小津安二郎のモノクロ5作品が初Blu-ray化、「父ありき」は92分の最長版 (original) (raw)

小津安二郎の生誕120年を記念し、5作品の4Kデジタル修復版を収めたBlu-ray BOX「5 FILMS of OZU 永遠なる小津の世界」が12月20日に発売される。

生涯に54本の作品を発表し、今なお世界中の映画人や映画ファンから高い支持を得ている小津。今回のボックスには、初Blu-ray化となるモノクロの5作品が収録される。

ラインナップには、子供たちが織り成すギャグとサラリーマンの悲哀をつづった「大人の見る絵本 生れてはみたけれど」、アメリカ映画に影響を受けた小津が暗黒街に生きる男と情婦を描いた和製ノワール「非常線の女」、小津作品の常連として知られる笠智衆が初主演を務めた「父ありき」、小津の戦後第1作として大船撮影所の名優たちが再集結した人情喜劇「長屋紳士録」、戦後日本の厳しい現実に焦点を当てた田中絹代主演の「風の中の牝鷄」が並んだ。

中でも戦後の再公開時にGHQの検閲によってシーンがカットされた「父ありき」は、国立映画アーカイブと松竹の共同事業にて限りなくオリジナルに近い形での修復が実現。初公開時のオリジナル版は本編尺が94分と記録に残っているが、これまで松竹に残された原版素材は87分尺だった。今回ロシアで発見されたプリントと原板を比較し、欠落している箇所を組み合わせることで、本編尺が92分に伸長。笠が演じる父・周平が同窓会の場で詩吟を吟じるシーン、そしてラストシーンの背景に流れる楽曲「海ゆかば」が復活し、不自然に途切れたセリフが滑らかな流れを取り戻した。

「5 FILMS of OZU 永遠なる小津の世界」は初回500個限定。税込2万8600円で販売される。封入特典には海外版ビジュアルポストカード5種が用意された。