石井裕也新作に仲野太賀、池松壮亮「涙が溢れました」 (original) (raw)
尾野真千子が主演、石井裕也が監督を務めた「茜色に焼かれる」の公開に向け、仲野太賀、池松壮亮ら著名人から感想コメントが到着した。
本作は7年前に理不尽な交通事故で夫を亡くした女性・田中良子を主人公とした物語。時代に翻弄されながらも、子供へのあふれんばかりの愛を抱えて気丈に振る舞う良子と、いじめに遭いながらも母を気遣い屈辱を耐え過ごす息子・純平の姿が描かれる。尾野が良子を、「ミックス。」の和田庵が純平を演じたほか、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏らが出演した。
ひと足早く本作を鑑賞した仲野は「母ちゃんから受け取った誇りは、きっとあの少年を勇敢にする。親子の帰り道、純真な愛の告白に涙が溢れました」と、池松は「どんなに世界に傷つけられても田中良子は生きている。その魂の咆哮に、涙が止まらなかった」と感想をつづっている。また前田敦子も「本当に全てが素晴らしすぎて、魂が震える感覚を知れた気がします」と絶賛し、古舘寛治は「このクソのような世の中で真面目に誠実に日本の映画を撮ろうとしたらこうなった。そんな映画だ」と率直な感想を伝えた。すべてのコメントは以下に掲載している。
「茜色に焼かれる」は5月21日より全国で公開。
※「茜色に焼かれる」はR15+指定作品
※古舘寛治の舘は舎に官が正式表記
仲野太賀(俳優)コメント
誰しもが歯を食いしばり、生きてる。
誰かを傷つけない為に、演じてる。
母ちゃんから受け取った誇りは、きっとあの少年を勇敢にする。
親子の帰り道、純真な愛の告白に涙が溢れました。
池松壮亮(俳優)コメント
人類の終末感に相応しい美しい夕焼けと、生き延びてきた自己の物語。
どんなに世界に傷つけられても田中良子は生きている。
その魂の咆哮に、涙が止まらなかった。
身一つで請け負う女性のその圧倒的な姿は、夕焼けよりも美しい。
前田敦子(女優)コメント
石井監督やっぱりすごいです。尾野さん、はじめとするみなさんの熱演、
本当に全てが素晴らしすぎて、魂が震える感覚を知れた気がします。
「愛」の底力って計り知れない。
古舘寛治(俳優)コメント
このクソのような世の中で
真面目に誠実に日本の映画を撮ろうとしたらこうなった。
そんな映画だ。
松尾貴史(タレント)コメント
今の社会にこびりつく理不尽な決まり事に踏みつけられる母と子の、
ひたすらにしなやかでひたむきな姿に、ただ心を締めつけられる。
我が事として、今見るべき物語。
角田光代(作家)コメント
静かな笑みという鎧でなんとか自身を保っていた
ひとりの母親が、鎧を脱ぎ捨て、丸腰で闘う姿に、
唖然とし、落涙し、そして強く励まされた。
加藤千恵(歌人・小説家)コメント
激しい作品だ。
良子の苦しみが、純平の切実さが、ケイの絶望が、
そしてどうしたって溢れでてしまうあらゆる愛が、願いが、
見ているわたしたちに一つずつ突き刺さる。
はあちゅう(ブロガー・作家)コメント
どこかで大きなどんでん返しや、救いがあってほしいと願いながら見続けた。
私たちは「努力すれば報われる」とか「神様はきっと見ている」と
心のどこかで信じているけれど、本当にそうだろうか?
誰にも救ってもらえない人生は、どう生きるのが正解だろうか。そんなことを考えた。
室井佑月(作家)コメント
人は哀しい。どうしてこんなに哀しいんだろう。
映画を観て、あたしは泣いた。
映画に、自分やまわりの人々を投影したからだ。
それでも、人でありたいと願う多くの仲間に、
この映画を勧める。観て良かった。
齋藤薫(美容ジャーナリスト / エッセイスト)コメント
完全なる不幸の中にちりばめられた、
一瞬の幸せの一つ一つに心が震える。
しかもその単純ではないコントラスト表現の見事さと、
尾野真千子の喜怒哀楽の素晴らしさにも目を見張った。
伊藤詩織(映像ジャーナリスト)コメント
「なんで怒らないの」何度もどこかで聞いた言葉だ。
人に起きたことなら怒れるのに、なんでだろう。
自分の怒りと素直に向き合えた時、人は解放されるのかもしれない。
鮫島浩(ジャーナリスト)コメント
公営団地に暮らす母子家庭、母の失恋そして包丁の追憶。
息子の境遇が我が身に重なり、感情移入してしまった。
格差が格差を生む理不尽な社会に差し込む茜色の未来が美しい。
上野千鶴子(社会学者)コメント
日本のシングルマザーが経験するありとあらゆる苦難がこれでもかと。
それをコロナ禍がさらに直撃した。
でも、誇りは捨てない。この怒りは誰に届くだろうか?
湯浅誠(社会活動家・東京大学特任教授)コメント
追いつめられ、壊れかけつつも、踏みとどまっている──
その際(エッジ)を生き抜くすべての人々が
等身大の〈自分〉を見出せる映画だ。
三浦瑠麗(国際政治学者 / 山猫総合研究所代表)コメント
不条理を一身に浴びながら、それでも生きていく主人公が眩しい。
溜めすぎた怒りを、悲しみを、叫びを受け止めながら、終いに癒しに導かれる。
すごい映画でした。
水谷修(夜回り先生)コメント
「生きる」とは、幸せを求めることと考えている人たちにこそ、見て欲しい。
墜ちても落ちても抗い生きる。つらい苦しみの中にこそ在る生きる意味。
こころに刺さります。
武田砂鉄(ライター)コメント
息苦しい社会なのに、息の苦しさは隠蔽される。
この作品は、その隠蔽を剥がして剥がして剥がして明らかにする。
荒々しい息が聞こえてくる。たじろぐ。情けないほどにたじろく。
(c)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ