季刊エスとSSがパイ インターナショナルに事業承継 (original) (raw)
カルチュア・エンタテインメントが発行し、徳間書店が発売する季刊エス、SS(スモールエス)の事業が、パイ インターナショナルに承継されることが発表された。SSは7月20日に発売されるvol.74から、季刊エスは9月15日発売vol.83から、パイ インターナショナルが発行・発売を行う。
季刊エスは2003年にマンガ、イラスト、アニメなど、多様なジャンルの物語とビジュアル表現を紹介する総合誌として創刊。2005年には、イラストのメイキング、投稿マガジンとしてスモールエスが誕生した。
事業を承継するパイ インターナショナルは「魅力ある文化・優れたクリエイターと、世界との懸け橋でありたい。」を理念として1971年に設立し、ビジュアル書籍の企画発行などを行ってきた。同社は事業承継において、クリエイターを志して作品を作り続け、プロフェッショナルを目指す人たちへの一気通貫のサポートとコミュニティの創造を実現を目指している。代表取締役社長の三芳寛要氏は事業承継のきっかけを「エス編集部メンバーからの『イラストで人生を切り拓きたい人たちのコミュニティを守りたい』という言葉を聞いたことでした」と語った。
パイ インターナショナルは今後の展望として、季刊エスとSSを通して技術力を磨いた読者が、プロのクリエイターとして活躍できる素地を作ると述べた。クリエイター同士の交流の場作りやコンテスト開催など、活発なコミュニティを創造するほか、海外への書籍販売の経験を活かし、季刊エスとSSを全世界で展開することを目指す。
季刊エス、SSの編集長・天野昌直氏はイラストが仕事になる舞台が少なかった時代を振り返りつつ「作家たちが、新機軸のクリエイターとして、イラストを一大ムーブメントに発展させるさまを、私たちは目の当たりにしてきました」と語る。事業承継については「一緒になることで、イラストの世界をより一層、皆様にお届けできると感じております」と述べた。okama、白身魚、村田蓮爾からは季刊エスの20周年と新たな門出を祝うコメントやイラストが到着。okamaは「創作で気持ちが定まらない時 何かほしい時 刺激をいただいています」とコメントを寄せた。
また、新体制に併せ7月28日から8月6日にかけて展覧会「イラストフェスSP」が東京・デザインフェスタギャラリーにて開催される。関連作家の作品が一堂に会するほか、期間中はクリエイターによるイベントの実施も予定されている。
三芳寛要(パイ インターナショナル代表取締役社長)コメント
今回、エス編集部と一つになろうと決めた理由は、エス編集部メンバーからの「イラストで人生を切り拓きたい人たちのコミュニティを守りたい」という言葉を聞いたことでした。「季刊エス」「スモールエス」は、同じ志を持つ仲間が集まり、切磋琢磨するなかで、やがてはプロフェッショナルとして活躍できるまでに育つような土壌を持っています。それは、日本の文化を支える礎と言えます。
一方パイ インターナショナルは、クリエイターを応援する出版社として、多数のイラスト作品集を、日本だけでなく世界中に紹介してきました。その中には雑誌「季刊エス」「スモールエス」を通じてイラストを学び、やがてパイで作品集を出版することとなったイラストレーターが何人もいます。
これまでは別々に動いていたエス編集部とパイ編集部が一緒になることで、これからは「エスへイラストを投稿することが、世界へ羽ばたくイラストレーターへの第一歩となる」というビジョンを進化させます。
絵を描きはじめたばかりの初心者も、絵の仕事で成果をあげてきたプロも、自分の生み出した作品で世界中の人とつながる。それは表現で結ばれたコミュニティです。これからの私たちの活動にご期待下さい。
天野昌直(季刊エス・SS編集長)コメント
エス編集部は、キャラクター&ストーリー表現の総合誌というキャッチコピーで、長きに渡ってイラスト表現を見つめてきました。前身となる雑誌を刊行していた90年代後半は、イラストが仕事になる舞台は少なく、漫画とイラストレーションの間にあるような作風の作家たちは、どこで活躍したら良いか悩む時代でした。
しかし、そのような場に置かれた表現者こそ、なんとか道を切り拓きたいと願うゆえに、ボルテージが高いものです。もとより、居場所がないということは独自性も強い。そんな作家たちが、新機軸のクリエイターとして、イラストを一大ムーブメントに発展させるさまを、私たちは目の当たりにしてきました。取材した作家さんたちだけでなく、イラストを投稿してくれた「絵を描く読者たち」が、私たちに新しい発見や、表現の未来を示してくれています。
この度、国際的にクリエイターを支援するパイインターナショナルと一緒になることで、イラストの世界をより一層、皆様にお届けできると感じております。今後とも、よろしくお願いいたします。