「こちらあみ子」日プロ大賞で作品賞&新人監督賞に (original) (raw)
「こちらあみ子」日プロ大賞で作品賞&新人監督賞、大沢一菜「みんなに届いてうれしい」
2023年6月17日 23:47 1
第32回日本映画プロフェッショナル大賞の授賞式が本日6月17日に東京・テアトル新宿にて開催され、「こちらあみ子」で作品賞と新人監督賞を獲得した森井勇佑、「マイスモールランド」で新人監督賞を受賞した川和田恵真らが登壇した。
今村夏子の小説をもとにした「こちらあみ子」では、広島で暮らす少し変わった少女・あみ子のあまりにも純粋で素直な行動が、周囲の人々を否応なく変えていくさまが描かれた。森井は「驚いていますし、大変名誉なことだと思っています」とダブル受賞を噛み締め、「表現を選ばずそのまま言ってしまうと、僕はあみ子というキャラクターを愛しています。くせのある子なんですけど、スクリーンを通してお客さんにも好きになってもらえたらいいなと思って撮っていました。それが作品賞につながったのなら、作ってよかったです」と思いを述べる。新人監督賞の発表の際には、あみ子を演じた大沢一菜と、共演の大関悠士が花束のプレゼンターとして登場。「この作品がみんなに届いてうれしいです」という大沢の言葉に、森井は優しくほほえんでいた。
川和田が手がけた「マイスモールランド」は、在留資格を失った在日クルド人の少女とその家族の物語。川和田は「どうにかこの映画を届けたいという思いで、5年ぐらいかけて完成させることができました」と話し、「この映画では、私たちのすぐそばにある難民申請者の状況を描いています。私がこのことを知ったのは7年ほど前なのですが、今に至るまで状況はよくなっていないどころか、最近さらに悪くなってしまう法案が通ってしまうことがありました。この作品が(現状を)少しでも知るきっかけになってくれればいいなと思います」と切実な思いを口にする。また、川和田に花束を渡した主演の嵐莉菜は「監督がどんなときでも優しく包み込んでくれたからこそ、最後まで演じることができました。お芝居の世界に入るきっかけをくださって本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。
特別賞には「死刑にいたる病」の製作チームと、愛知・名古屋にあるミニシアター、シネマスコーレが選ばれた。「死刑にいたる病」で監督を務めた白石和彌は「僕らのクリエイティブというよりは、クロックワークスの営業部や宣伝部の方々の力添えに大きく助けられた賞なので、関わってくれた皆さんに感謝したいと思います」と謙虚にスピーチする。脚本を執筆した高田亮は「ありがとうございます。偶然なんですけど、監督とまったく同じ意見です」とコメントし、会場を和ませた。また、長年の功績に対し同賞を贈られたシネマスコーレの支配人・木全純治は「ミニシアターは俳優や監督と密な付き合いができて、人間味があふれる場所。(全国の)各劇場の支配人も皆さん本当に面白い」と魅力をアピールする。そして「たくさんの方に支援していただいてここまで続けられて光栄です。そして日本映画プロフェッショナル大賞は映画人に選んでもらえるということで、本当にうれしく思っています」と声を張った。
第32回日本映画プロフェッショナル大賞の結果は以下の通り。
第32回日本映画プロフェッショナル大賞 受賞結果
ベストテン
1位「こちらあみ子」
2位「夜明けまでバス停で」
3位「マイスモールランド」
4位「よだかの片想い」
5位「夜を走る」
6位「さかなのこ」
7位「LOVE LIFE」
8位「愛なのに」
8位「冬薔薇」
10位「メタモルフォーゼの縁側」
作品賞
「こちらあみ子」
主演女優賞
主演男優賞
足立智充「夜を走る」
監督賞
阪本順治「冬薔薇」
新人監督賞
森井勇佑「こちらあみ子」
川和田恵真「マイスモールランド」
特別賞
「死刑にいたる病」製作チーム(映画界への貢献に対して)
名古屋シネマスコーレ(長年の功績に対して)