西加奈子、中島歩らが「裸足で鳴らしてみせろ」鑑賞、永瀬正敏は「監督、ありがとう」 (original) (raw)

西加奈子、中島歩らが「裸足で鳴らしてみせろ」鑑賞、永瀬正敏は「監督、ありがとう」

2022年7月30日 12:00 10

映画「裸足で鳴らしてみせろ」を鑑賞した著名人からコメントが到着した。

本作では、惹かれ合いながらも互いに触れ合えない青年2人の関係が、偽りの旅を通して描かれる。ぴあフィルムフェスティバル(PFF)が映画製作を支援するPFFスカラシップから生まれ、監督の工藤梨穂は本作で商業デビューを飾った。

作家の西加奈子は「祈るような気持ちでスクリーンを見つめた」とコメント。そして俳優の永瀬正敏は「工藤梨穂監督、ありがとう」と、中島歩は「映画を作ること、観ることの美しさを感じた」とつづった。

あわせて、イラストレーターのAyakaが本作にインスピレーションを受けて描いたイラストも公開された。

「裸足で鳴らしてみせろ」は、8月6日より東京・ユーロスペースほか全国で順次ロードショー。佐々木詩音諏訪珠理伊藤歌歩甲本雅裕風吹ジュンがキャストに名を連ねた。

西加奈子(作家)コメント

祈るような気持ちでスクリーンを見つめた。
「もう少し」、「あと少し」の世界を、私たちは生きている。
手を伸ばしても、望むものには届かないことを、そして手を伸ばす行為そのものに痛みを伴うことを知っている大人たちは、諦めたふりをしてやり過ごす。
だから、何かを信じて「本物の砂漠」に、「本物の瀑布」に、そして「本物の愛」に、血だらけで手を伸ばし続けるナオミとマキの軌跡に、私たちはある種の奇跡を見るのだ。

永瀬正敏(俳優)コメント

何がリアルで、何が虚構なのかは関係ない。
そこに偽りのない本物の想いがあるかどうか。
僕も自分の中の埃にまみれた不用品を
今一度格闘しながら旅をし
裸の瞳で見つめてみよう。
もしかするとあの時の間違いに気付いて
本当に大切な何かが見つかるかもしれない。
工藤梨穂監督、ありがとう。

児玉美月(映画執筆家)コメント

言葉にならぬ感情の芽生え、拠り所なき自分たちの居場所。
だから彼らは肉体と肉体でぶつかりあい、世界のどこかをここに作りだす。
これはウォン・カーウァイの「ブエノスアイレス」はじめ、アジアにおけるクィア映画の往年の名作たちの再来だ。

SYO(物書き)コメント

触れることも、想いを口にすることもできなくて。
どこにも行けない世界で、想像だけはどこへでも行ける。
魂の感度が上昇していく映画体験。旅中、何度震えただろう。
断絶と不寛容の時代に、この作品に出合えたことは希望だ。

中島歩(俳優)コメント

素晴らしい。本当に素晴らしい。
映画を作ること、観ることの美しさを感じた。
あまりに青い二人をとらえた色とりどりのイメージにいつかの自分を見つけた。
終っている世界で君と創った彼の地は、きっと何処よりも眩しく光る。

三宅唱(映画監督)コメント

マキの右足の指の薄皮がほんのすこし捲れている。微かな傷だけに余計痛そうだ。ナオミが乗る車のカセットデッキは調子が狂っていて、叩いても直りそうにない。ジャ・ジャンクー「世界」には絆創膏を探す人物が出てくるが、工藤梨穂は彼らとともに、絆創膏とは全く別のものを探しながらこの「世界」で必死に走り、泳ぎ、倒れ、生きる。たとえ誰かに手遅れだと言われようが、自分たちには「今しかない」という、途轍もない切迫感で。

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