深田隆之の新作「ナナメのろうか」公開、三宅唱も感嘆 (original) (raw)
「ある惑星の散文」の深田隆之が監督務めた「ナナメのろうか」公開、三宅唱も感嘆
2022年8月12日 10:00 7
「ある惑星の散文」の深田隆之が監督を務めた「ナナメのろうか」が、9月10日に東京・ポレポレ東中野で公開される。
本作は、改装予定の祖母の家に来た姉妹の関係の変化を描く物語。44分のモノクロ映画で、吉見茉莉奈と笠島智が出演した。
映画プロデューサーの奥山和由は「演じる女優さん、漂う空気感、『人』の懐かしい自然な表情を切り取る演出、すべてが心地よい」とコメント。映画監督の三宅唱は「家一軒で、階段一つで、こんなに刺激的なことができるのか」と感嘆している。
YouTubeでは予告編が公開中。
奥山和由(映画プロデューサー)コメント
大好きな映画、としか言いようがない。演じる女優さん、漂う空気感、「人」の懐かしい自然な表情を切り取る演出、すべてが心地よい。人の心の奥底を映す、映像本来の媚薬感を満喫できる。
三宅唱(映画監督)コメント
廊下。台所。庭。寝室。見慣れたはずの生活空間なのになぜか目が離せない。そして、その場所に囚われているかのような二人が、いつしかその境界線をゆるやかに、いや必死に越えようとする。その様が時にユーモラスで、時にスリリング。家一軒で、階段一つで、こんなに刺激的なことができるのか。
草野なつか(映画作家)コメント
深田隆之監督の穏やかな視座と、雑然としていながらもきちんと手入れのされた「この家」には心地の良い余白がある。家はもうすぐ姿を変える。建て直しではなくリフォームである。声やかたち・役割に変化が生じるようだ。実際に(きっと日本国内の)どこかにあるであろうこの家も同じ運命をたどるのか、それともそれは物語のなかだけのお話なのか、そのことにとても興味を持った。たとえ物語のいち舞台に過ぎないとしても、この家の声と匂い手触りに触れたような気がしたからかもしれない。
吉見茉莉奈 コメント
「ナナメのろうか」をたくさんの方にご覧いただける機会をいただき、大変嬉しく思います。この物語には姉と妹の2人しか出てきませんが、その2人と同じくらいこの物語に欠かせないのが“家”の存在です。ぜひ、そんな家の気配や表情なんかも含めて楽しんでいただけたら…と思います。
笠島智 コメント
家との関係が終わるときとはどんな風だろうと思います。朽ちて無くなることなのか、匂いも思い出せないことなのか。そんな「いつかおしまいを迎えるもの」がこの作品には詰まっています。深田監督が作品の中で大切にして下さったのは時間だったように感じています。人が暮らしていた場所での撮影にあたり足がすくむ思いだったはずなのに、気がつけば私はちゃぶ台の煎餅を齧りながら妹と恋バナしていました。モノクロの向こうにある匂いなんかが、観てくださる方へ少しでも届くといいなと思います。
深田隆之 ステートメント
「ナナメのろうか」は祖母の空き家をめぐる姉妹2人の物語です。彼女たちが取り組む「片付け」という行為は様々な個人的記憶を呼び起こし、現実と交差します。2人がかつて一緒に遊んだ祖母の家。昔に戻ったように遊ぶ2人が直面するのは、それぞれの現実を生きる、変わってしまったお互いの姿です。そして、前半と後半で別の映画のようになる今回の構成は、映画表現だけが持つ話法の可能性に賭けたひとつのチャレンジでした。改装されるのを待つ家。生まれようとする命。何かが決定的に変わる直前の束の間の時間。是非劇場でご覧ください。