「CLOSE/クロース」竹宮惠子らのイラスト到着 (original) (raw)

映画「CLOSE/クロース」より本編映像の一部が解禁。著名人によるイラストとコメントも到着した。

本作では、10代前半の少年たちに起こる悲劇と再生が描かれる。24時間365日ともに過ごしてきた幼なじみのレオとレミは、中学校に入学した初日、親密な関係をクラスメイトにからかわれる。レオは周囲の目を気にしてレミにそっけない態度を取るようになり、仲直りができずに時間だけが過ぎていたある日、2人に突然の別れが訪れる。エデン・ダンブリンがレオ、グスタフ・ドゥ・ワエルがレミを演じた。

YouTubeでは、監督を務めたルーカス・ドンがお気に入りだという、レオがレミの似顔絵を描くシーンが公開された。レオが真剣な表情で描き進める様子や、完成した絵を見て2人で笑い合う姿が収められている。

このたびイラストを寄稿したのは竹宮惠子辛酸なめ子今日マチ子マキヒロチ、たけもとあかる、D[di:] Mai Kuwaharaの6人。涙を流すレミの表情を描いた竹宮は「少年たちの瑞々しい時期を、彼らの体を使ってリアルに表現すること。映像を見た瞬間、懐かしくそれを思い出した」と本作について語る。そのほか前田敦子宇垣美里松本穂香らのコメントも下記に掲載している。

「CLOSE/クロース」は7月14日に全国で公開。

竹宮惠子(マンガ家 / 日本マンガ学会会長)コメント

少年たちの瑞々しい時期を、彼らの体を使ってリアルに表現すること。映像を見た瞬間、懐かしくそれを思い出した。
彼らはまだ未分化の、言葉にできない思いに初めて触れ、訳を話すこともままならずに行動が先んじる。子供だった頃、人はみなそういう経験をして無垢の岸辺を離れるのだ。痛ましいけれど純粋なこの時。

辛酸なめ子(マンガ家 / コラムニスト)コメント

思春期に、急に疎遠になった子の淋しげな瞳や、去っていった友だちに思い悩んだ自分の姿が走馬灯のようによぎりました。誰にもインナーレオとインナーレミは存在しているのです。

今日マチ子(マンガ家)コメント

悲しみや怒り、寄る辺ない気持ちを目の表情だけでこんなにも語ることができるとは。
ぴったりくっついていた子どもから個々の大人へ、狭間の季節を走り抜けていく姿が痛々しくも美しい。

マキヒロチ(マンガ家)コメント

いつも通りの彼の背中と変わっていってしまう彼の背中はどうしてこんなにも違って見えるのだろうと痛々しくて目を逸らしてしまった。人はふと入ってきたノイズに心惑わされてしまう。成長しなくていいよ、急がなくていいよ、とそれぞれの気持ちに寄り添ってしまった。

たけもとあかる(イラストレーター)コメント

子供時代のはじけるような楽しさや残酷さ、小さな肩では支えきれない罪悪感。射しこむ光や揺れる草花が本当に綺麗で、胸がつまります。

D[di:] Mai Kuwahara(美術作家 / イラストレーター)コメント

3つの衝撃

1つめ、主演2人がボッティチェルリが描いた天使かよと見まごうトンデモない美少年ズ。

2つめ、主演boysが2人とも、演技が自然すぎて、切なさが倍増。

3つめ、早い段階で起こる悲痛な事件。

実を言うと、観終わったあと、かなりモヤモヤした。1週間くらい、ずっと、頭の端でこの映画のことばかり考えていたように思う。やたらと“痕”が残る一本だった。

小島秀夫(ゲームクリエイター)コメント

疾走する宝石の様な二人の少年。大人になる前の繊細で神聖な距離感。その無垢な友情が犯す、残酷な結末。この儚い別れは、永遠に我々の近く(クロース)に、美しい結晶となって居座り続けるだろう。

呉美保(映画監督)コメント

誰かにとっての些細なことは、誰かにとっての重大なことであったり、人にはそれぞれの思いがある。思いは時に残酷だ。「泣かなくてもいいのに」と、レオがレミに言い放つ。ふたりの思いがすれ違う瞬間があまりにも切なくて苦しくて、これは映画なのだと自分自身に言い聞かせるのに、必死でした。

ふくだももこ(映画監督 / 小説家)コメント

もしも私が“あなた”だったら、レオのことを許せないかもしれません。
だけどレオも一生、自分を許せないのでしょう。
だからあなたは、あの子を抱きしめたのですか。
ふたりをからかったり、名前をつけたがったあの子たちも
レミのことを絶対に忘れないで、と願ってやまない。
もちろん、私たちも。

枝優花(映画監督 / 写真家)コメント

2人だけの世界が
社会に触れた瞬間、歪になり
胸のざわめきを鎮めようと
正しいとされる形にはまろうとし
みるみると掌からこぼれ落ちていくものに気付けず
振り向いたときには、もう戻れない。
駆け抜け続けた、あの花畑のなかに残ったものを
私たちはどう眼差すべきか

金子由里奈(映画監督)コメント

「永遠を壊したのは、僕」というけれど、その僕を形成してるのはなんだろうか。我々の視線は時に他者をも塗りつぶす。ただ一緒にいたいから一緒にいた。それでいいじゃん。そこに私たちの視線が介在する隙間など本来はないはずなのに。
喪失の連鎖を断ち切るために、この映画と対話をしなければいけない。

石田衣良(小説家)コメント

親密な、なかよしという意味の「クロース」というタイトルが痛切な悲しみとともに迫ってくる。デビュー作となる主演ふたりの少年の出色の透明感と胸を締めつける目の演技に注目を。人の心の一番やわらかい深みにそっと触れてくる優しい名作です。

山内マリコ(小説家)コメント

無邪気な季節は過ぎ去ってしまう。こどもの心をズタズタに切り裂いて、あっという間に、なにごともなかったみたいに。あの悲しみ、成長することの痛みと喪失。男の子たちはこんなふうになにも語らないまま、心を閉ざして、大人になっていくのかな。

前田敦子(俳優)コメント

あらゆる感情が伝わってくるその繊細な瞳から目が離せなくなりました。ラストカットはもう圧巻です。

宇垣美里(フリーアナウンサー / 女優)コメント

少年たちの横顔で語られる繊細な心の動きが、
真っ直ぐにこちらを射る眼差しが、
美しいから切なくて、ぎゅっと胸が締め付けられた。
大切な人だった、大好きだった、だから一緒にいたかった。その関係に名前など、必要なかったはずなのに。

玉城ティナ(女優)コメント

ショットに映る全てが必要材料。
一見やりすぎかなと思える色彩も全て計算されているんだなと観終わると納得。触れ合い、ぶつかり、すれ違い、的確に動かされた少年たち。悲しいとき、嬉しいとき、人間ってどんな表情をする?
私は、この二人の顔が正解だと思った。どうにもならない思春期を表すためのお手本のような作品。

松本穂香(女優)コメント

どうしていいか分からない。
知らない感情、受け止めきれないパワー。
胸の奥にじんわりと重く留まり続ける何か。
この気持ちを言葉に表そうとすることすら、許されない気がする。
ただ、逸らすことの出来ない瞳が目の前にあって、その瞳が光る度に、私は深いため息を吐いた。

河合優実(女優)コメント

彼らの痛みが、まだ言葉まで届かないうちに言葉を通り越して、外に流れ出していくさまを見た。自分の記憶や目の前の相手と覚悟を持って寄り添い合わないと、こういう純度の高いものは映せないと思う。
ここにある「親密さ」、名前をつけないその繋がり自体に、これほどまでに実感と愛のこもったまなざしを向けること。
この強さと真っ当な誠意に心から敬意を表したい。

小川紗良(文筆家 / 映像作家 / 俳優)コメント

あの花畑の奥に、私の心が置き去りになっている。スクリーンいっぱいの刹那を、祈るように見つめることしかできなかった。名前のない親密さを、名づけようとすることの惨さ。それは花ざかりの美しい野原を、突如刈りとることに似ていた。君は悪くないよ。

瀧本幹也(写真家 / 撮影監督)コメント

瞳の美しさに胸がざわめいた、光の表現力を巧みに操る奇跡的な映画。
人が根源的に持ち得た感覚をまざまざと甦らせてくれた。

濱田英明(写真家)コメント

辛くて辛くて何度も観るのをやめようとしては、その行方を追いたくて最後まで見届けた。
二人の少年の気持ちが苦しいほど分かるのは、自分も小学生の頃、同じように友人との間柄を他者によって台無しにされた経験があるから。
まだ名前のない関係を社会は無邪気なふりをして残酷に切り分けるし、自分でも分からない理由で大切な人を傷つけてしまったりもする。
これは、そうやって誰かが密かに抱えている切実な痛みを分かち合おうとする映画だ。観終わったとき心の中に響いていたのは、煌めく光の中で花畑を駆け抜ける少年たちの無垢な笑い声だった。

岩川ありさ(早稲田大学文学学術院准教授)コメント

親しさは、おたがいのあいだで発明し、維持してゆくものだ。レオとレミも、ていねいにたがいの親しさを育ててきた。それを壊すことなど、ほかの誰にもできない。しかし、喪失が起こる。親しい存在を失うということ、その喪失を劇的に描かないでくれたことに感謝する。深い苦しみをその深さのままで描きえた稀有な映画だ。

酒村ゆっけ、(酒テロクリエイター)コメント

雑味がない二人だけの琥珀糖のような関係は、
悪気のない言葉の爪楊枝で刺した瞬間、簡単に崩れてしまう。

かけがえのない関係に慣れきってしまって、
一番大切な人を一番傷つけてしまう人間は、いくつになっても難しい。

DIZ(映画アクティビスト)コメント

ずっと昔に忘れ去ろうとした心の奥底にある感情をえぐり出して包み込む、傷ついた心と後悔に寄り添ってくれる言葉にできないほど美しい傑作。

(c)Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022

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