「少年たちの時代革命」「理大囲城」の予告公開 (original) (raw)

香港映画「少年たちの時代革命」の公開日が12月10日、「理大囲城」の公開日が12月17日であることが明らかに。両作の予告編がYouTubeで公開された。

レックス・レンラム・サムが監督した「少年たちの時代革命」は、自殺しようとする少女を救うため民間捜索隊を結成して香港の街を駆け巡る若者の姿を描いた青春群像劇。香港ドキュメンタリー映画工作者が手がけた「理大囲城」では、2019年の香港民主化デモの中でもスキャンダラスな事件と言われる香港理工大学包囲事件の様子が映し出される。

このたび著名人のコメントも到着。「少年たちの時代革命」を鑑賞した映画監督の行定勲は「この映画は、抵抗と戦いの果てに在る、わずかな希望を見出している。雨傘をさした若者たちの慟哭が、香港映画の復活の原動力となるに違いない」とつづった。また「理大囲城」を鑑賞したマンガ家で、「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」の監督・安彦良和は「世界最大、最強の権力と対峙する若者達。彼等は非力で、まとまりがなく、弱気だ。しかし絆を求め、会話し合い、常に呼びかける。だから感動する。共感を覚える」と語っている。そのほかの著名人のコメントは下記に掲載した。

「少年たちの時代革命」と「理大囲城」は東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開。両作とも封切り日にポレポレ東中野で初日舞台挨拶が行われる予定だ。「少年たちの時代革命」の舞台挨拶にはレックス・レンとキャストのスン・クワントーが登壇し、「理大囲城」の舞台挨拶には香港ドキュメンタリー映画工作者がオンラインで参加する。

「少年たちの時代革命」へのコメント

行定勲(映画監督)コメント

この映画は、抵抗と戦いの果てに在る、わずかな希望を見出している。
雨傘をさした若者たちの慟哭が、香港映画の復活の原動力となるに違いない。

岩井圭也(作家)コメント

勇敢に立ち向かい、絶叫することだけが革命ではない。
たった一人の命を救うために奔走することもまた、時代を変える革命だ。

石坂健治(東京国際映画祭シニア・プログラマー / 日本映画大学教授)コメント

少年少女たちの疾走と絶望と連帯。街頭闘争のドキュメントの生々しさ。この映画を撮らなくては、この映像を残さなくては、という真剣な息づかいが聞こえる。この切迫感にはどこかで出会った。返還の年に公開されたフルーツ・チャンの「メイド・イン・ホンコン」。香港の未来を担うはずの若者が返還を前に次々と命を落としていった、あの反骨の予言的なフィルムから四半世紀。本作の製作陣にはフルーツの薫陶を受けた者もいるという。さもありなん。魂はしっかりと継承されている。ここに安易な希望の描写はないが、かわりに連帯の予兆がある。勇気あるスタッフ・キャストの安全を祈らずにはいられない。

「理大囲城」へのコメント

安彦良和(マンガ家)コメント

世界最大、最強の権力と対峙する若者達。彼等は非力で、まとまりがなく、弱気だ。
しかし絆を求め、会話し合い、常に呼びかける。だから感動する。共感を覚える。

四方田犬彦(比較文学者 / 映画史家)コメント

かつて大島渚は、敗者は映像を持っていないと言った。
第二次世界大戦、68年の学生運動も内側から撮った映像はない。
「理大囲城」は香港において内側から映像を記録した。
これは偉大なことであり、敗者ではないということを示している。

柳下毅一郎(映画評論家)コメント

限りなき自由都市香港のイメージは香港映画とHKpopの記憶と切り離せない。だから香港歌謡が武器として使われてしまう場面に涙し、香港アクションをも彷彿とさせるアクロバティックな脱出劇に興奮する。このドキュメンタリーがどうしようもなく香港映画であることに、驚き感動するのである。

大島新(ドキュメンタリー監督)コメント

なぜこんなにも悲痛なドキュメンタリーが作られなければならないのか。
「死は覚悟したが人知れず死ぬのは嫌だ」
そう言いながら抵抗を続けた若者がいたことを、記録として残すためだ。
だから目を背けるわけにはいかない。
そして記憶しなければならない。あの若者たちのことを。

伊藤俊也(映画監督)コメント

中国政府の圧政に鎮静化させられた香港の現状を思う時、「理大囲城」ほど痛切に胸を打つ作品はないだろう。
ここには民主化運動の挫折の予兆が実に生々しく露わにされているのだ。

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