「Single8」黒沢清、是枝裕和ら11名が応援 (original) (raw)

平成ウルトラシリーズで知られる小中和哉の監督作「Single8」のポスタービジュアルが解禁。あわせて是枝裕和黒沢清樋口真嗣ら11名による応援コメントが公開された。

本作は映画作りに情熱を燃やす1970年代の高校生たちの恋と友情を描いた青春グラフィティ。「許された子どもたち」の上村侑が1978年夏に公開されたばかりの「スター・ウォーズ」を観て興奮し、8mm映画の制作に夢中になる主人公・広志を演じたほか、WATWING福澤希空桑山隆太高石あかり川久保拓司北岡龍貴佐藤友祐lol)、有森也実がキャストに名を連ねている。

黒沢は「ああ、懐かしい。撮ってるときは何が写っているのかさっぱりわからないのが8mm自主映画だった。だから、出来上がった作品はいつも予想もしないものになる。あれがスタートだった」とコメント。是枝は「なんだかとても幸せな気持ちになりました。僕のように8ミリにはあまり触れてこなかった人間にとっても記憶の中にあるはずのない映画作りを追体験していくような、不思議なワクワク感に満ちていました」と語っている。コメントは下記にまとめて掲載した。

神奈川・シネマノヴェチェントでは「Single8」の公開を記念して、小中が自ら選んだ5作品を8日間にわたって特集上映。1986年に22歳で発表した「星空のむこうの国」が2021年のセルフリメイク版と初めて同時上映される。

「Single8」は3月18日より東京・ユーロスペースほか全国で順次ロードショー。

※高石あかりの高は、はしごだかが正式表記

小中和哉特集

2023年2月19日(日)~2月26日(日) 神奈川県 シネマノヴェチェント
星空のむこうの国(1986年)
「星空のむこうの国(2021年)」
ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ ウルトラマンガイア 超時空の大決戦
ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟
VAMP

犬童一心 コメント

私も、78年の夏、初めての映画を作っていました。8ミリカメラを握りしめたときの熱い気持ち暑い夏を思い出し、もうどうして良いやら胸が張り裂けそうです。10代の終わり、二度と戻れない夏をフィルムに閉じ込めることができた幸福な野郎どもに心から拍手。8ミリカメラは強く握りしめることができたから祈りを込めて作れたんだな。

上田慎一郎 コメント

映画好き男子高校生が文化祭のクラス展で映画を作る!と言い出し想い寄せる女子にヒロインを頼み…って俺の話やん!って刺さりまくってたら監督のほぼ実話との事。
世代を超えた共通体験に感慨。
映画作りの醍醐味が詰まってた。
映画づくり映画の新たなマスターピース。

金田龍 コメント

8ミリ映画はかつて「小型映画」と呼ばれていた。
この映画は無限の宇宙空間に小型宇宙船で挑む少年たちの物語りだ。

小中さんと同世代の自分も8ミリに出会った頃の初恋のような切なさに動かされました。
70年代の回想録ではなく、今を生きる少年少女たちにこそ観てほしい映画です。
8ミリフィルムの優しい手触りに小中さんの宇宙が詰まっていました。

河崎実 コメント

学生時代8ミリ映画を同時期に作っていた同志である小中監督は、わたし同様40年以上同じことをやり続けている。
お互いプロになって映画の規模は大きくなっても、この初期衝動の熱さはなにも変わらないのだ。
改めてフィルムっていい、青春ていい。
わたしも自伝的映画作りたくなったよ。だってフィルムがたくさんあるんだもん。

是枝裕和 コメント

なんだかとても幸せな気持ちになりました。
僕のように8ミリにはあまり触れてこなかった人間にとっても記憶の中にあるはずのない映画作りを追体験していくような、不思議なワクワク感に満ちていました。そこに感じたのが単純なノスタルジーではなかったのは、小中さんの中に自らの原点をもう一度確かめたいという強い前向きな動機があったからではないかと勝手に想像して嬉しくなりました。

黒沢清 コメント

ああ、懐かしい。撮ってるときは何が写っているのかさっぱりわからないのが8mm自主映画だった。
だから、出来上がった作品はいつも予想もしないものになる。あれがスタートだった。

桜井浩子 コメント

成る程!小中さんのルーツが分かりました。
つまり映画創りに魅せられて現在に至っているって事ですネ!
その初めの一歩の息吹を感じさせてくれる貴重な作品でした。
穏やかな作風の中に迸る熱情、気を衒わずに淡々と進んでゆくストーリー、良かったです♪
ん?コレって何処かで感じた様な、、、ワッ! 飯島監督のテイストだ!

手塚眞 コメント

シングル8は魔法のランプだった。それに触ればなんでもできると思っていた高校時代。学校は文字通り、映画作りの宇宙だった。
映画研究部のあの狭く汚い部室で、後輩だった小中監督やヒロインたちと過ごしたあの日々。等身大の8ミリ少年たちの青春群像は、甘く酸っぱく、ちょっと照れ臭く、しかし現代の映画少年たちも同じような夢を持ってくれればいいと、この優しい映画が未来を繋いでくれることを期待します。

樋口真嗣 コメント

忘れていた匂い。
現像したフィルムの入った紙箱を開ける瞬間に溢れ出る──
中で緩まないようにリールに詰め込まれたウレタンのブロック──
電源を入れると沸き上がる、コンデンサに負荷がかかり材質が気化して、ハロゲン球に積もった埃の焦げるような──。
波のようにどんどん押し寄せてくる匂いたちよ。

あの日々を生きていた何者でもなかった自分たち。
そんなもの作ったところで何か変わるなんて保証もなく、
それでも説明出来ない何かに突き動かされていたあの日々。
そいつは甘いけれど、とても苦い。

ちくしょう。還暦前なのに。
あの日々の思い出に浸れる甘美な幸せなんかまだ知りたくなかったのに。

蜂須賀健太郎 コメント

「Single8」、素敵な青春映画でした。
僕も8ミリ映画出身だから、とても共感するところがありました。
高校生の熱き自主映画作りを描いたこの作品は、時代を超える普遍性も持っているのだと思います。70年代のノスタルジーはもちろん、モノ作りを通した仲間たちとの成長を軸にしたことで、現代の青春映画としても、楽しむことができるような気がしました。特に出演している若い俳優さんたちが魅力的、ナチュラルな演技で、テンポよく、最後まで「小中ワールド」にどんどんと引き込まれてしまいました。
世代を超えて、多くのみなさまに観ていただきたい映画です。

本広克行 コメント

僕が映画学校で学んでいた頃に「星空のむこうの国」(1986)を観た。
当時は同世代で自主映画を作る人間として作品の完成度にとても感動し落ち込んだ。どうやったこんな作品が作れるのかを知りたかった。
そして、2023年、映画「Single8」で当時のネタを明かしてくれた。
しかもストーリーには、僕が一番好きな80年代青春映画のテイストが入っていて、鑑賞後には感動して、また落ち込んだ。
ラストシーンの考察などいろいろ知りたくてすぐに、クラウドファンドに入って監督のカット割台本を入手して分析していたら、なんとエンドロールに自分の名前を入れてもらえるとは、スクリーンで観に行きたい!
いくつになっても映画ファンになれる作品です。

(c)『Single8』製作委員会