YIDFF 2023・アジア千波万波で小田香の新作など上映 (original) (raw)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2023(YIDFF 2023)のアジア千波万波の上映作品が決定。またインターナショナル・コンペティションとアジア千波万波の審査員の一部が発表された。
アジアに特化したコンペティション部門である「アジア千波万波」。アジアのドキュメンタリー作家を応援し、発表の場を創出することを目的として1993年にスタートした。アジアの作家の成長を誰よりも強く望んだ映画監督・小川紳介の意志を受け継ぐ意味を込め、最優秀作品賞として「小川紳介賞」が設けられている。
アジア千波万波には前回より多い67の国と地域から1002作品の応募があり、その中から選りすぐりの作品がラインナップ。民主化を求めて立ち上がった市民への弾圧が続くミャンマーからは、匿名監督による2作品を含む3作品「地の上、地の下」「鳥が飛び立つとき」「負け戦でも」が選出された。韓国からは、監督のホン・ダイェが自身の大学受験について撮りためたフッテージを作品として完成させたデビュー作「私はトンボ」が。沖縄戦の記憶が色濃く残るガマ(自然洞窟)を舞台に、映画作家・ダンサーの吉開菜央を起用した小田香の最新作「GAMA」も上映される。
アジア千波万波のプログラムコーディネーター・若井真木子は「業を煮やした女たちの叫び、声をあげられない戦い、10代の革命、10代の特権ではない青春の謳歌、死者の声が聞こえる街、時空を軽やかに超える夜の散歩や列車の旅…。作り手が信じる映画の力、突き動かされる思いが、広いアジアの地域から、千の波、万の波となって山形に集結します!」とコメントしている。なおアジア千波万波の審査員を務めるのは、映画監督のリム・カーワイとほか1名。インターナショナル・コンペティションの審査員には、映画監督のヤン ヨンヒ、チャン・リュル、オスカー・アレグリア、映画批評家のエリカ・バルサムらが名を連ねる。
また特別招待作品として、2022年に死去したエディ・ホニグマンの「クレイジー」を追悼上映。ペドロ・コスタ監督作「火の娘たち」、ハナ・マフマルバフの「リスト」もスクリーンにかけられる。各上映作品の詳細は映画祭の公式サイトで確認を。
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2023は10月5日から12日に山形・山形市中央公民館、山形市民会館、フォーラム山形、やまがたクリエイティブシティセンターQ1ほかで開催される。
アジア千波万波部門上映作品
「地の上、地の下」(ミャンマー、アメリカ、タイ)監督:エミリー・ホン
「壊された囁き」(シリア、イラン)監督:アミル・マスード・ソヘイリ、アミル・アサル・ソヘイリ
「確かめたい春の出会い」(レバノン、ポルトガル、ハンガリー)監督:タイムール・ブーロス
「またたく光」(インド)監督:アヌパマ・スリーニヴァサン、アニルバン・ダッタ
「GAMA」(日本)監督:小田香
「ホーム・ストーリー」(シリア、エジプト)監督:ニダール・アル・ディブス
「鳥が飛び立つとき」(ミャンマー)監督:匿名
「我が理想の国」(インド)監督:ノーシーン・カーン
「負け戦でも」(ミャンマー)監督:匿名
「ベイルートの失われた心と夢」(フランス)監督:マーヤ・アブドゥル=マラク
「ルオルオの青春」(中国)監督:洛洛(ルオルオ)
「ナイト・ウォーク」(韓国)監督:ソン・グヨン
「ここではないどこか」(フィリピン)監督:ミコ・レベレザ
「平行世界」(台湾)監督:蕭美玲(シャオ・メイリン)
「それはとにかくまぶしい」(日本)監督:波田野州平
「記憶の再生」(エストニア)監督:ヴァルン・トリカー
「私はトンボ」(韓国)監督:ホン・ダイェ
「列車が消えた日」(中国、シンガポール)監督:沈蕊蘭(シェン・ルイラン)
「石が語るまで」(韓国)監督:キム・ギョンマン
特別招待作品
「クレイジー」(オランダ)監督:エディ・ホニグマン
「火の娘たち」(ポルトガル)監督:ペドロ・コスタ
「リスト」(イギリス)監督:ハナ・マフマルバフ
日本プログラム
「キャメラを持った男たち─関東大震災を撮る─」監督:井上実
「どうすればよかったか?」監督:藤野知明
「絶唱浪曲ストーリー」監督:川上アチカ
「日本原 牛と人の大地」 監督:黒部俊介
「Oasis」監督:大川景子
その他、特集プログラム
野田真吉特集:モノと生の祝祭
Double Shadows/二重の影 3
やまがたと映画
ともにある Cinema with Us 2023
未来への映画便 街を見つめる人を見つめる──ユネスコ創造都市の世界
ヤマガタ・ラフカット!
ヤマガタ映画批評ワークショップ