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「雪豹」が第36回東京国際映画祭グランプリに、岸善幸「正欲」は観客賞・監督賞の2冠

2023年11月1日 20:22 3

第36回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが、本日11月1日に東京・TOHOシネマズ 日比谷で開催。各部門の受賞結果が発表された。

コンペティション部門の東京グランプリ / 東京都知事賞に選ばれたのは、チベットや中央アジアに生息する雪豹を題材に、自然と人間の関係を問うペマ・ツェテン監督作「雪豹」。ペマ・ツェテンは2023年5月に死去しており、同作は彼が遺した最後の作品の1つだ。審査委員長のヴィム・ヴェンダースは「我々審査員、満場一致で彼の作品を選びました」とコメントした。

審査委員特別賞はザーラ・アミール・エブラヒミガイ・ナティーヴが共同監督を務めた「タタミ」が受賞。また最優秀監督賞は「正欲」の岸善幸、最優秀女優賞は「タタミ」のアミール・エブラヒミ、最優秀男優賞は「ロクサナ」のヤスナ・ミルターマスブ、最優秀芸術貢献賞はガオ・ポン監督作「ロングショット」へ贈られた。「アジアの未来部門」アジアの未来 作品賞に輝いたのは「マリア」だ。

そして観客賞を受賞したのは、朝井リョウの同名小説を映画化した「正欲」。家庭環境、性的指向、容姿など、さまざまな“選べない”背景を持つ人々を同じ地平で描きながら、人間が生きていくための推進力になるのは何かというテーマをあぶり出す物語だ。稲垣吾郎が不登校の息子を持つ検事・寺井啓喜、新垣結衣が特殊性癖を隠して生きる桐生夏月を演じた。

最優秀監督賞、観客賞のトロフィーを手にした岸は「このような名誉ある賞をいただけて、これからの映画作りの励みになります」と喜びをあらわに。また「この作品は、すべての人が自分を偽らずに生きていける社会とは何かを問いかけています。自分のアイデンティティを確立するのは難しい時代。この作品を観て、多様性の意味を考えてほしい」とメッセージを送った。

イベントには第36回東京国際映画祭のクロージング作品として上映される「ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)」より、キャストの神木隆之介浜辺美波、監督の山崎貴が登壇した。「ゴジラ」作品は、過去に同映画祭で多く上映されてきた歴史を持つ。山崎は「久しぶりに『ゴジラ』がクロージングを飾る。ついに自分の作品が栄えある場所に来れたんだとうれしく思っています」と述懐。神木と浜辺は「非常に楽しみにしております」と観客の反応を心待ちにしている様子だった。

最後にヴェンダースは「第36回東京国際映画祭の審査委員長を務められたことを光栄に思います。名だたる映画人の方々と、世界中から集まった15本のコンペティション作品を観ました。本当に素晴らしい作品ばかり。そして、オープニング作品として(自身の監督作)『PERFECT DAYS』を上映できたことを誇りに思います。東京国際映画祭、大好きです!」と総評を述べ、同映画祭は幕を下ろした。

コンペティション部門

東京グランプリ / 東京都知事賞

「雪豹」(監督:ペマ・ツェテン

審査委員特別賞

「タタミ」(共同監督:ザーラ・アミール・エブラヒミガイ・ナティーヴ

最優秀監督賞

岸善幸正欲

最優秀女優賞

ザーラ・アミール・エブラヒミ「タタミ」

最優秀男優賞

ヤスナ・ミルターマスブ「ロクサナ」

最優秀芸術貢献賞

「ロングショット」(監督:ガオ・ポン)

観客賞

「正欲」(監督:岸善幸)

アジアの未来部門

アジアの未来 作品賞

「マリア」(監督:メヘディ・アスガリ・アズガディ)

Amazon Prime Videoテイクワン賞

「Gone with the wind」(監督:ヤン・リーピン)

審査委員特別賞

「ビー・プリペアード」(監督:安村栄美)

エシカルフィルム賞

「20000種のハチ(仮題)」(監督:エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン)

黒澤明賞

グー・シャオガン

特別功労賞

チャン・イーモウ

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