「ホース・マネー」ペドロ・コスタと青山真治が対談 (original) (raw)

ペドロ・コスタと青山真治が対談、中上健次作品との相似性に触れる

2016年4月20日 16:06 5

ホース・マネー」の公開を6月に控えるポルトガルの映画監督ペドロ・コスタ青山真治のトークイベントが、4月19日に東京・ユーロスペースにて開催された。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2015のインターナショナル・コンペティション部門にて大賞に輝いた「ホース・マネー」は、ポルトガル・リスボンのスラムを舞台にした物語。コスタの過去作「コロッサル・ユース」と同じく主人公をべントゥーラが演じ、アフリカのカーボヴェルデからやってきた移民たちの記憶や苦難を虚実入り混じった手法で描く。

この日は「コロッサル・ユース」の上映後にトークを実施。青山はコスタが生み出す作品と小説家・中上健次の共通性を指摘する。「いわゆる“路地”を描いた中上小説のような『ヴァンダの部屋』が登場し、その経緯をなぞるように『コロッサル・ユース』が作られた。スラムが解体され、政府によってあてがわれた住宅で暮らす人々の暮らしを描いた同作は、中上小説の“その後”のようだった」と続け、最新作「ホース・マネー」については中上の「奇蹟」に大変近しいと言及。熱弁を振るう青山が「中上健次は自分が一番尊敬している作家。今までペドロにこのことを伝える日本人がいなかったのが不思議なくらいだ!」と伝えると、コスタは「これまで知らなかったけれど非常に読んでみたい。Amazonで探すよ!」と興味を示していた。

またコスタは自身の作品にまつわる人々を「矛盾を抱えた人たち」と表し、「暴力的であると同時に優しくもある。そうでないとあの場所で生きていけない。外から入ってきた私のような人間には理解するのが難しかったが、何年もかかってようやく彼らのあり方を受け入れられた」と語る。

観客から演者の選び方について質問が飛ぶと「カメラテストはしたことがない」と答え、「自分の映画の中には彼らとの信頼関係以外のものに入ってほしくない」と断言。「ホース・マネー」に出演したヴィタリーラ・ヴァレラについては、「ある素敵な家があって『ここで映画を撮りたい』と話していたら、ドアが開いて彼女が現れた。それはまるで何かの扉が開いたようだったんだ」と印象的な出会いを明かした。

「ホース・マネー」は6月18日より全国順次ロードショー。

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