渡辺紘文の特集上映開催、新作「普通は走り出す」も (original) (raw)

渡辺紘文の監督作を集めた特集上映「大田原愚豚舎の世界」が、東京・UPLINK吉祥寺にて10月25日から11月14日にかけて開催される。

そして泥船はゆく」「七日」「プールサイドマン」「地球はお祭り騒ぎ」が4作連続で東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門に入選した渡辺紘文。大田原愚豚舎は、彼と映画音楽家・渡辺雄司の兄弟が2013年に旗揚げした映像制作集団だ。

この特集上映では、大田原愚豚舎による4つの東京国際映画祭出品作と「八月の軽い豚」を上映。さらにMOOSIC LAB 2018のために制作された最新作「普通は走り出す」もスクリーンにかける。ロックバンド・トリプルファイヤーが音楽を手がけた本作には、松本まりか萩原みのり古賀哉子加藤才紀子、ほのか、永井ちひろといった女優陣と渡辺紘文本人が出演。栃木県大田原市在住の自主映画監督の物語を描き出す。この上映決定にあたり、「愛がなんだ」の今泉力哉や「クソ野郎と美しき世界」の山内ケンジが寄せたコメントが到着。全文は以下に掲載している。

【異能・渡辺紘文監督特集上映】大田原愚豚舎の世界

2019年10月25日(金)~11月14日(木)東京都 UPLINK吉祥寺
<上映作品>
「普通は走り出す」
「八月の軽い豚」
「そして泥船はゆく」
「七日」
「プールサイドマン」
「地球はお祭り騒ぎ」
料金:当日一般 1500円 / オリジナルステッカー付き3回券 3600円

渡辺紘文 コメント

大田原愚豚舎は旗揚げから6年間で5本の自主制作映画を創ってきました。自主制作映画。つまり誰にも望まれず、期待されず、依頼されず、束縛されず、既定路線から逸脱し、儀式化したルールやしきたりの総てを意図的に無視し、人の意見に1ミリも耳を貸さず、勝手気儘に、自由に、放埓に、野放図に、一生懸命誠実に創った映画が大田原愚豚舎作品です。そんな大田原愚豚舎作品がこのたびアップリンク吉祥寺にて一挙上映されることになりました。このような貴重な機会はそうそうありません。というか大田原愚豚舎作品をいっぺんに振り返るなどという狂気的な機会は今後もう二度とないかもしれません。
というわけでみなさま、もし興味がございましたら、ぜひ大田原愚豚舎作品を見物に吉祥寺まで足をお運びください。
みなさまのご来場、大田原愚豚舎一同、心よりお待ちいたしております。

渡辺雄司(「普通は走り出す」音楽監督)コメント

僕たちが作品を作る信条で大事にしていることは、「自由」「伝統」「情熱」、そして、誰かに評価されるよりも自分が楽しめるものを「創る」ということを優先して音楽や映画を創るということです。それが結果的に最良の答えなのではないかと考えます。
今まで作品を作ってきて思うことは、良い結果、悪い結果を先に考えてしまって、行動をしないのは本当にもったいないということです。
頭であれこれ思い悩み、結果を考えて動かないより、思い立ったら行動、実行してみるというのが、創作の基本です。
僕たちはそういった考えで、今まで作品を作ってきました。僕たちは今後も、歩みを止めることなく、少しづつ「映画」や「音楽」で新しいことに挑戦していこうと思います。

バン・ウヒョン(「普通は走り出す」撮影監督)コメント

このたび大田原愚豚舎作品のすべてが日本で上映されることを光栄に思います。
大田原愚豚舎の映画は観るに価する面白い映画です。日本の皆様、宜しければぜひ御観賞下さい。

吉田靖直(トリプルファイヤー /「普通は走り出す」劇中歌・主題歌担当)コメント

MOOSIC LABから音楽と映画でコラボしませんかとお誘いがあり喜んでお受けしたのですが、完成した「普通は走り出す」を見てみると、監督が劇中でがっつりMOOSIC LABやコラボ企画に対する文句を言っていて笑いました。しかし、その延々と言い訳や文句を言っている風情が結局は我々の曲とリンクしているように感じられました。別に何とも思ってなかった自分たちの曲を久しぶりに映画で聞いて、「意外といいじゃん」と思ったりもしました。
たまに的確なことを言っていても、大したことを言っていないように見えて軽んじられる主人公らしくない主人公の監督の佇まいに好感が持てます。私も作中の人物のように言い訳をつけて何もしないということを繰り返してきたので映画を見ながら同じような人もいるもんだと少し安心していましたが、結局監督はそれを一本の映画に昇華しているという事実に気づきハッとしました。

今泉力哉(映画監督)コメント

渡辺兄弟がいなかったら今の自分はいない。そのくらいにお互いに刺激をしあった仲だと思う。私とは作風が全然違うが渡辺兄弟のつくる映画にまだ触れたことがない人はぜひ触れるべきだ。笑えるし、考えさせられる。本当に豊かで笑える映画。

矢田部吉彦(東京国際映画祭プログラミングディレクター)コメント

大田原作品は単体で見て刺激を受けてもいいが、それだけで油断してはいけない。それぞれ独立した作品に見えても、すべてが繋がっているMCU的でゲースロ的な世界が大田原なのだ。だから、並走するとハマって抜けられない。目下、いくつかの異なるフォーマットを発明し、それらを少しずつ純化発展させるという全く画期的な創作活動を続けている。これは本当に他に例を見ない。
現在の日本の映画界に真に革新的で確信的な芸術家がいるかと聞かれたら、それは渡辺兄弟を置いて他にいないと、僕は断言する。

山内ケンジ(劇作家・映画監督)コメント

やった! 大田原愚豚舎最新作「普通は走り出す」アップリンク吉祥寺公開記念として大田原愚豚舎全作品を観ることができる!
今現在、日本で最も面白く最も重要な映画作家、大田原愚豚舎。ついに全貌が明らかになります。初めて「普通は走り出す」を観てもその面白さ、ユニークさに驚嘆するでしょう。数々の受賞に輝く「プールサイドマン」だけを観ているあなた、「普通は走り出す」を観て爆笑するでしょう。「七日」だけを観ていたあなた、他の作品群を観てすべてが繋がってゆく快感に悶絶するでしょう。
さあ、日本全国民のみなさん、例え選挙で毎回自民党に投票している最低なあなたでさえ、この機会に大田原愚豚舎全作品を観てしまったら、目から鱗がばらばらと落ち、その日からあなたは大田原愚豚舎通になれます。一緒に通になりましょう!

アダム・トレル(映画プロデューサー)コメント

「そして泥船はゆく」を初めて観た時に渡辺紘文監督の大ファンになった。カウリスマキとジャームッシュぽくて、海外の人にも超ウケてる。新しい映画が出る度、彼の作品をドンドン好きになる。「普通は走り出す」がたぶん一番好きな作品。
笑いすぎて、死ぬかと思った!

(c)2018 FOOLISH PIGGIES FILMS

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