「メタモルフォーゼの縁側」宮本信子が満面の笑み (original) (raw)
「メタモルフォーゼの縁側」批評家大賞の作品賞に、宮本信子が監督と喜び分かち合う
2023年5月16日 22:07 6
第32回日本映画批評家大賞の授賞式が本日5月16日に東京・東京国際フォーラムにて開催。作品賞に輝いた「メタモルフォーゼの縁側」で監督を務めた狩山俊輔、「ケイコ 目を澄ませて」で監督賞を受賞した三宅唱らが登壇した。
「メタモルフォーゼの縁側」は、BLマンガを通して出会った17歳の女子高校生と75歳の老婦人の友情を描いた宮本信子と芦田愛菜の共演作。作品賞のトロフィーを受け取った狩山は「この映画は派手なことも、センセーショナルな事件も起こらないですけど、とても小さなことを丁寧に描こうと考えていました」と述べ、「試写のときに宮本信子さんが『こういう映画がちゃんと評価されるようになるといいわね』とおっしゃったのが印象的で、このような結果になったことをうれしく思っています」と感激した表情を浮かべる。同作で映画解説者・淀川長治の名前を冠したダイヤモンド大賞を獲得した宮本は「楽しく自由にやらせていただきました。私の賞もですが、作品賞をいただいたのが本当にうれしいです!」と満面の笑みで伝え、狩山と喜びを分かち合っていた。
「ケイコ 目を澄ませて」では、小笠原恵子の自伝「負けないで!」を原案に聴覚障害を持つボクサーの姿が描かれた。三宅は「監督という仕事がいったい何をするのか、まだ未熟でわかっていないですが、素晴らしい俳優やスタッフと働くことができて幸せだなと思います」と真摯に言葉を紡ぎ、「主人公のモデルとなった小笠原さんの人柄に心惹かれて、彼女がこの映画を作るモチベーションでした」と語った。
脚本賞を手にしたのは、「神は見返りを求める」を手がけた吉田恵輔。本作では、お人好しな男・田母神尚樹と底辺YouTuber・川合優里の関係を通して、人間の“欲”や“本音と建て前”を映し出した。吉田は「僕は監督もやっているんですけど、監督と呼ばれる時間ってほんのちょっとしかなくて、それ以外の期間はほぼ脚本を書いているんです。孤独で、寂しくて、しんどいなっていうときに脚本賞をもらえて『これからもがんばろう』という気持ちになれます」と感謝の意を表した。
また、「犬王」でアニメーション監督賞に選ばれた湯浅政明は「古川(日出男)さんの原作が、今の時代にも訴える力を持っていて。600年前の人たちも自分たちと同じようにいろんな可能性を持っていたんだろうと想像しながら作りました。自分自身も室町時代の人のことを1、2年考えるというのは本当に楽しい作業でした」と制作時を振り返る。そして「公開して1年になるんですけど、今も上映されています。コロナ禍もあけて、野外で観るにもいい映画なので、ぜひ外で観てもらえたらなと思います」と今後の希望について話した。
第32回日本映画批評家大賞の受賞結果は以下の通り。
※吉田恵輔の吉はつちよしが正式表記
第32回日本映画批評家大賞受賞結果
作品賞
「メタモルフォーゼの縁側」
主演男優賞
主演女優賞
助演男優賞
助演女優賞
監督賞
三宅唱「ケイコ 目を澄ませて」
ドキュメンタリー賞
アニメーション作品賞
アニメーション監督賞
湯浅政明「犬王」
新人監督賞
竹林亮「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」
新人男優賞(南俊子賞)
新人女優賞(小森和子賞)
脚本賞
吉田恵輔「神は見返りを求める」
編集賞(浦岡敬一賞)
小林譲、竹林亮「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」
ワタシタチのトキワ荘賞
一般財団法人手塚治虫文化財団
特別賞(松永武賞)
立川志の輔「大河への道」
特別主演男優賞
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞)
ダイヤモンド大賞(淀川長治賞)
宮本信子「メタモルフォーゼの縁側」
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