「タブー・タトゥー」真じろう×月刊コミックアライブ編集長対談 - コミックナタリー 特集・インタビュー (original) (raw)

真じろう「タブー・タトゥー」がテレビアニメ化され、この7月からテレビ東京ほか各局にて放送が開始された。アニメは「ゼロの使い魔」「とある科学の超電磁砲」などで知られるJ.C.STAFFが制作を手がけており、バトルシーンを見どころのひとつとする本作との相性はバッチリだ。

アニメ化を記念してコミックナタリーでは、作者の真じろうと月刊コミックアライブ(KADOKAWA)の編集長・土方隆氏による対談を実施。もともとはマンガ家志望ではなかったという真じろうの変わった経歴や、健康的な美少女作品が誌面を席巻するアライブで流血上等の本格バトルアクションを描く心意気を聞いた。

取材・文 / 小林聖

What's“TABOO TATTO”?

「タブー・タトゥー」

主人公の中学生・赤塚正義(通称セーギ)は不良に絡まれている男性を助け、お礼として謎の石を受け取る。しかし石に触れた瞬間セーギの手のひらには、謎の呪紋(タトゥー)が出現。そのタトゥーの正体は、常識を覆すさまざまな超常現象を発現させられる超化学兵器だった。

呪紋を宿した印者(シールド)を探す謎の少女・イジーと接触したことから、崩れ落ちていくセーギの日常。軍隊も動く国家間の争い、世界の危機、善悪の定義……自らの手にした力に、少年・セーギはなにを見出すのか。呪紋(タトゥー)が世界を変える力(タブー)となる……スタイリッシュ異能力アクション!

真じろう×月刊コミックアライブ編集長対談

ラブコメ色の強いアライブに生まれた、内臓も飛び散る異能バトル

──改めて「タブー・タトゥー」アニメ化、おめでとうございます。今日は現在の担当編集でもある土方編集長と一緒に作品についてお伺いしていこうと思います。真じろう先生は元々マンガ家志望ではなかったそうですね。

真じろう はい。大学に入った頃は研究者志望だったんです。理系学部で生物学を専攻してました。ただ、中学、高校時代から絵を描くのは趣味で。その延長で、大学時代にデッサン教室に入って本格的にハマったんです。それで、イラスト関係を目指すことに。

「タブー・タトゥー」第1話の扉ページ。

──堅い分野から思い切った路線変更ですね。

真じろう 母に話したときはちょっと泣かれましたね(笑)。大学4年のときには卒業後、美大を受けて入り直すか、フリーターになってイラストレーターを目指すか、ゲーム会社を受けようかなんて考えてました。そんな頃にネットにアップしていた絵を見て、マッグガーデンの編集者さんが声をかけてくれて、新人賞向けのマンガを描くことになったんですよね。それで投稿した作品がコミックブレイド(マッグガーデン)の編集長に気に入られてデビューに至りました。

──「タブー・タトゥー」を連載しているコミックアライブとの縁はどこから?

真じろう マッグガーデンでの連載が終わる頃に、アライブの編集さんから声をかけてもらいまして。

編集長 初代の担当者が連載終了の時期を狙ってね。真じろう先生はデビュー当時からすごくきちんとした絵を描く人でしたから、早く声をかけなくちゃほかに取られてしまうと(笑)。

──そして「タブー・タトゥー」がスタートしたわけですね。肉弾戦が多めのSF系バトルマンガというのがコンセプトだったそうですが。

真じろう はい。異能力を発動するタトゥーという設定をまず思いついて、そこから話を積み上げていった感じです。僕は最初に理路整然と話を組み上げてしまうタイプでなく、描きながら話を作っていくタイプなので、徐々にできあがっていった部分も多いですね。

「タブー・タトゥー」が連載開始した月刊コミックアライブ2010年1月号。

──掲載誌のコミックアライブはライトノベルのコミカライズ作品など、ラブコメ中心とはいかずとも美少女をキーにした作品が多いですよね。そこでこういったバトルものをやろうと思ったのはなぜでしょう?

真じろう そこはそれほど意識していませんでした。ジャンルとしてはよくあるものですし、あまり掲載誌のことは考えずに自然に作っていきましたね。

編集長 雑誌としても創刊3年目くらいの時期で、コミカライズが多くてオリジナルの作品が少なかった。なので、こういうガツンと骨太な作品を入れてみようという感じでした。イジ―をはじめ女子キャラも魅力的だし、躊躇したりはなかったです。ただ、こんなに人が死ぬマンガだったとは(笑)。

真じろう バトルで内臓が出る描写を初めて描いたときは、担当さんに止められました(笑)。

腹を切られ内臓が飛び出すセーギ。激しい戦いの中で負う痛みを読者がリアルに想像させられる。

編集長 NGではないんですよ。描いたっていい。でも、アライブという雑誌はやっぱり少年誌で、若い読者が多い。特にほかの作品はラブコメ色の強いものばかりですから、そういう描写で読者が最初に拒否反応を示してしまう可能性がある。作品としてすごく魅力的なのに、そこに辿り着く前に拒絶されてしまったらもったいないじゃないですか。そういう部分でいろいろ言ったりはしましたね。

真じろう そうなんですか?

編集長 担当者には割と言ってたんですけどね……。ただ、あえて真じろう先生には伝えず、自由に描いてもらったっぽいですね。ほとんど先生に伝えなかったんじゃないかな。

真じろう あまり内容についてあれこれ言われたことはないですね。

編集長 だと思った(笑)。でも、主人公が中学生っていうあたりはこちらから言ったのが影響したんじゃない?

真じろう それは意識しました。アライブの読者層に馴染みやすい年齢ですから。

©2016真じろう・KADOKAWA刊/タブー・タトゥー製作委員会