「波紋」筒井真理子が“恩人”木野花に感謝 (original) (raw)

「波紋」筒井真理子が“恩人”木野花に感謝、磯村勇斗は先輩のアドバイスに恐縮

2023年5月15日 20:53 5

波紋」のプレミア上映会が本日5月15日に東京・TOHOシネマズ 日本橋で行われ、キャストの筒井真理子磯村勇斗木野花キムラ緑子、監督の荻上直子が登壇した。

本作は、水を信仰する“緑命会”という新興宗教に傾倒する須藤依子を中心にした物語。彼女とその家族を通して、“現代社会が抱える闇や不安”が描き出される。筒井が依子を演じた。

筒井は本作について「台本が素晴らしかったし、共演者が名優ぞろいの作品」と述べ、「本番前に監督が『主役を背負わないで、主人公の依子としてゆらゆらしてくれていればいいので』と言ってくださったことで気持ちを楽にして演じられました」と回想する。荻上は「『かもめ食堂』以来、私はすごくいい人だとか料理が上手だとか勘違いされているんですけど、全然そんなことなくて。本当に意地悪で邪悪な部分がいっぱいあるので、それを全部入れてこの映画を作りました」と言って笑いを起こしつつ、「(これまで監督した作品の中で)一番面白くできたと思っています!」と自信をうかがわせた。

依子のパート先であるスーパーで清掃員として働く水木役の木野は、30年来の付き合いである筒井と映像作品で共演するのは初めてだという。木野は筒井について「“天然真理子”と呼ばれていた頃は『どうなるんだろうこの子』と思ってたけど、ちゃんとがんばってるなって。共演できてよかったですね」とほほえむ。対する筒井は、当時出演した舞台の演出をしていた木野を“恩人”だと言い、「お芝居で自信がなくなったときに、一番苦手な怒る役をつけてくれたんです。本番(期間)中も稽古をしてくださって、すごく大きな声をかけてくれるんですけど、『この声でやっていたら(出演もしている)木野さんの声が枯れちゃう』って思ったときに、愛情を感じて、その日から怒れるようになった。『なんか変わったね』と言われて、私(芝居を)続けてもいいんだって思えたんです」と感謝を伝えていた。

依子の息子・拓哉に扮した磯村は、「男女で観る目線が全然違うんだろうなって思いました。女性って恐ろしいなって思うところもあれば、それがすごく笑えてくる不思議な感覚にもさせてくれる作品。皆さんが本当に面白い!」と熱弁。緑命会の代表・橋本昌子を演じたキムラは、「新興宗教のリーダーは難しかった。信じる側はやったことがあったんですけど、信じられる人って徳がないとやれない気がして……」と撮影時の心境を明かす。不安げなキムラを見て、木野は「踊るところとか最高でした。ああいう踊りが“ハマる”なって」と、劇中で特徴的な歌とともに披露される緑命会の踊りに言及する。キムラは「(歌と踊りは)監督のセンスです。何度か出てくるんですけど、映画が終わって劇場から出ても頭に残ってますから。覚悟しておいてください」と本編鑑賞前の観客に呼びかけた。

イベント中盤、光石研演じる依子の夫・修の設定にちなんで、「10年間の失踪ののち帰ってくる夫を受け入れられるか?」という質問が飛ぶと、「家の中に入れるかどうかは別として、理由は聞きたい」という筒井に対し、木野・キムラ・荻上の3人は「入れません!」ときっぱり回答。木野は「聞いてどうすんの? (家に)入れるの? 私はすぐお引き取り願います」、キムラは「10年前の姿じゃなくて、10年後に(その分)老けて帰ってくるんだよ!」と介護や夫の失踪など度重なる依子の苦悩に共感してヒートアップする。木野とキムラに説得された筒井は「じゃあやめておきます」と折れ、「自分のことじゃないのに心が苦しくなります」と話す磯村には、木野が「家を出るときは気をつけたほうがいいよ。敷居は踏めないからね」と“アドバイス”して笑わせていた。

最後に筒井は「『絶望を笑え』というキャッチコピーが絶妙。我慢している女性にも男性にもぜひご覧いただきたいと思います」とコメント。荻上は「笑っちゃいけないんじゃないかな?と思うような要素がいっぱいあるんですけど、笑っていいです! 笑ってくれるとうれしいです」と声を張り、イベントの幕を引いた。

「波紋」は5月26日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。

(c)2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ