに恋は難しい」からは桃瀬成海役の伊達朱里紗、二藤宏嵩役の伊東健人が登場。“オタクあるある”を盛り込んだ同作について、伊東は「知らなくても(友人と)聞き合うことで盛り上がれる。自然に会話のネタになるマンガ」、伊達は「うちの両親はオタクではないんですが、楽しんで読んでいるのでオタクでもオタクじゃなくても楽しめる作品」と魅力をコメント。また原作者のふじたが脚本のチームに参加しているという話題も飛び出し、アフレコ現場にもたびたび訪れディレクションを行っていることが明かされた。

7月にスタートする「BANANA FISH」からは、アッシュ・リンクス役の内田雄馬、奥村英二役の野島健児が登壇。「ここがすごいよ!BANANA FISH」と題した作品紹介のコーナーでは、「少女マンガ離れしたハードなアクション」「アッシュと英二の魂の絆」をテーマに魅力が語られていく。同作では声を収録したテープを提出する形でオーディションが行われたと言い、内田は「収録日にあまり体調がよくなくてボロボロの状態だったんですが、今思うと窮地に陥ってた自分の状態が、もしかしたらアッシュの感覚に近づいていたのかなと」と述懐。野島は「世界観にリアリティがあるので、実写映像のようなお芝居を取り組んでみたらどうなるのかと、あえて声だけですべてを演技するのではなく、心の中から出てくるものだけを頼りにやってみようと考えた」と思い返した。またこれからアフレコが始まるにあたっての意気込みを、それぞれが漢字1文字で表現する企画も。野島は「愛」と書き、「アッシュと英二の関係性は普遍的な、理想とする愛の形だなと感じて。そこをどうやって演じていけるか、掴めるようがんばっていきたい」と決意表明。「生」と書いた内田は「(今作は)どのように生きてきたか、どうやって生きていくかなど“生”に関わることが描かれている。また自分自身が『BANANA FISH』という世界でアッシュ・リンクスの声としてどう生きていけるか、いろんな思いを込めてこの字を選びました」と説明した。

映画作品をテーマとした第3部では、まず始めに先日アニメ映画化が発表されたばかりの「ペンギン・ハイウェイ」について紹介される。続いて劇場中編アニメ「甲鉄城のカバネリ ~海門決戦~」のコーナーになり、荒木哲郎監督が登場。「メインのキャラクターたちに思い入れが強かったので、彼らの話の続きを描きたかった」と述べる荒木監督は、「海門決戦」がテレビシリーズの半年後のエピソードであることを明かす。「海門決戦」では荒木監督が脚本としてクレジットされている点について、「(これまで脚本を手がけた)大河内(一楼)さんと自分の個性をブレンドした作品を作るということに変わりはないです。作業の順番を変えただけで、大河内さんに構成を作ってもらい、その地図をもとにシナリオ化する作業を自分がやる。それを大河内さん含むスタッフの皆さんに見ていただき、ダメ出しを受けて書き直す」と手順を説明し、その理由について「より自分にダメ出しをする機会を作りたかった。開かれたエンターテイメントにするために、事前に大勢の人の意見をちゃんと聞いて取り込みたい」と意図を述べた。

さらにAppStore、GooglePlay、DMM GAMES向けのゲーム「甲鉄城のカバネリ -乱-」が配信されることも解禁に。同ゲームはテレビシリーズと「海門決戦」をつなぐ物語として展開され、新キャラクターの要役は小松昌平、葉矢役は黒沢ともよ、千尋役は梅原裕一郎が演じる。ステージには3名と脚本・クリエイティブディレクターの笠岡淳平が登壇。小松は「アニメでも生駒役の(畠中)祐さんがとてもアツく叫んでいましたが、僕も負けないように叫びました。魂がこもった作品になっているので、配信を楽しみにしていてください」とメッセージを贈った。

最後に発表されたのは、「PSYCHO-PASS サイコパス」についての新情報。「Next Project」として劇場アニメ3作品が2019年1月より連続で公開されることが明らかとなり、狡噛役の関智一、宜野座役の野島健児、塩谷直義監督が登壇した。すでに3本ともアフレコは終了しているという同作。関は「今回は監督から意見を求められることもあり、ディスカッションに交えてもらった」と話すと、塩谷監督は「コンテを描く前に関さんにご連絡して、(シナリオを)読んでいただいて『こうやって狡噛はしゃべりますかね?』といった話を含めて『どう思われますか? 僕はこう思ってるんですけど』という話をした」と制作の裏話を披露した。最後に関は「『PSYCHO-PASS サイコパス』は数ある作品の中でも自分にとって大事な作品。またキャラクターと再会できてうれしく思います。プロジェクトが続く限りは狡噛を全うしていきたい」と意気込んだ。

なお特設サイト「『PlusUltra』~フジテレビ アニメラインナップ発表会2018~」では、同イベントのアーカイブ配信が行われている。

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