「市子」杉咲花が初日イベントにこっそり参加 (original) (raw)
「市子」杉咲花が初日イベントにこっそり参加、若葉竜也は手紙をもらって歓喜
2023年12月9日 13:38 4
映画「市子」の公開記念舞台挨拶が本日12月9日に東京・テアトル新宿で行われ、キャストの杉咲花、若葉竜也、監督の戸田彬弘が登壇した。
恋人からのプロポーズ翌日に忽然と姿を消した女性・川辺市子を主人公とした本作。抗えない境遇に翻弄された彼女の壮絶な過去と真実がつづられる。市子を杉咲が演じ、市子と3年間一緒に暮らしていた恋人・長谷川義則に若葉が扮した。
公開を迎えた気持ちを尋ねられた杉咲は「うれしいという言葉しかありません。昨日は監督のティーチインが行われていて、空席を見つけたので参加しました。終わったあとにたくさんの方がパンフレットを購入し、監督のサインをもらうために列に並んでいて……言葉にできない幸福に包まれました」と明かす。戸田が「サイン会が終わったあとに(杉咲に)気が付きました。お客さんも気付いていないと思う。存在を消していました」と口にすると、杉咲は「お客さんから手が挙がらなかったら、私が手を挙げて(観客の)皆さんにお礼がしたかったです」と目を細めた。
周囲からの反応について若葉は「地元の人や映画関係者から『杉咲花は本当にヤバい』という声をたくさんいただいています」と述べる。杉咲は「(若葉演じる)長谷川くんとのシーンは、3日くらいですべて撮り終えました。初日に、市子と長谷川の回想シーンを撮ったのですが、すごく楽しい時間でした」と述懐。若葉は「このあと物語としては(長谷川にとって)地獄のような日々が続くことがわかっていたので、“最初で最後の楽しみ”と思って過ごしました」と振り返った。
続いて話題は、劇中で2度登場するプロポーズのシーンに。戸田は、原作の舞台作品に触れながら「演劇では流れの中でお芝居をするので、同じシーンを演じても同じニュアンスを出すのは難しい。映画は記録ですので、同じ瞬間を観客が目撃することができる。そこが構成としてうまくできたのかなと思います」と説明する。杉咲は「本番で長谷川くんの顔を見て、こんなまなざしで自分を見つめてくれる人がいるということに胸がいっぱいになりました」、若葉は「クランクインして間もなかったということもあり、すごく緊張していました。プロポーズする緊張感と相まって、体の状態に嘘がなかったというのはすごく大きかったです」とそれぞれ述懐した。
イベントでは、戸田が若葉へ手紙を読み上げる一幕も。「実は、この映画で監督人生を終えてもいいと思っていました」「(若葉が)映画のために現場を明るくしてくれたり、面白いアイデアをくれたり、本当に映画を愛している姿を見て、こんな素敵な俳優さんがいるならまだまだ映画を続けたいなと思いました」とメッセージを送る。若葉は、戸田が杉咲にだけオファー時に手紙を送ったというエピソードを挙げ「うれしいです。ずっと根に持っていたので……(手紙)もらえました!」と笑顔を見せた。
その後、杉咲にも手紙が用意されていることが明らかに。若葉は「俺、また1通足りなくなる!」とジョークを飛ばした。杉咲は手紙が読まれる前から目に涙を浮かべ、戸田の「杉咲さんが市子を引き受けてくださったから、この映画はここまで大きくなれたのだと信じています」という言葉を受け止める。杉咲は「監督の熱量や姿勢に影響を受けたので、とてもうれしいです」とコメントした。
最後に杉咲は「人間の複雑なところにアクセスした作品です。喜び、悲しみ、怒りをすべて人にわかってもらうことができないように、他者をわかることはできない。それを受け入れることが、人と関わることのよさだと思います」と涙ながらに伝え、イベントを締めた。
「市子」は全国で公開中。
(c)2023 映画「市子」製作委員会