ダルデンヌ兄弟が6年ぶり来日、新作の着想は“憤り” (original) (raw)
「トリとロキタ」のティーチイン付きプレミア上映が本日2月28日に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、監督のジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌが登壇した。
本作では、アフリカからベルギーのリエージュに流れ着いた“偽りの姉弟”ロキタとトリの絆が描かれる。演技初経験のパブロ・シルズとジョエリー・ムブンドゥが、トリとロキタをそれぞれ演じた。
6年ぶりに来日したダルデンヌ兄弟は、温かな拍手に迎えられてステージに上がった。ジャン=ピエールは「日本に来られて、皆さんに映画を観ていただけて、とてもありがたく思います。質問、提案、なんでもいいので皆さんから聞けたらと思います」と呼びかける。
彼らが本作を撮ったきっかけは、ヨーロッパに同伴者なしで渡ってくる子供たちに関する記事を読んだことだったそう。リュックは「一部の子は、ビザが取れなかったために不幸な結末を迎えていると知って憤りを感じた」と着想を明かす。そして「社会から虐げられている人にクローズアップする理由は?」と問われ、「この状況を映画の中で告発したいと思いました。そして、主人公2人の間にある友情についても描きたかった」と続けた。
「主人公2人の対等な関係性が印象的でした」という観客の言葉を受けて、ジャン=ピエールは「私たちは、トリとロキタという2人の子供についての話を語りたいと思っていました。2人のどちらかが欠けたらこのストーリーは描けなかった」と思い入れたっぷりに語る。「緊迫感がどんどん積み重なっていくショットのつながりがすごい。お芝居に対して、どういうふうにショットを決めているのでしょうか?」との質問に、彼は「美容師が『どう髪を切るのか教えて』と言われた気分」とジョークを飛ばして場を和ませ、「長回しが多いので、撮っている時間と観客の皆さんが観る時間は同じ。それが緊迫感につながっているのかもしれません」と真摯に答えた。
予定の時間を過ぎてもリュックが「たくさん手が挙がったので、もう1人くらい」と追加で質問者を指名するなど、ティーチインは終始和やかな雰囲気の中進められた。最後にジャン=ピエールは「ありがとう」、リュックは「ありがとう、ありがとう」とそれぞれ日本語で挨拶し、イベントを締めくくった。
「トリとロキタ」は3月31日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネクイントほか全国で順次ロードショー。
(c)LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM - FRANCE 2 CINÉMA - VOO et Be tv – PROXIMUS - RTBF(Télévision belge)
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