ルイス・ブニュエル特集で「昼顔」など6作を上映 (original) (raw)
「ルイス・ブニュエル特集上映 デジタルリマスター版 男と女」が1月21日から2月10日にかけて東京・角川シネマ有楽町で開催される。
1928年にサルバドール・ダリと共作した実験映画「アンダルシアの犬」で鮮烈にデビューしたルイス・ブニュエル。カトリック主義者や極右の激しい攻撃にさらされ上映禁止になった「黄金時代」をはじめ、「忘れられた人々」「ビリディアナ」「皆殺しの天使」など作品ごとにセンセーショナルな題材で話題を振りまきながら、国際映画祭で数々の賞に輝いたことで知られる。
今回の特集では、1960年代にメキシコからフランスに活動の場を移してから発表したキャリア後期の6作品がラインナップに。カトリーヌ・ドヌーヴ主演で夫に隠れ高級娼婦として働き始める人妻を描いた「昼顔」、突飛な出来事の数々で期待する食事にありつけないブルジョワたちの滑稽な姿を描いた不条理劇「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」などが上映される。
映画評論家の山田宏一が特集に寄せたコメントは下記の通り。
ルイス・ブニュエル特集上映 デジタルリマスター版 男と女
2022年1月21日(金)~2月10日(木)東京都 角川シネマ有楽町
<上映作品>
「小間使の日記(デジタル・リマスター版)」
「昼顔(1967年・4Kデジタル・リマスター版)」
「哀しみのトリスターナ(デジタル・リマスター版)」
「ブルジョワジーの秘かな愉しみ(デジタル・リマスター版)」
「自由の幻想(デジタル・リマスター版)」
「欲望のあいまいな対象(デジタル・リマスター版)」
山田宏一 コメント
ジャンヌ・モローのブーツをかき抱いて恍惚死する老人。
昼下がりのエロチックな秘密クラブ。鞭で打つのはまだ早いと怒る変態男。
ゆれる釣鐘の生首。一瞬、カトリーヌ・ドヌーヴの乳首がかゆい。義足と松葉杖と車椅子。
招かれざる客たちの破茶滅茶な饗宴。
飢えて、歩いて、果てしなく。
革命か、テロか? 食欲も性欲も永遠に中断される。
ああ、すべては夢かと目覚めたら、それが夢のはじまりだったという、映画そのものが夢うつつの構造になっているかのようだ。
老婆はいかにして若き美女に変身するか。
食事はトイレで……貞操帯は美女のベッドで……官能か、本能か。
自由奔放? 「自由など幻想にすぎぬ」と映画のなかの人物がせせら笑う。
な、な、な、なんだ、これは。この条理と不条理、この不思議な連続と不連続。
愛だ、狂気だ、美だ、笑いだ、映画だ、ブニュエルだ。
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