ヴィム・ヴェンダース、“オープンな心と思考”で審査 (original) (raw)
審査は“オープンな心と思考で”、ヴィム・ヴェンダースが東京国際映画祭の開会式で宣言
2023年10月23日 20:10 5
第36回東京国際映画祭のオープニングイベントセレモニーが、本日10月23日に東京・東京宝塚劇場で行われた。
「東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する。」というテーマを掲げる今年の東京国際映画祭。東京の日比谷、有楽町、銀座エリアをメイン会場に、メジャー大作・アート作品など世界中から集まった219本の作品が上映される。海外からのゲスト招聘は、昨年の104人から規模を大幅に拡大し、2000人近くの来場を予定しているという。
セレモニーのオープニングアクトを飾ったのは、ヴァイオリニスト・川井郁子。弦楽五重奏とともに「ジョーズ」や「サウンド・オブ・ミュージック」、坂本龍一が手がけた「ラストエンペラー」の楽曲、マンガ家・松本零士による「宇宙戦艦ヤマト」のテーマソングなどをメドレーで披露し、会場は熱気に包まれた。
そして特別功労賞を受賞したチャン・イーモウが壇上へ。長年の国内外を含めた映画界への貢献が目覚ましい人物へ贈られる同賞のトロフィーを受け取った彼は、同映画祭の第1回に俳優として参加したこと、第18回にはコンペティション部門の審査委員長を務めたことを振り返り「再び18年が経ってこの賞を受賞しました。東京に戻って来て、これからがまた新しいスタート」と笑顔で伝える。そして「これからもいい作品を撮って、また皆さんとお会いしたいと思います。がんばります」と決意を新たにした。彼が監督を務めた歴史劇「満江紅(マンジャンホン)」は、ガラ・セレクション部門でジャパンプレミア上映される。
続いて登壇したのは、今年のフェスティバルナビゲーターを担う安藤桃子。彼女は「これまでの“アンバサダー”という役割が、今年から“ナビゲーター”になり、どういうことだろうと真剣に考えて思い浮かんだのが車のカーナビシステム。設定したゴールに向かって進むカーナビのように、日本映画が目指すゴールを改めて考える機会なんじゃないかなと思いました」と同映画祭の意義に言及する。映画祭に期待することについて問われると、「撮影の技術や配信などの観る環境が進化しても、変わらないのは“命”や“生きている”ということ。今の時代をもっとも象徴している作品が集まっていると思うので、それをここ東京で一緒に体験できることに期待。未来を照らしていく10日間になるんじゃないかなと思います」と語った。
また、コンペティション部門の審査委員長を務めるヴィム・ヴェンダースをはじめ、審査員であるアルベルト・セラ、國實瑞惠、チャン・ティ・ビック・ゴック、チャオ・タオも登場。ヴェンダースは「15本の作品をオープンな心と思考で観て、知的な決断を下したいと思います」とコメントする。最後は、映画祭のオープニングを飾るヴェンダースの監督作「PERFECT DAYS」より、キャストの役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和、製作の柳井康治、共同脚本とプロデューサーを担当した高崎卓馬が舞台上に勢ぞろい。主演の役所は「先ほど安藤桃子さんが“命”という言葉をおっしゃっていましたけど、『PERFECT DAYS』は人間たちとたくさんの樹木、東京の風景といった命あるものを、ヴェンダース監督の温かいまなざしでカメラに収めているドキュメンタリーみたいな作品です。“次何が起こるかわからない”、ドキドキする映画を楽しんでいただきたいと思います」とアピールした。
第36回東京国際映画祭は11月1日まで開催される。
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