「ユリ熊嵐」×「少女決戦オルギア」特集、森島明子と江島絵理が対談 - コミックナタリー 特集・インタビュー (original) (raw)
魔法・武器・格闘なんでもありのバトルロイヤル「ゲーム」に参加して殺し合う女子高生たちを描く「少女決戦オルギア」。ヤングマガジン サード(講談社)にて連載され、現在2巻まで刊行されている。
バトルとともに柱になっているのが、女子高生たちの百合描写だ。新鋭・江島絵理の百合に対する熱い思いをキャッチしたコミックナタリーは、コミック百合姫(一迅社)ほかで活躍し、現在は「ユリ熊嵐」のコミカライズを手がける森島明子に出演をオファー。2人の百合好きマンガ家に、女子同士の恋愛へのほとばしる思いを語ってもらった。
取材・文 / 三木美波
私にとって、森島先生は神(江島)
──森島先生が持ってきた「少女決戦オルギア」の単行本に、付箋がびっしりと……。
森島 読み込んでしまって(笑)。いろいろ伝えたいことを忘れないように付箋を貼っちゃいました。江島先生の百合表現に対する熱量をすごく感じたんです。
江島 私にとって、森島先生は神なので……。私の作品を読んでいただいて、しかも百合への思いを感じ取っていただけたなんて、この世への未練がまたひとつなくなりました……。
森島 神じゃないですよ、私は百合マンガ業界の隅っこで生きている人間です(笑)。江島先生が百合に目覚めたのはいつだったんですか?
江島 7年くらい前です。ネットに無縁の田舎で育ったので、大人になるまで百合マンガの存在を知らなかったんですよ。高校生のときからマンガを描いていたんですが、主人公が女の子じゃないとやる気が出ない。なんでだろう……と思っていました。でも初めて百合マンガを知って……なんというんでしょう、こう……。
森島 これだ!みたいな?
江島 そうです! 自分の中で点と点がすべてつながった感覚がありました。すぐにコミック百合姫(一迅社)の編集部に恋愛マンガの読み切りを持ち込んだんです。そしたら全然ダメで。恋愛マンガをほとんど読んだことがない状態だったので、「キャラが何をしたいのかよくわからない」と言われました。
森島 大丈夫、最初は全ボツが普通ですよ。私も少年マンガ育ちなんです。でも10代の頃に読んだ名香智子先生の「シャルトル公爵の愉しみ」シリーズが、すごく衝撃的で……。女の子を大好きな公爵夫人が出てきて、結婚相手の男性に「夫の愛人は私のお友達♡ どんどん愛人を作っていいわよ♡」って言うんです。すごく自由な、ルールに縛られない世界観がすごい!……と。
江島 そうですね。
森島 でもその頃は、少年マンガばっかり読んだり描いたりしていて。楽しいけど、何か違う……と思っていたときに「美少女戦士セーラームーン」に出会ったんですよ。江島先生みたいに「これだー!!」となって(笑)。
江島 あはは(笑)。
森島 百合ではないけど百合カップル的なウラヌスとネプチューンが出てきたのにもびっくり。土曜の夜7時というよい子が見る時間に放送してたから、「新しい世界が来たんだ」と思いました。それまでは好きなキャラを問われれば男キャラの名前を言っていたんですが、女の子キャラがかわいくて好き、と言ってもいいんだって思ったんです。堂々と描いていいんだ、と。
江島 そこで百合に目覚めたんですか?
森島 自分が百合にすごく執着があると気付いたのは、実は仕事でマンガを描き始めてからなんです。ほかのテーマのマンガと比べて、自分の中で熱量が違うんですよ。百合以外のシーンもちゃんと100%、120%で仕上がることを目指しているんですが、百合シーンだけは誰にも何も言われていないのに200%とか300%で立ち向かってしまう(笑)。命を削るかもしれないけど、ここで描かなければ私はもっと寿命が縮む!って。