辻凪子の活弁SFファンタジー初披露、間寛平も称賛 (original) (raw)

I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」の先行上映会が本日11月19日に東京・新文芸坐で行われ、主演・監督を務めた辻凪子、キャストの間寛平、MCとして活動写真弁士の大森くみこが登壇した。

本作は世界一のコメディエンヌを夢見る主人公・ジャムが、全銀河系の崩壊を阻止すべく“4つのピザ”を求めて奔走する活弁SFファンタジー。日本のサイレント映画期に隆盛した活弁は、無声映画に弁士がスクリーンのかたわらでセリフやナレーションを吹き込む上映スタイルのことだ。「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」では大森が語りを担う“活弁公演版”の全国巡業と、活弁と音楽が吹き込まれた“活弁吹込版”の劇場公開が行われる。

この日は、大森の実演による活弁と生演奏付きで初披露された。“ジャムのお爺ちゃん”役で出演した間は「凪ちゃんのために、こんなにたくさん来ていただいて」と喜ぶ。彼は本日客席で一緒に鑑賞していたそうで「かわいい映画やね。夢がある。(自分も)いい演技してました」と自画自賛すると、辻は「自分で言うてる」と笑みをこぼす。間は天宮遥によるピアノの生演奏にも驚き「うまいこと弾いてた。新喜劇とはえらい違いや」とたたえた。

辻と間は、辻が大学生のときに参加した劇団間座の旗揚げ公演「恋の虫」のオーディションをきっかけに出会った。辻はカエルが川を渡れないというモノマネを披露し、見事、主役にあたる蝉の幼虫役を射止めた。間は「それがいいなあ、と。出てたもんは、みんな売れてった。アインシュタイン、ミルクボーイ、どんぐり。どんぐりは蛾の役だった」と述懐。辻は「小さい頃から新喜劇を観てきたんですけど、コメディアンの寛平さんとは全然違う顔。流石でした」と感謝を伝えた。

辻は映画の根底にある思いを「私のおじいちゃんがものづくりが大好きで、いっぱい夢のある人でした。いつも横にひっついてるのが好きだった。おじいちゃんが亡くなったのがショックで、映画を作ることで、おじいちゃんに会いたかった」と吐露。脚本を書き進めるうちに「おじいちゃんの役は、絶対、寛平さんにやってほしい」と考えるようになったそうで「寛平さんは今も夢を持たれていて、必ず実現させる。普通の人じゃ叶えられないような夢を叶えるのが、すごいなと思っていて」と明かす。間は「凪ちゃんをかわいがってください。みんなの応援で大きくなっていくから。応援よろしくお願いします」と呼びかけた。

また辻は活弁に興味を持ったきっかけを「大学生のときに初めて観た活弁が大森さんの上映。昔からある上映形態やのに、私にとって、すごく新しい娯楽やった。映画を学びたての私には、100年前の映画ってこんなにも面白いのかと衝撃でした」と説明。やがてプロデューサーから活弁映画制作のオファーがあり、クラウドファンディングでの資金集めなどを経て、足掛け3年で完成させた。辻は「喜劇女優をやりたくてお芝居を初めて。まさか自分で映画を作るとは思っていなかったです。まだ叶えられてない夢を映画の中で叶えたかった。亡きおじいちゃんにも会えた。この映画にはいろんな思いがつまっています」と明かした。

舞台挨拶の終盤にはキャストの長野こうへい黒住尚生も登壇。長野は「辻さんそのものという映画。まだまだ知られてない映画ではあるので、ぜひ皆さんのお力を貸してください」と述べ、黒住も「こんな楽しい映画に関われて本当によかった。長い時間をかけて、何十年、何百年後も人を笑わせて、心を動かす映画」とアピールする。最後に辻は「自分が生きてきた27年間を映画に詰め込みました。だから、あと10年は映画を作ることができません!(笑) できる限りのことをやって、全国の皆さんに届けたい」と語り、イベントを締めくくった。

「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」は11月25日より京都・京都みなみ会館で先行上映。12月3日から東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開される。活弁公演版の上映日程は公式サイトで確認を。

(c)2020 活弁映画『I AM JAM』製作プロジェクト